本物の色物物理学者列伝

前野[いろもの物理学者]昌弘

−事例研究:深野一幸編−

[1] 『19XX年地球大破局』 (深野一幸著・廣済堂出版)
[2] 『宇宙エネルギーの超革命』 (深野一幸著・廣済堂出版)
の2冊を紹介します。

 この著者はUFO研究家でも相手にしない人の多いアダムスキーを「真偽の判断は、ジョージ・アダムスキーの情報を基準とし、それと同じ事を伝えてきているコンタクティ(いろもの註:宇宙人とコンタクトした人の事)を本物、異なる情報を伝えてきているコンタクティを偽物として仕分けをした」(文献[1]より)と評価しているという、なかなかに超科学な人である。超科学十段をあげたいくらいだ。
 コンタクティの言う事は嘘だと言う立場に立てば、オリジナリティのある嘘をついた人ほどこの著者に「偽物」と言われてしまう、という事になるのだな。清家さんと対決させると面白いだろう。

清家 「あれは地球人に受け入れられるようにウソを言ったのだとオーソンが私に言っていました」
深野 「アダムスキーと違う事を言うから、あなたは偽物です」
清家 「じゃあ、オーソンは私にも嘘言ったのかなぁ・・・」
 (あんまり面白くならんな)

 文献[1]の第1章は太陽系の各惑星、月に関するNASAの発表は嘘に満ちている、という主張にあてられています。例えば月に関して言うと、

*空気と水がある。
 理由はアポロ中継の時、星条旗が誰も触っていないのにたなびいた、という事と、月から星がみえた、という事だそうです(宇宙へ出ると星が見えにくい、というのは本当らしいですが、それは目の慣れの問題で、目が慣れた後ではもちろん地上よりよく見えます)。また、NASAの公開した月の写真には雲が写っている事がよくあるそうです(ほんまかどうかはしらない)。

*月には多数の人工建造物がある。
 最初に根拠としてあげられているのが、アポロ16号の宇宙飛行士が「山腹にかけてテラスが次々とつながっているみたいだ」、「あのドーム群がまた信じられないほど素晴らしい」と会話している、という事なのですが。
 みなさん、英和辞典を引いてみて下さい。「dome」には「山の山頂」という意味が有るし、「terrace」には「台地状丘陵」という意味があるのがわかる筈です。それに、アメリカ人がジョーク好きである事も考えなきゃいかんでしょう。英語をしゃべる人間の気持ちもわからんくせに、宇宙人の気持ちが判るとは、片腹痛いおっさんである。 そういえば、全然話は違いますが、最近「ノストラダムスはフセインを“髭の男”として予言している!」と書いてある本がよくありますが、ノストラダムスの言う髭は顎髭(beard)であって、フセインの口髭(mustache)とは違います。
 他にも写真に塔のような物が写ったなど、いろいろ書かれています。この手の写真は、写真集まで出てます(あのコンノケンイチさんの本)。

*月では宇宙服無しで生きられる。
 「月の大気に関する唯一のデータ」(NASAの言う事は嘘だから)はアダムスキーの本にあり、414ミリバールなのだそうである。
 ついでに言うと、重力も地球の6分の1というのは嘘で、アメリカの工学者ウィリアム・ブライアンの計算では64%が正しいそうです。どんな計算かは書いてありません。もしかして、大気が414ミリバールになるように計算したんじゃないだろうな。
 月に大気があるなら、どうして空は青くないのだ。

*火星には充分な大気がある。
 でなければバイキングのパラシュートが開く筈がないし、砂嵐が観測されているのだから濃い大気がある筈。更に、水が有り、生物もいる、との事。火星についてはNASAが最初に「これが火星の写真です」と言って発表した写真が手違いで空が青く写っていた、という事情があり、ここには超科学屋さんたちは必ずつっこみを入れる(最初の写真が本物だぁ)。

*金星は高温の星ではない。
 金星はNASAの発表によれば高温・高圧で人は住めない、という事になっております。しかしそれが本当だとすると、「そんな高温ではICが動かないから、無人探査機を送る事は不可能」なのだそうです(ぁぁ)。そして、なぜそう思うかという理由は「アダムスキーが金星の大気圧はメキシコシティと同じ程度」と書いているからなんだそうです。

