天ちゃんの・色々食べてみま戦課
特別番外編

金沢を食べる

天羽[司法行政卿]孔明

 ついにこのコーナーも、『こうしゅうえいせい』にまで登場してしまいました。まっ、いいですよね……。

 で、まぁ、さっそくですが、今年のSF大会は金沢なんだそうで、そこでこの番外編では、金沢あっちこちめぐりを書いて見ることにしました。

 さて、金沢なんですが、ここは、高山、尾道、鎌倉、人吉とならんで、ぼくの大変好きな街のひとつなんですよね。いままでに何度か訪れているんですが、春夏秋冬いつ来てもすてきな所です。そんな金沢の街を、この紙面をつかって、一緒に旅してみませんか?(うーん、まるでどっかのTVの旅番組みたいなかきだしになってもたなぁ……)

 大阪から特急スーパー雷鳥号にのり、湖西線、そして北陸本線を使って約二時間四十分。やってきましたJR金沢駅。
 西口にはとりたててなにもないので、まずは東口正面玄関へと出てみましょう。
 金沢ステーションデパートを抜けて、北鉄金沢駅を左手に見ながら駅前通りをまっすぐに歩きます。しばらく行くと突き当りが二又になっていて、そこを左に行ってすぐ、そこに「ティーランド・此花店」はあります。朝ならまずここのモーニングがおすすめです。昼すぎなら、そう、ここのチーズケーキはめっぽううまいと評判です。
 この店を出て、腹ごなしがてらにすこし歩きましょう。まず、さきほどの店の前から、東へ、東へ、安江北の交差点をすぎ、瓢箪町を抜け、浅野川にかかる小橋の手前にあるのがうどん屋「福は家」と、そば家「鬼は外」です。どちらも関西風の味付ですが、なかなかいけまっせぇ!
 さて、浅野川の堤防沿いの道を上流に向って歩きます。この通りは、むかしから夏でもつめたい風が川からふいてくると言うので、けっこう夕涼みなんかで歩く人が多かったようです。もちろん今でもそのすずしさは変らないようですよ。ちょうどこの川沿いの道の途中には、旧主計町と名づけられた茶屋町跡がならんでいて、けっこう風情があります。 さらにしばらく歩くと、川沿いの道は、浅野川大橋にかかってまいります。橋をすぎてちょっといった所に「すき焼屋・ト一亭」があります。なんでもこの店は、日本で三番目に古いすき焼屋だそうです。たしか、京都の河原町にあるのが日本で一番古いすき焼屋だったと記憶しているのですが、はてさて二番目はどこなんでしょう……。もちろんこの店のすき焼も、自慢するだけあってなかなかいけます。
 この浅野川大橋のちかくには、『高野聖』など、幻想文学で有名な泉鏡花ゆかりの場所がたくさんあります。たとえば、誕生の地や、生家跡などがそうです。ぼくは、この泉鏡花が大変好きなので、金沢に来たときはかならずここに来るようにしているのですよ。また、このあたりには、「佃の佃煮」と言う、もうちょっとネーミングを考えろよと言いたくなるような佃煮の専門店(なんとこの店には、「峰松庵」とよばれる茶室があったりします)や、あすなろ細工の専門店「かみや」(あすなろとは、木のあすなろの事です)などがあります。
 えー、このあとは、百万石通りを名鉄丸越百貨店の方へむかって歩いていくわけですが、この通りにもいろいろと変った店があります。
 まずは甘党の人のために、美味村というビルの中にある和菓子の老舗「森八本店」はいかがでしょうか? なんでも、この店の長生殿とよばれる和菓子は日本三銘菓のひとつだそうですが、ほんとかなぁ……。
 ここ美味村の中には、ほかにも変った店があります。麩の専門店「加賀麩司・宮田」ここには、麩まんじゅうなんてものもあります。
 この美味村から百万石通りをはさんだ反対側には、金沢名物ごりの佃煮をうっている「丸西食品」があります。そこからさらにすこし歩くと、こんどは金沢漆器の店「松山堂漆器店」や筆の専門店「松田文華堂」なんかがあります。またまたさらに歩くと、「町民文化館」というのがあるのですが、この中には、「ろくめい館」というティールームがあります。ずいぶんと歩いてきたので、ちょいとここらで一服してはいかがでしょうか。ここのお抹茶は、疲れがとれます。  疲れがとれたところで、またもうすこし歩いてみます。こんどは、郷土玩具の専門店で「中島めんや」があります。ここは、ひやかしだけでも一度覗いてみる価値はあると思いますよ。もちろんお面も売ってます。
 ほかにも色々と変った店があるのですか、このあたりはこのへんにしておいて、次に行きましょうか。
 こんどはここから一旦さきほどの浅野川大橋のところまで戻り、この橋をわたって寺町の方へと歩いてみましょう。
 橋をわたってすぐのところにある、ひがし茶屋街のあたりや、その先にある寺町周辺は、原田知世主演の映画「愛情物語」の舞台になったところのひとつです。
 また、この辺りには、おいしいきんつばのお店「中田屋」とか、金箔工芸の店「さくだ」なんてものもあります。
 ずいぶんと、繁華街からはずれて遠くにきてしまったので、ここからはバスに乗って、一旦香林坊まで行ってみましょうか。この辺は、ほんとに繁華街なので、いろんなお店がたちならんでます。それらを一軒一軒紹介していたのではきりがないので、ここでは、一軒だけを紹介することにしましょう。
 それは、扇の専門店で、「寿美田扇舗」です。ここには、舞扇はもちろん、謡扇や能扇などさまざまな扇が売っています。
 さてこの香林坊の近くにある中央公園の中には、石川近代文学館があるのですが、ここには、金沢ゆかりの作家が多く展示してあります。なんと驚くべきことに、その中には、さきほどの泉鏡花や室生犀星、さらには五木寛之・井上靖などにまじって、今、現役でバリバリ活躍中の、ある、中堅SF作家の作品も展示してあるんですよ。あえてここではその名前を書きませんが、一度入ってみておく事をおすすめします。
 ここに、谷甲州が展示されるのも、そう遠くないことかもしれませんね。
 ここ金沢紹介を色々としてきたわけですが、いくら紹介してもきりがないので、そろそろ次の一軒で最後にする事にしましょうか。
 その、最後の一軒は、文学館から県庁前の交差点までいき、そこから本田通りをまっすぐ、北陸放送局の前をすぎてすぐの所にある「喫茶・あたごうる」です。
 この店の横壁には、大きくヒデヨシの絵が書いてあるので、すぐにわかると思います。また、店の入口には、『きまぐれ開店・なりゆき閉店』と書かれた木の札が掛かってあるのもみのがせません。店の中にはいると、ヒデヨシと名ずけられたデブ猫がノテッと寝そべってたりします。また、この店のマッチにかかれたヒデヨシのイラストは、あの、ますむらひろしさん直筆なんだそうです。今は二代目のオーナーのはずですが、最初のオーナーは大阪の堺市の人だったんですよ。
 この店、ある意味では個性的な店なので、お客さんのほとんどが常連さんなのですが、ますむらファンのあなたなら、もう常連あつかいにしてくれますよ。いかがですか?

レティ&ジョーイ(?)

 というわけで、今回の特別編をこのあたりで終らしてもらいます。
 おあとがよろしいようで……。



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