ワインレッドの半分空席・第21回

第三勢力:溝口[日本沈没]幸生

 いやいやいやどうもこんにちは!音楽バカな溝口でおます.今回も興味の無い方には全く面白くないであろう話題で,失礼いたしまする.
 暑かった夏も終わり,すっかり秋ですがいかがお過ごしでしょうか.私の方は今年前半からずっと続いていたセッションやライブの波が,この間9月のライブで一段落した所です.
 この9月ライブでは少しジャズっぽい曲で太鼓をやりました.前回書きましたバンドのライブです.
 しょうも無い事では有りますが,会場に置いてある太鼓セットの色が銀ラメで,私が用意した小太鼓の色がパール入った赤色とちぐはぐだったので,事前にリサーチしておいて,色味を合わせた方が良かったなとちょっぴり思いました.吹田江坂の某ホールみたいにワインレッド系の色味だったらバッチリだったんですけどねぇ.
 んで,肝心の演奏の方はどうだったのかと言うと,本人あんまり緊張したつもりは無かった筈だったんですが,私の方が少しテンション上がりすぎてしまい,いささかテンポが速すぎた様で,後で録音したテープを聴いてちょっと落ち込んでいます.年齢が上がるに連れて集中力が落ちてきてるみたいなんで,今後はいかに体力の維持&普通のテンションで演奏出来るかが,課題ですねぇ.余裕かまして演奏ってのが理想なんですが,これはまぁもっと練習量を増やさなければ難しい話では有ります...格好いい太鼓叩けるのはまだまだ先の話ですやねぇ.
 ジャズ方面の太鼓はセッションでは時々やりますが,ライブとなると中々演奏する機会も無いんで,難しい所が多いですね.ポップス系とかの場合は,事前に沢山考えて練習して,作り込んで行くやり方が出来るんですが,ジャズ系の太鼓は脊髄反射で色々な音型を出さなければならないのが,難しくしている原因だったりするのでしょうね.どちらもいいリズムを出すのが大原則だったりしますが,その辺も私問題ありありなもんで(とほほほ),諸々頑張らんとなぁって思っています.
 お客さんもそこそこ来てくださって,良かったです.昔江坂の某ホールに出てた時は,少ない時は半分空席どころか,10人も来てなくて公開練習状態で,とても寂しい思いをしてたりしていました(知り合いの体験では私が出ていたのと同じホールのライブで,最小記録2人ってのも有ったそうで,上には上が居ますやね).
 ま,ライブ関係も一段落したんで,忙しいままでほって置いた,買って来たはええけど封も切らずに積んでいたCD&合間を見てしこしこ貯めたmp3ファイルを入れたCDを聴きながら,これ書いています.久しぶりにのんびりした週末って所でしょうか...
 とまぁそんな話はさておきまして,昨日(9月29日)大阪は京橋に有る,IMPホールって所にライブを見に行きました.どんなアーティストを見に行ったのかと言いますと,上々颱風ってぇバンドです.平成狸合戦ぽんぽこの音楽を担当したり,最近ではネスカフェのCMで歌ってたりするんで,一度耳にした事も有るんじゃないでしょうか.
 メジャーデビューが90年ですから,随分息の長いバンドです.その昔,某太鼓雑誌のレコード評でデビューアルバムを「冗談か本気か判らない」と評されていたのが気になって,その頃からCDを買っています.
 んじゃどんな音なんだと言いますと,これが演歌や民謡とかの日本調をロックやジャズ,あるいはアジア方面の民族音楽で割った様な音です.
 音もさることながら,ここはCDだけでは伝わらない良さが有りまして,強力なライブバンドでもあります.黙っていれば別嬪なのに,ライブのMCで口を開けば山形なまり丸出しのギャップが楽しいヴォーカルの映美嬢,同じくヴォーカルの横須賀生まれで,とても綺麗な高音が素晴らしい郷子嬢,得意技は「森の石松太鼓がうるさい編」の太鼓師マントさん,バンマスで三味線バンジョーの名手紅龍さん等等,いい意味で癖のある強力なメンバーで構成されています.
