本物の色物物理学者列伝

前野[いろもの物理学者]昌弘

−事例研究:清家先生講演会報告−

 11月23日、京都大学の大学祭の企画である、清家新一先生の講演会を人外協のメンバー多数と一緒に聞きに行って来ました。参加したのはうちの愚妻と、隊長、落合[いまいちキャラクターの薄いMSG]隊員、中村[不明]隊員、岩瀬[従軍魔法使い]隊員、柏谷[こいつの役職名は「使ったら1万円」じゃなかったっけ?]隊員、でした。

 清家さんは見た目はおっちゃんとじいさんの中間くらいの風貌で、話し方が実に素朴と言うか…。言葉につまると、「・・ま、あれです」と言って次の話しにいってしまったりと、話しなれしていません。
 その素朴な話しぶりと温厚そうな顔にだまされる連中がいるのでしょう。

 この講演会ですが、京大の理学部の自治会が主催です。ギャグで呼んだのかと言うとそうではないらしく、うちの先生が「なんで清家さんの話しがいいの?」と聞くと「パラダイムシフトがあるからです」と答えたそうな…(嘆息)。

 気を取り直して、この講演の内容をいくつか紹介しましょう。

★メビウスコイル

 メビウスコイルというコイルの巻き方(だんご結びを結びながら巻くような巻き方)をし、右巻きコイル、左巻きコイル等を“電流を流しても熱がでないように”つなぐと、この重量が減っていくのだそうである。「15時03分には0.3g、15時13分には0.5g軽くなりました」ってな感じで、実験をやった時刻まで報告して下さる。そんなの、どうでもいいんだがなぁ。また、メビウスコイルの形にホースを巻き、そのホースに水を3ヶ月ほど流してのち、植物にやると、3メートルのコスモスができたりするそうです。3日ほどで水が「とろ〜ん」としてくるとか(腐ってんじゃないのかぁあ)。「じゃ、メビウスコイルを身体に直接巻けば身体がよくなりますか?」という質問(この質問をしたのは京大の助手の先生である。もちろん、ギャグとして言っているのである)に、清家先生はしばらく考えた後、「まず兎かなんかで実験してから……」と言ってました。

★助手

 他に、もう少しで結果が出そうな実験があったのですが、助手が風邪を引いたとかで今日は話せないとか。「助手がいたんだなぁ」と中村[不明]隊員は不思議がっておりました。

★2π10log(3)

 光速は2π10log(3)で小数点3桁まで(これは2.999..となるのです)現わせる。この2πは地球が丸いことから、3は地球が3番目の惑星である事から来るのだそうです。「なぜメートル法なのですか?」という質問が出てましたが、場内から「メートル法は地球の大きさを基礎にしているから、これでいいのでは」という声がありました…。
 しかし、だとすると水星は第1惑星だから光速は0になるのだろうか(10log1=0)?
 それにこの10log、底が10なのである。なんで10進数がそんなに大事だぁ。
 もしかしたら、火星人の指の数は「光速が地球と火星で同じである」という条件から決まるんだろうか?(整数になら〜ん)

★第6の力

 第6の力という物があり、正物質と反物質がはじかれあいます。反物質は、地球と、「物質である空間」に押されるのでどんどん加速し、このロケットを使えばアルタイルやべガなどの遠くでも1ヶ月以内でいけるそうです。聴衆の一人が「地球の時間でですか?」と質問すると、「はい、そうです。これはホーキングの虚数の時間で測るのです」との答えでした。ホーキング虚数時間になるのは、相対論のγファクターが“特別な数字”7を越えた時です。
 どうして“7”は特別なんだろう?きっとラッキー7なんだろうが。
 しかし、なんで7を越えたからと言って時間が虚数になるんだぁぁぁぁ。
 これで思った事。「清家新一vsコンノケンイチ:大激論!ホーキングは正しいか?」をやったらどうなるのだろう????

コンノ 「虚数の時間なんてこの世には存在していません」
清家 「いえ、ここでγ因子がラッキー7を越えると、時間が虚数になるんです。ほら・・・その、あれです」
コンノ 「数式に頼るのは科学バカだ!」

 想像するだに恐ろしい…。

★物理の教科書

 この第6の力、距離に反比例します。重力は距離の二乗に反比例し、それが物理の教科書にのっていますが、15年後の教科書には距離に反比例する力が載っている筈だそうです。う〜む。この自信はどこからくるんだ。

