パリは恋人の街・第37回

第三勢力:溝口[日本沈没]幸生

 どうも最近は何やかんやと忙しいです。リストラで従業員を減らされているので、少ない人数で仕事を回しててんてこ舞い状態だし、太鼓叩きの方も結婚披露宴で演奏のお座敷が2件掛かり、ルパン3世のテーマ@ジャズバージョンとか、世界中の誰よりきっと等等と色々な曲を叩きました。新郎新婦とは面識が無かったので御祝儀は払わなくて良いし、ギャラは出ないけど会費はロハで飲み食い出来るので、まぁええかなとやっていました。演奏曲を覚えるのが少々面倒ですけどねぇ。まぁこのタイトル、どうやらあの恥ずかしいハーレクインロマンスが元ネタだそうですが、そんなこんなでセッションと酒の日々ばかりで、パリは恋人の街なんてのとは全く無縁な生活ですわ。わははは。
 そんなある日の事、23時もちょっと回りさて寝ようかと思っていた所、知り合いの太鼓屋氏から電話が来ました。さて内容はと言うと、今度1月26日にアート引越しセンタープレゼンツの、社会人バンドウォーズ2003って社会人限定のアマチュアバンドコンテストが有りまして、出場エントリーしているんだけど3月に交際相手と急遽結婚が決まり結婚準備で忙しく、どうも参加出来ないので代わりに太鼓を叩いてくれないかと頼まれました。枠は10分で2曲演奏するのかぁ。
 実はこの太鼓屋氏の代打ちをやるのは、今回で2回目だったりしたんですがね。まぁ、どうもそういう星の巡り合わせの様です。そんなこんなでまぁしゃあないなと言う事で引き受けた訳です。で、演奏曲のテープを直ぐ送るって言っていたのに、待っても待っても送って来ない。これではどうにもならんので自腹でCDを買い、コピーする羽目になってしまいました。何をやるのかというと、エゴラッピンの「くちばしにチェリー」(私立探偵濱マイクのテーマ曲ですね)と、オレンジペコってバンドの「やわらかな夜」の2曲。聴いた事が無い曲だったのでCD買って聴いてびっくり!めちゃ難しい曲じゃないですか。エゴラッピンの方はテンポ速いわキメ多いわで、さらに「やわらかな夜」はジャズワルツ+ブラシを使うプレイだったので、聴きながら段々と冷や汗を掻いていました。さては太鼓屋氏は逃亡したなぁ。嵌められたぞなどと感じながら聴いていまして、どうせならもっと簡単な曲の方がまとまり易いんだけどなぁ等と思いましたねぇ。こんな曲を持って来るなんて、バンドの皆さん中々チャレンジャーですなぁ。
 で、これホンマにちゃんとバンドで出来るんかいなと不安を抱きつつ、初練習へと行きました。簡単な顔合わせの後、早速音合わせへと。がしかし、メンバーさんは全員揃っていなくてヴォーカルもギターもラッパもサックスも来ていなく、何とも寂しい練習となりました。とほほほほ。音の方はメンバー揃わなかったので評価不能としておこうと思いながら家に帰りました。
 ますます大丈夫かこのバンドは?と思っていましたが、本番まで後1週間、引き受けた以上は私自身も、このイベントを見に来られるであろう大勢のお客さんの前で恥を掻きたくないし、何とかしなければいけません。本来はあんまりバンドの音には口出しする気も無かったんですが、(本番まで日にちも無い事だし)やりたくも無い小姑モードへ変身しまして、まずは演奏が成立する最少人数だけでも揃うように努力しましょうよ〜ここはもう少ししつこく練習しましょう等等と、あれこれとアドバイスしながら突貫工事で練習を重ねるうちにメンバーさんも揃い、音の方も何とかそれなりには纏まった様な気がしたのでひとまずはほっとしました。
 纏まって来たとは言うものの、本番ではどんなトラブルが起きるかは判りませんので、いささか不安を抱えながらいよいよイベント当日となりました。とにかくこのイベント、沢山のバンドが(この日出場は21バンド)入れ替わり出場するので、ライブハウスへの入り時間が早い。眠い目を擦りながら朝の10時からハコに集合となりました。ハコに入ってバンドごとに割り当てられた客席に付き、まずは主催者側から当日の注意や段取りを話す、オリエンテーションなるものが有りました。何だか学生時代なんかの学校行事のノリだなぁ。出番1時間前にはちゃんとロビーで待機して下さいねとか。親切丁寧なのはありがたいけどな。
 リハ開始。と言ってもちゃんと曲を通しで演奏するのでもなく、単純に音響PA担当さんのセッティングをチェックするだけに近く、30秒ほど演奏すると進行スタッフさんが演奏を止めて、特に問題が無ければそれで終了となります。PAさんもステージスタッフさんもよろしくお願いいたしまする〜等と挨拶をして、うちのバンドのはリハ終了。
