《理科 1》エネルギーの単位・第46回

第三勢力(臨時隊員):前野[いろもの物理学者]昌弘

 ここでは、エネルギーの単位を制定するにあたって留意すべきことを述べ、実例をいくつかあげたいと思う。
 物理の単位には次元というものがある。2次元、3次元という意味の次元とは違う。次元とは「その量が、どんな物理量を基本として組み立てられているか」という意味である。たとえば速さなら、(距離)÷(時間)である。力なら(質量)×(距離)÷(時間)÷(時間)である。(距離)にはメートルをつかってもヤードをつかっても尺をつかっても「わしの一歩分」をつかってもオングストロームをつかってもよい。(時間)には世紀でも年でも日でも分でも秒でも「わしのくしゃみ一回分」をつかってもよい。エネルギーの場合は(質量)×(距離)×(距離)÷(時間)÷(時間)である。エネルギーの単位を作る以上はこのような計算で作られていなくてはいけない。逆に言えば、このように計算されていれば、エネルギーになっているのである。
 そこで、今計算したいエネルギーに対応して適当な単位を組み合わせていくことで、新しいエネルギーの単位を作ることができる。
 たとえば反復横飛びのエネルギーを計算するための単位を考えるとしよう。反復横飛びは20秒の間に中央からある距離だけ離れた2本の線までの往復運動である。(質量)は人間の標準体重がよかろう。反復横飛びでは線を越えるごとに一点入る、というルールが日本反復横飛び連盟だか日本反復横飛び協会だか(実在しているかどうか定かではない)で決められている。よって(時間)には20秒を使用すべきだろう。(距離)にはこの点数を使用する。どうせなら標準的人間の場合が1ぐらいの数になるようにしておくのがよいだろうから、45歳を想定し、(質量)に関して80kgが1となる単位を使い、45歳での平均である40点を(距離)の1単位とする。つまり80kgの人間が40点という結果を出したならば1ドテドテである。「エネルギーだから2で割るべきなのでは?」という人がいるかもしれないが不要である。なぜなら今やっていることはエネルギーの単位の定義なのだから、2で割らなくていいように定義してしまえばいいのだ。さらに「反復横飛びでは等速度で走っているわけじゃないんだから、距離を時間で割っても速さにならんでしょ」というつっこみも却下である。単位の定義などどんぶり勘定で良いのだ。定義が悪くて後で苦労したとしてもそんなの知ったことかである。そもそも「後」で使う気など毛頭ないのでどうでもいいのだ。
 こんな単位を作ってどーするのだ、と思うかもしれんが、「反復横飛びの点数が40点から30点になっちゃったよ」と言われてもそれほどショックじゃないが、「1ドテドテから0.5625ドテドテになってしまったよ」と言われたらもう今にも死にそうな気分になる。なんせ半分になってしまっているのだ。今のは45歳を想定した単位だから、若い人向けにはなっていない。中学校2年生の場合で平均50点ぐらいであるからこれを1単位とする。中学2年生なら質量は40kgを単位とすべきだろう。こうやって作った単位をサカサカとする。1ドテドテは何サカサカだろう。体重が倍違うので1ドテドテは2サカサカになる、ではもちろんいけない。(距離)の方も違うからである。40点と50点の差で1.25倍あり、(距離)は2回掛け算されるから、1.5625倍になる。よって1ドテドテは1.28サカサカとなる。そうか45歳で40点出すのは、中学2年生が50点だすより、エネルギー的には28%も大きいのか。おとーさんまだまだがんばっちゃうぞ、と考えると大間違いなのである。実は何を隠そう、12歳から25歳までの間の反復横飛びは線と線の距離が120センチ。それ以外の年代では100センチとなっているのである。年齢差を吸収するような単位を考えたつもりが、すでに競技自体が年齢差を吸収するように作られていたのだった。あなどりがたし、日本反復横飛び連盟(実在するかどうかは定かではない)。つまり、中学2年生の出す50点は45歳の出す60点に等しいのだ(あくまで距離のみ比較した場合)。というわけで(距離)の単位が1.5倍違うとして計算してあげると、1ドテドテは0.88…(8が延々続く)サカサカである。したがって、「45歳になったらドテドテを単位に使うのが、正しい年の取り方と言うものだ」と納得すべきなのだ。
 このようにその場その場でその場しのぎに適当な単位を制定していくと、いろんな意味で生活が豊かになること請け合いである。みなさんも是非、「踏み台昇降用の単位、1ドッタン」とか「えんぴつ回し用の単位、1クルリン」とか「コカ・コーラ350mlによって補給できるエネルギーの単位、1プッハー」とか、役に立つような立たないようなびみょ〜な単位を作ってみていただきたい。めんどくさいから計算しないが、1プッハーが何ドテドテなのかはわしとしても気になるところだ。

 

匿名希望[単位変換の権威]某

 足先が100cmの幅を移動するといことは、体の重心位置は、それよりも少なめに移動していることになるはずである。そこで脚の幅分を100cmから引いて、重心の移動距離は60cmとする。
 1ドテドテは、20秒間に40径路分を移動することになるから、60cm分の時間は0.5秒。この時間の半分で等加速、半分で等減速と仮定すると、その加速度は、9.6m/sec2となる。
 20秒間の移動距離は、60cm×40= 24.0mで、記事にあるように、エネルギーは質量×加速度×距離なので、80×9.6×24 = 18,432Jとなる。
 またコカコーラ350mlの熱量は137kcalらしい。
 ここで1cal=4.184Jなので、ジュールに換算すると573kJとなる。
 以上より1プッハーは、約31ドテドテとなる。



back index next