熱茶藪医の詩・第24回

第三勢力:土肥[都樹の錬金術師]伸生

 今回、原稿が、間に合いそうにない……。
 どうしよう。
 昔の、書きかけので、なんとかしようか?
 フロッピーはどこだ……。
と、いう訳で、次の文書が発掘された。

夢見る街

 久しぶりに、夜の街を歩くのだった。
 昔はよく、友達と遊びにきたものだった。
 今は、彼一人だった。
 彼は、“スーツ”と呼ばれる仕事着で歩いていた。2トンほどあったが、羽根一枚乗せているほどもなく、彼は素っ裸で歩いているみたいだった。
 それでも、外見はひどい物だった。戦闘用のスーツと違い、測定用のセンサがゴテゴテとくっ付いている。背部はもとより肩、腰、腕に足。光学、大気センサその他諸々、大気、土壌採取用の装置まで付いている。身長2メートルの人型土木機械といった感じだ。ゴツイ、一般のスーツがスマートに見える程だった。
 ヘルメットの右脇に付いているライトが、舗装道路を照らしている。
 彼には、連れが三体いた。一体は、彼の左側に、彼の歩くスピードにあわせてついてきている。そして、ほかの二体は街中をランダムに走っている。その二体は今回、彼が、担当した広い地域を彼のかわりに走査しているはずだった。文字通り『走査』だった。彼らは、彼と彼の連れとは違い、時速百キロ近いスピードでこの街を走りまわっているはずだ。彼のスーツの音感センサをちょっと、上げれば彼の駆回る音が拾えるはずだ。
 彼の連れと他の二体の外見といえば、箱型のちょうど装甲車を中型犬くらいの大きさにした感じで、前面に大きな丸い硬質ガラスがはめ込まれており、光学センサ、音センサがつまっている。
 その物言わぬ彼の隣の連れは、他の二体から送られてくるデータを収集し、統合する。そして重要と思われるものを、彼自身が収集しているデータ解析に埋もれたヘルメットのバイザーの片すみに、転送し、数字や、画像をうつしだした。
 彼が、今回担当している街は、何十年も前に

 と、いう所でとまっている。
 確か、これは、「幽霊の話」だったと思う。どこが、「幽霊の話」か、というと私の頭の中ではそうなっていくはずだった。途中で止まっているが……。
 高校の時から文章を書き始め、18で富士通のワープロを買い、いろんな文章を書いてきた。23の時、働いていた大学病院のごみ捨て場で、山と積まれたコンピュータを見たときは、狂気乱舞したものだった。今の阪大医学部から城東区の家まで、でかいバックに詰め込んで、電車を乗り継ぎ苦労して本体とプリンタを運んだ。
 天羽さんからモニタをもらい、阪本さんからCPUをもらった。ワープロソフトが起動したときにはうれしかった(今にして思えば、よく動いたものである。それに、これって窃盗だよなぁ)。
 その、コンピュータのディスケットが、5インチ用だった。5インチフロッピーから、3.5インチへの移行の終わり頃の時期だったと思う。なかなか5インチをおいてある店がみつからなかったのを覚えている。今でも、自分の文章を保存した5インチは残っているが、今の状況では、読み出す術がない。ちなみに、ワープロも手元にないので、残ったフロッピーもどうにもならない(2DDなので)。でも、なかなか捨てられない。
 いったい、あの頃、どんなものを書いていたのか? その創作モドキを読んでみたい気もするが、上の文章を見るかぎりでは、おしてしるべしだろう(赤;)。
 現在のPCは二代目で、最初に買ったのは、部屋のスペースの都合上、ノート型だった。
 今は、デスクトップである。部屋が広くなった訳ではないが。
 このPC、ほとんど仕事で使われている。借金が無いだけの貧乏生活だが、昔より多少楽になり、Windowsマシンを買えるまでになった。拾ったコンピュータはあれから、6年間使い、静かに亡くなった。Word、Excel、WZその他もろもろ、どれもこれも100%使える訳ではないが、文章を作るくらいなら、支障ないくらいには使える。
 師匠に「だったらもっと何か書け」といわれそうだが、どうにも、時間が無い(と義理の兄に言ったら「時間は無いのではない作るものである」といわれてしまった。正にその通り)。
 まあ、言い訳がましいが、仕事が終わって、帰りつくと本当に何もしたくなくなる。ハードな仕事だと思う……。我ながら。
 なんだか、愚痴になってきたな。
 そーいえば、何ヶ月も「SFマガジン」を買ってないな。甲州先生の作品も、とんと読んでいない。最後に読んだのは、林さんのいや、林先生のガンダム関連の本だったような気がする。
 いつの話だ?
 いかん、SFばなれが進行している。
 毎月の画報は読んでいるのだが、(内容がわからず)ついていけない所もあるし……。
 やっぱり、読まなくなったのが、書かなくなった原因かも知れない。
 本屋にもずいぶん行ってないな。
 今日の夜勤明けにでも、よってみようか。
 しかし、相変わらず、取りとめがないな。俺。

 熱茶薮医の詩でした。



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