★反物質

 反物質は正の物質にはじかれるので、宇宙の果てに「反宇宙」を作っています。反宇宙とこの宇宙の境目にはπ0のような正・反の区別のない粒子が溜まっているのだそうです。この反物質は時間が逆向きに立ち、マイナスの絶対温度を持つそうです。この為、メビウスコイルの中で発生した陽電子が回路を冷やし、その為先に延べた重量の減る回路では、温度も下がっていくそうです。その温度の下がり具合いというのがまた、小数点2ケタ以下…。そんなもん、いくらでも変わるわい。そもそもこの回路は温度がそこまで一様なのか?
 なんで陽電子というだけでそこまで何でもかんでもひっくりかえらなならんのか、さっぱりわからん。

★金は・・・

 回路の中に陽電子が発生します。金は陽電子と対消滅しにくいので、金を回路に使うと、劣化しなくていいのだそうです。単に金の電気抵抗が小さいだけではないのか!!

★反宇宙

 反宇宙では時間が逆向きなので、反宇宙にいけば若返ります。清家プランでは、2050年になると反宇宙へ行けるようになります。その時代では、90歳くらいになると、「反宇宙へ行きなさい」という辞令が出るようになるとか(それまでは、メビウスコイルで作った“身体にいい水”を呑んで頑張るのだそうです)。清家さんが長生きできますように…。

 会場でいろいろと質問が出ていました。中には、意地悪くというか、「先生が20年前に書かれた本には『もうすぐできる』と書いてありますが、まだできないのですか?」と聞く人などもいましたが。
 同じ人が、「アダムスキーはUFO研究家の間でも否定されているようですが」という質問に対し、清家先生がオーソンという宇宙人に聞いた話(直接、聞いたらしい…)では、オーソンはアダムスキーと話す時は、「あの時代では恒星系の話をしても地球人にはついていけないので」という理由で太陽系の話にした、という事を答えていました。アダムスキーの本には「金星人がいる」とはっきり書いてありますが、その理由はこれだそうです…(随分人が悪い宇宙人だな…)。
 うちの愚妻[孤高の夫婦漫才]は、こういう質問に「いかんぞ。あれはいかん。こういう真面目な質問をする場じゃないんだ。ここは」と憤慨しておりました。ひらたく言えば、「あ〜た、こんなんにマジになったら負けでっせ」ってとこでしょうか。
 「どうしてメビウスコイルを巻こうなどと思ったのですか?どういう哲学的背景ですか?などと質問した人に(この人もしつこかった……だいたい、科学に”哲学的背景”等と言い出すのは邪道である。清家さんが科学かどうかは別にして)「アホかお前!やりたかったらに決まってるやんけ!」等という声もありました。

 先にも登場した京大の先生は「この素晴らしい発明の特許はとられたのですか?」と質問していました(完全に“盛り上げ役”に回っている…)。それに対する清家さんの答えは「まだまだ先へ行きたいので特許なんてとっている閑はありません」だそうです。

清家新一

 昭和11年4月生まれ。東大の数物系大学院を卒業した後、茨城大学、愛媛帝京短大で教壇に立つ。昭和44年に「超相対性理論」を発表。昭和48年に「重力研究所」(現「宇宙研究所」)を設立。以来孤高の姿勢で真理を追及する。 著書に 「超相対性理論」、「空飛ぶ円盤製作法」など多数。たまに金星人オーソン(清家先生によれば、オーソンは金星人ではない)から電話がある。
 研究の基礎となっている超相対性理論は、相対性理論にディラックの反粒子論を導入した画期的なもので、ノーベル賞委員会の調査対象(勿論ノーベル賞の、である。)になった事もあるという(真偽不明)。
 この理論によってUFOの推進原理は解明され、メビウス状(だんご結び)のコイルはもりもり反陽子を産み出し、時間は逆転し、実験装置は地球をその中心とする(正)宇宙から反宇宙へと“押しやられ”るのである。
 また、メビウス状に巻いたホースを流れる水は内部で発生する反陽子により、「健康になる水」に変わる。しかし、『反陽子は健康に良い』という大発見も清家先生にとっては瑣末な事でしかない。 目標は教科書に載る事だ。そして、反宇宙へUFOに乗って行き、若返ったその身体で星の乙女を探し続けるのであろう。

星の乙女
 彼が学生時代に机上のノートに「火星の女性からのものらしい(清家先生)」走り書きがあり、内容は当時先生がアイデアとして持っていた理論について示唆したものだった。 この「火星の女性」は清家先生にとっては永遠の憧れの女性なのである。(しかし、36歳のときについにあきらめて結婚、 2児の父となる)
その思いを謳った歌はあまりに有名である。
 「月暗き、夜空をひとり仰ぎつつ
   想いほのかに
    星の乙女へ」
 ロマンの人、清家新一。彼の朝は早い。



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