*太陽は熱くない。
 理由は、アダムスキーがそう書いているからです(ええかげんにせえよ・・・)。その証拠に、太陽により近い成層圏は熱くありません。

 文献[2]の方もたいがいな本なのだが、一ヶ所笑える程とんでもない大間違いを堂々と書いている。以下のような文章である。

 今、ここに強力な磁石と鉄のジュースの空き缶を準備し、次ページの図のように磁石を糸で吊り、これに鉄のジュース缶をくっつけたとしよう。充分な強さの磁力があるかぎり、鉄のジュース缶は磁石にくっついたままで、下に落ちることはない。
 もし、磁力がなければ、また磁力はあっても充分な強さでなければ、ジュース缶はたちまち下に落ちてしまうだろう。強い磁力があればジュース缶が下に落ちないということは、磁石が鉄の缶を引き付けるという、物理学でいうところの「仕事」をしているということになるのである。

 これを根拠にして「磁石の周りの空間から絶えずエネルギーが湧き出している」と結論するのです。
 この考え方がどうおかしいかは、この文章を「磁石」→「接着剤」とおきかえて見るとわかります。

 今、ここに強力な接着剤と鉄のジュースの空き缶を準備し、次ページの図のように接着剤を糸で吊り、これに鉄のジュース缶をくっつけたとしよう。充分な強さの接着剤あるかぎり、鉄のジュース缶は接着剤にくっついたままで、下に落ちることはない。
 もし、接着剤がなければ、また接着剤はあっても充分な強さでなければ、ジュース缶はたちまち下に落ちてしまうだろう。強い接着剤があればジュース缶が下に落ちないということは、接着剤が鉄の缶を引き付けるという、物理学でいうところの処の「仕事」をしているということになるのである。

 それとも、この人は接着剤も仕事をし、故に接着剤も空間からエネルギーを湧き出させる、と主張するのでしょうか?(う・・・主張するかもしれんなぁ)
 物理でいうところの「仕事」は「力」×「力の方向に移動した距離」なので、この場合、仕事は0なのです。
 まともな物理の教科書を見れば、「物体を保持しているだけでは『仕事』は0です。力の方向に動かさない限り『仕事』はありません」と書いてある筈ですが…。
 このような物理における「仕事」の定義は日常用語における「仕事」と食い違うので、ついつい何かを動かさないように止めているだけで仕事をしているように思いがちではあるのですが…。
 しかし、この著者、工学博士なんだよなぁ・・・。

 文献[1]の裏表紙にある“神のプログラム”によると、1992年5月には関東地方に巨大地震が起こるそうだ。もうすぐだぞう!

深野一幸

 1941年生まれ。東京工業大学応用物理学科卒。工学博士。
 「宇宙のしくみ」を知る男、深野博士。
 著書に「199X年世紀末大破局」、「地球大破局からの脱出」「宇宙エネルギーの超革命」など。
 また、博士は「危ない科学者」である。思想や理論、その性癖が危ないという意味ではない。あまりに大胆に科学の虚飾(「影の世界政府」による操作)を暴くために、その命が危ないのだ。(但し昨今は「フリーエネルギー国際会議」が行われるなど、その情勢も変わろうとしているようであり、「影の世界政府」の政策も歴史的な転換期を迎えているらしい)
 博士は現在の地球環境危機、エネルギー問題など、世紀末の破局について警鐘を鳴らすとともに、その解決のため宇宙エネルギーの利用を提唱している。
 先に触れた、「影の世界政府」による隠蔽工作が行われていた宇宙エネルギー技術が、そろそろ一般の人々のものになろうとしているのだ。
 これが実用に供されれば、人類の未来は明るく開けたも同然である。
 宇宙エネルギーの効用はとてつもなく大きい。
 挙げてみると、病気治療、健康増進、食品効果(味がよくなる)、植物効果(育つ)、動物の飼育効果(育つ)、洗浄効果、音響効果、香りの効果、自動車への効果(燃費がよくなる)、人間の能力アップ、化粧品としての効果(シワ、しみがとれる)など、枚挙にいとまがない。おそらく恋人ができる効果もあるだろう。
 現代科学の「第3のパラダイムシフト」があるのはいつか? UFOの技術が地球人全てに公開される日はいつか? あなたも宇宙意識に目覚め、地球人の霊格アップに努めて大破局から世界を救うのだ。
 深野博士は知っている。

 あなたも深野博士に聞こう。
「博士号はどこで売っているのでしょうか?」



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