天ちゃんの・色々食べてみま戦課
つごもり蕎麦

天羽[司法行政卿]孔明

 今月は、まず最初に謝らなければならない事があります。というのも、前々回の『ボジョレー・ヌーボーな夜』の中で、今年の入荷は十一月十五日と書きましたが、あれはぼくの勘違いでして、実際は、毎年十一月の第三木曜日になりますので、今年は十一月二十一日だったんですよね、どうもすんませんでした。

  さて、気をとりなおしまして・・・。
 早いものでこの連載も、今回で十二回目となりました。もともと、一年・十二回のつもりで始めたこの連載ですので、今回が最終回、ファイナルとなったわけです。そこで今回は、一年のラストを飾るにふさわしい題材をあつかってみる事にしました。

 と言うわけで今回は、つごもり蕎麦です。
 つごもり蕎麦って、御存知ですか?そう、みそか蕎麦とか、年越し蕎麦とかって言われているあれですよ、はい。
 まぁなんです。みそか蕎麦って言ったら、そのものずばり晦日、それも大晦日に食べるからみそか蕎麦って言うのだし、年越し蕎麦に至っては、説明する必要もないほどはっきりしていて、そう、年越しに食べるので年越し蕎麦っていうんですよね。でも、つごもり蕎麦の“つごもり”って、どんな意味があるか、みなさんは御存知ですか?たぶんほとんどの方は知らないと思うのですが・・・(知ってたら、ごめんね)。
 そもそも“つごもり”と言うのは、月ごもりと言う言葉が縮んで、つごもりと言われるようになったそうで、意味としては、月が隠れて見えなくなる頃の事を言うのです。すなわち月の末日の事を指すのです。はい。
 面白い事に、漢字で書くと、「晦日蕎麦」「晦蕎麦」「三十日蕎麦」と、どの字で書いてもみそかそば、或いはつごもりそばと読めるんだそうです。この辺が、日本語の面白い所ではないでしょうか・・・。
 さて、では、なぜ一年の最後にこのつごもり蕎麦を食べるのかと言うと、やはり、蕎麦のように長く生きられるようにと願って食べるみたいです。でも、それならなぜうどんやラーメンでは無く、蕎麦なんでしょうね・・・?もちろん、ラーメンなんてものは蕎麦にくらべれは、その歴史はまだまだ新しいのでしかたがないと思うのですが、うどんならほど同格だと思うのです。いかがでしょう。それとも、関西では、つごもり饂飩やみそか饂飩を食べるのが本来の姿なんでしょうか?ぼく自身は、生まれてこのかた、生活圏はずっと関西、それも大阪にあるんですが、物心ついたころから蕎麦を食べていたようです。もっとも、何人か居る友人の中には、毎年年越しはうどんを食べていると言う者もいるにはいるんですがね。どうも土用の鰻と一緒で、なにか蕎麦屋の陰謀を感じるのは、ぼくだけなんでしょうか・・・。
 一説によると、大晦日の夜は、商売人は集金に走り回らなければならないし、又、家庭の主婦は、正月用のおせち料理作りにいそがしく、大晦日の晩は、手っ取り早くつくれて、しかも栄養のある蕎麦を食べるようになったと言います。そこへ、もっともらしい理由をつけて、手抜きの言わけをしてるんじゃないでしょうかねぇ・・・。こうなると、蕎麦屋と主婦の共同陰謀と言うことになってしまいますね。うん。
 ところで、このつごもり蕎麦ですが、地方によっては、節分祭の夜に食べるところもあるようですから、日本の風習と言うのも、なかなか侮れません。
 そう言えば、蕎麦の種類は各地方、各家庭でまちまちでして、にしん蕎麦じゃなきゃだめだと言う人や、いやいや絶対もり蕎麦が本当だ。とかね・・・。さらには、長野地方みたいに、各家庭で蕎麦をうち、それぞれの家で微妙に蕎麦自体の味がちがうのまで、さまざまです。でもまぁ、ぼくの場合、おいしくて、それでいて風流が味わえれば一番じゃないかと考えています。うんうん。
 最後なので、ちょっと奇麗にまとめてみました。終わりよければすべて良し、ってね。

 本当に最後になりましたが、この一年間、SF作家・谷甲州FCの会報の中で、谷甲州と関係ないどころか、SF自体ともなんの関係もないこんな連載におつきあい下さいまして、ありがとうございました。おもろないからやめてまえの声もなく、それどころかカブトエビとベニテングダケの所では、けっこう盛り上がったようで、よろこんでおります。来年からは装いもあらたに、再び谷甲州となんの関係もないような新シリーズを開始するつもりですので、そちらもおつきあいくださいませませ・・・。
 では、良いお年を・・・・・・・・。


 付録 天ちゃんの、浪速うまいもん巡り

 今回紹介する店は、ぼくのかなり気に入っているコーヒー館です。
 店の名前は「輪留都(ワルツ)」なかなかユニークなマスターの経営する店で、店内には、ジャズやクラシックが流れ、コーヒーの味はピカイチです。
 類は類を呼ぶらしく、店に集まるお客さんもユニークな人が多いようです。そういえば前回紹介したタコス屋さんのマスターもこの店の常連さんです。
 じつは、さらに秘密があって、なななんと、ぼくの書いているこの原稿も、この店の中に置いてあったりします。いや、おはずかしい・・・・。
 「キリギリス・ブルースバンド」のドラムス溝口君も推薦するこの店は、近鉄大阪線、高安駅と恩地駅のちょうど中間ぐらいの所にあります。まずは、お訊ねあれ!



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