 今まで見たライブで一番良かったのは,大阪は住吉大社でのライブでした.このバンドは日本全国色々な場でライブしてるんですが,おっかけしたりして見に行った方達の話を聞いていると,東京や大阪の様な大都市でのライブよりも,田舎の場で上々颱風を知らない地元の方々相手にやっているライブの方が楽しいそうで,この住吉大社でのライブは地元の皆さん達の手作りなライブだったし,お客さん達もコアなファンよりも地元のおっちゃんおばちゃん達が多くて,場の良さも相まって地方のライブはこんなんやろうなぁって思わせる非常に良い雰囲気でした.
 ライブ会場に来るお客の年齢層の幅広さも普通のバンドとは大いに違います.お年寄りから幼児まで,実に色々な人々を見る事が出来るんですね(若い人は小劇場での演劇を観に来る方に雰囲気が近い様な感じです).
 そんな上々颱風ですが,私は暫くライブ会場に足を運ぶ事も無いったんです.暫く空いていたのは,今回見に行く前にライブを見た時の音響が最悪だったのと,長く見ていて(一番ライブを見たバンドだったんですね)予定調和が少し嫌になってしまっていたのも有り,昔,京都は先斗町の歌舞練場でのライブの時,私の後ろに座っていた,はっぴを着た熱心なファンの集団が,ライブ始まってまだそんなに時間が経っていないのに立ち上がって踊りだしてしまい,私の顔の前にハッピのひらひらが来てしまい,ロクに見えなくなってえらい迷惑した事があって,こちらも不本意ながら立ち上がらなければならなくなり,それをファンサイトのライブレポで叩かれたりしたんで,なんだかなぁって思っていたんです.
 その後,上で書いている音響が最悪だったライブの時,そんな音でも踊り狂っている熱心な人達を見て,一気に醒めてしまったのでした.どうもこの時,上々颱風自体もずっと契約していたCBSソニーとの縁が切れてCDも長いこと出せてなかったし,その後メンバーの何人かは脱退したりしたんで,パフォーマンスも今一つだったのは,バンド自体あんまり上手く行ってなかったのかなと現在は思ったりしてます.
 とまぁそんなこんなでご無沙汰だったんですが,久しぶりに東芝EMI系列のレーベルに移籍して,そちらの方からCDを出したし懐かしくて買ったのを機に,ライブも見に行った上々颱風,メンバーのパフォーマンスも変わりなくいやむしろパワーアップしていて,とても良かったです.ここはヴォーカルが女性二人で,ソロのヴォーカルも素晴らしいんですが,二人一緒に歌う時,とても綺麗なユニゾンを聴かせてくれます.久しぶりだった事も有って,懐かしく素晴らしい音空間にたゆたい,感動してホロリと来ていました.余談ですが吉田拓郎の曲なんかもカヴァーしていましたね.
 もちろん一部のファンの方々の間でスチャラかなバンドと囁かれている上々颱風の事,感動させるだけでは無く,真面目な曲を演奏した後,突然着物に衣装替えして有名な演歌の歌詞を切り貼りした様な曲を,都はるみかはたまた小林幸子もかくやと思う振り付け&ポーズで歌ったりと,なかなか笑わかして貰いました(それにしても大阪のお客皆さんは,曲間のお喋りでの小ボケにも一々突っ込んで来るのは,どのアーチストのライブに行っても見れるんで面白いです).
 今回は熱心なあまり迷惑なファンの方もおられなかった様で,ほっとしました.しょうもないバンドのライブ見るより楽しいんで,やっぱりまた暫く大阪のライブに通ってみようかしらん.よろしかったらどなたかご一緒しませんか?
 え?お客の入りはどうだったかって?決まってるじゃないですか.大入り満員でしたよ.決して半分空席なんかじゃ有りませんってば...。

シャンシャン台風



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