ジャカルタからの手紙15

川崎[漁師]博之

一九九二年七月一〇日
発明党党首として参院選出馬の報が世界を駆け巡った。

 と、ぴょんぴょんおじさんの次の著作には新たな経歴が書き加えられるかも知れない。
 七月一〇日付ジャカルタの英字新聞『ジャカルタ・ポスト』に『ジャンピング・シューズ』を履く ぴ おじさんの雄姿?が写真入りで紹介されている。発明党党首であり、参院選立候補者である ぴ おじさんを『World News』欄の一角に取り上げているわけだが、これっていわゆる『こぼれ話ネタ』、『珍談奇談ネタ』、『息抜きネタ』のたぐいのような気がしないでもない。日本の新聞でもありますよネ、そういった色物ネタ。
 ロイター通信社が配信しているようだから、他の国でも取り上げた新聞が結構多いかも知れない。『ヘラルドトリビューン』とか『ニューヨークタイムズ』なんかが取り扱っていれば、 ぴ おじさんは狂喜乱舞して吹聴しまくるんだろうか……。
 東京都知事選でもアメリカの新聞の一角に載ったことが自慢らしい ぴ おじさんだが、どういう扱いだったのかは推して知るべしである。
 でも確かに『ネタ』を提供するだけでも大した存在ではある。
 ところで、発明党の党員には 清 博士とか コ おじさんとか 木 先生とか峯氏とかが名を連ねているのだろうか。党のスローガンは『目指せ! 宇宙連合』なのだろうか……。

 話はまったく変わって地球圏外都市内での商売のこと。
 都市内で『花屋』をやれば儲かる気がする。生活環境を快適に保つため、生理的、心理的に人々は植物を身近に置こうと欲するのではないか。少なくとも宇宙の漁師よりは宇宙の『庭師』の方がずっと喰っていける可能性は高そうである。
 ただ航空宇宙軍史においては、その『どすこい』な世界に『花屋』は似合わないのだろうか。宇宙のシイタケ栽培農家はどうだろうか……。

敬具



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