亭主調理法・第31回

第三勢力:天羽[司法行政卿]孔明

 さて、子育て休暇中の香月に代わって、今回もぼくが書かせていただきます。
 なんか、第三勢力には人材がいないのかって思われそうですが、そうではないのです。念のため……。
 本来なら今回は、亭主を調理する方法をお届けするつもりだったのですが、亭主なんか調理したって、食べられたもんやないですよ。だいたい亭主なんてなもんは、ブクブクと太って脂肪だらけか、あるいは筋肉質で肉が堅いか……。いや、ぼくがそのどちらかだとは言わないのですが、それにしたって、亭主なんざ美味しいとは思えません。どうしても食べるとすれば、そうですね、脳味噌と、眼球ぐらいかな、食べられるのは……。ただ、聞いた話によると、よほど上手に調理をしないと、脳味噌は苦いそうです。でも眼球は、なかなか美味だそうですよ。えっとほら、チュウリップグラスってんですか、そこに三分の一程クラッシュアイスをひき、そこに、よっく冷やした眼球をポトリ。これをフォークで突き刺すと、プチッってさ、美味しい汁が出てくるのよ。むふふふふ。あっ、涎が……。
 いやまぁとにかく、人肉調理法を書くのはそれほど難しくはないのですが、それが亭主ってことになるとね、ちょっとね。だって、嘘でも家ではぼくが亭主ですし、自分で自分の調理法を書くってのはやっぱり抵抗があるのです。
 ……ってわけで、今回は亭主の調理法……、いやまぁつまり、男の料理法を書こうってわけですわ、うん。


 さて、男の料理は豪快さが大事です。調味料なんかも、いちいち計ったりはしません。自分のカンが大事なのです。そこんとこを理解した上で、以下をお読み下さい。

 まず一食目。
 ちょっと大振りな男物の茶碗を用意して下さい。
 そこに、炊き立てのホカホカご飯を八分目。
 次にお箸でご飯の真ん中にちょいと穴を空けます。
 そこへ、生卵を一つ割り入れて下さい。お好みで、鰹節をパラパラとふりかけるのもいいでしょう。
 そしておもむろに、醤油をトポトポと……。
 あとはお箸でご飯に乗った生卵の黄身にプチッて穴を開け、怒濤の勢いでガツガツと食べましょう。
 これが男の卵かけご飯です。
 ちなみに、あらかじめといた卵をご飯にかけず、ご飯の上に直接生卵を割り入れるのは、卵本来の味を味わうためです。こちらの方が、まちがいなく美味しいのです。

 続いて二食目。
 まずは中華鍋を用意してください。
 そこにお水を適量入れ、コンロにかけます。沸騰した所を見計らって、適度な大きさにザクザクと切ったキャベツ。適量のモヤシ。お好みでスイートコーンも適量。あと、インスタントのラーメンをひとつ。
 麺がほぐれたら、インスタントラーメンに付いていたスープの素を入れて完成です。
 これが男の即席ラーメン。
 普通のラーメン鍋で作るよりも、本格中華っぽい気分が味わえます。

 そして三食目。
 食パンを一枚用意して下さい。
 次に、食パンの外周に、トースト用のマヨネーズで壁を作ります。
 あとは、壁の内側に生卵を一つ割り入れ、それをオーブントースターで焼くだけ。
 これが男の卵トースト。
 ただし、時々マヨネーズの壁を生卵が越え、オーブントースターの中が無茶苦茶になって奥さんに怒られ、亭主が調理されちゃうかもしれませんが、それもこれも男の料理なのです。
 さて四食目。
 まずは土鍋を用意し、そこでお湯を沸かして下さい。
 お湯が沸いたら、そこに冷凍餃子を数個と、中華ブイヨンを一つ。お好みで、椎茸の微塵切りや白菜をちぎったのを入れ、一煮立ちしたら男の水餃子の完成です。
 なにも言うまい。とにかく旨い!
 この料理のすごいのは、餃子の代わりに豆腐を入れると、なんと中華風湯豆腐になるところ。もちろん、これも旨い!

 さぁ、五食目。
 中華鍋に油をひき、そこに、生卵を一つ割り入れます。
 菜箸で落とした卵をくちゅくちゅっとかき混ぜたら、そこにお茶碗一杯分のご飯を入れ、まんべんなくかき混ぜます。
 それをいったんお皿に取り、再び中華鍋に油を引き、そこへ味付け焼き肉を入れ、焼き上がりそうになった時、取り置いた卵ととご飯を混ぜたヤツを中華鍋に入れ、よっくかきまぜます。
 とっても美味しい焼き肉チャーハンの出来上がりです。

 さぁ、男の料理もいよいよ最後。
 ここで、ぼくのとっておき。スペシャルラーメンの作り方。
 ラーメン鍋に牛乳を入れ、煮立ったところでエースコックのワンタン麺を入れます。麺がほぐれたらワンタン麺のだしをいれたら出来上がり。
 これぞ男の牛乳ワンタン麺。まずはお試しあれ!


いかがでしたか?
 今回は6食しか紹介出来ませんでしたが、いずれ機会があればまた紹介しましょう。
 では、さらばでござる!

ある日の夫の食卓の図



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