 ヒマなんで他のバンドのリハも見てみると、レベルは様々でおいおい大丈夫かいなと思うような所も有ったりでした。やたらめったら沢山の機材と人数のバンドがリハしていて、おお!これはどんな音なんだろうかと思って聴いていると実はショボショボだったりとか。バンドの楽器プレイヤー各々は結構上手そうなんだけど、音がバラバラで纏まっていません。ここのヴォーカルさん、PAさんからマイクの持ち方まで指導されているのは、かなり格好悪いなぁ・・・とまぁ、自分の所は棚に上げて聴いていたんですけどね。ははは。
 他所のバンドのリハを見るのも飽きたので会場を出ました。この時点で午後1時過ぎ。出番は8時以降と本番までかなーり時間が空いたので、ここで一旦解散となりました。のんびりしたかったんで家に帰り銭湯に行って汗を流し、一眠りしてさらに夕食を取り時間も頃合になったので会場に戻って出番待ちです。客席から暫く聴いていましたが、うるさいのから静かなデュオまでいや本当に色々なバンドが出ているなぁと思う。
 で、スタッフさんに促されていよいよ出番です。流石にメンバーみんなけっこう緊張している様子でした。こちらもつられてちょっと緊張して来ました。そういえば楽屋裏で待機している時からメンバー落ち着き無かったもんななどと思いながら太鼓セットに付き、こちらのカウント一発で演奏開始です。
 一曲目は懸案のジャズワルツの曲「やわらかな夜」だ。おお、緊張していた割にはみんな落ち着いていて良い感じなんじゃないかな。歌に応えてここからピアノソロだぞ。頑張ってくれよ鍵盤師。うん、上手く行った。ふぅ。歌に戻ってもう終わりだ。ブラシからスティックの持ち替えも上手く行ったし、みんなも別にミスも無く何とか終わったぞ。やれやれ。でも太鼓はシンバルでリズム刻むのがうるさかったかなぁ。シンバルの角度をもう少し寝かした方が良かったかな。まぁセッティング煮詰められなかったんで、自分としてはミスってしまったなぁ。
 続いて「くちばしにチェリー」だ。テンポ速いから太鼓までも走って行かないようにしないといけないな。うん、最初はまぁこんなもんか。よし曲の1番終わった。続いて間奏だブラスのキメがキタキタキターだ。うん良いぞぉ。こちらもキメを何とか合わせる事が出来た。このままブリッジ越えて盛り上げだ。あれ?何だかみんなリズムがずれて来てるぞ。どうしたんだろうか。やべっ!ベースさんが乗り遅れてきている!これは大変だぁ。こういう場合は戻すのが最優先なんだから、律儀に譜面通りに弾かなくてもいいんだよぉ。こちらが合わせようとするとグチャグチャになるから何とか通常ペースに戻ってくれ頑張ってくれ。ふぅ。何とかエンディングだ。まぁ終わり良ければ全て良しだよなぁ。
 演奏終了。オッケーオッケー。みんなお疲れさんでした。ステージスタッフさんもどうもありがとうございました。おかげ様で楽しく演奏出来ましたですよ〜。って何?あ、そうか司会者から出演メンバーにインタビューがあったんだよなぁ。すぐ袖には引っ込めないんだったよな・・・。こういう場面は正直苦手なんだが。
 あ、司会者さんが話をこちらに振ってきたぞ。そうです一人だけおっさんですよ・・・いやあのぅ私実はヘルプなんでパンフレットに書いてある太鼓屋氏とは違うんだな。色々事情が有りましてね。
 そんな訳だから一人だけおっさんで悪かったな。
 とまぁ、無事本番も終わり?まして、これでやっと解放されると思いきや、まだ結果発表まで居なくちゃいけなかったんですね。バンドの打ち上げに誘われていたので帰る訳にも行かず、イベントは一応コンテストなもので。勝ち残り組は厚生年金会館で決勝大会に出るそうな。
 結果はうちは見事落選でした。まぁコピーバンドよりはオリジナルやっているバンドの方が有利だったみたいです。一見のお客さん達にも受けがよく、この日一番の盛り上がりだったバンドが落選していたりと一部審査結果に納得が行かない所も有りましたが・・・ 結局夜の10時に閉会でした。朝10時から始まり解放されるのが夜10時という、実に凶悪なイベントでございました。
 今回のメンバーさんみんなはこのイベントにはちょくちょく出ているみたいですが、こちらはまぁ2度目出場を頼まれても出る積もりは無いですが。もうお腹いっぱい(笑)。
(まぁパリは恋人の街なんて曲が有れば出るかもしれませんが)



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