天ちゃんの・徒然草子
本の周辺・2

天羽[司法行政卿]孔明

『百鬼夢幻/河鍋暁斎妖怪日誌』 橋本純 光栄

実はこの本をぼくが紹介するのには、少々抵抗があったんです。というのも、この本の作者の橋本純さんというのは、わざわざここでぼくが紹介するまでもなく、人外協のメンバーであるわけですし、なによりぼくにとっては、ぼくを光栄に紹介してくれて、まがりなりにもぼくにも作家への道を歩ませてくれた、いわばぼくにとって恩人のような人が書いた本だからです。ここでぼくがこの本を紹介すると、なんだか橋本純さんにおべっかを使っているみたいな感じになるので、嫌なんですよね・・・。
 あぁでも、それでもぼくはこの本を皆さんにここで紹介してしまうのは、そんなこんなを差引けるほどにこの本が面白かったからです。
 この小説を読み終った時、ぼくは自分の立場も考えず、思わず作者あてのフ
ァンレターなんぞを出版社に出そうかと思ってしまったほどです。正直、本を読んでそんな気分になったのは、実に数十年ぶりであります。ですから今書いているのは、橋本純さんあての、公開メールのようなものです。
 この本はねぇ、まず、装丁がとてもいいです。
 白状してしまいますと、最初にこの本を本屋で見つけた時、作者名を良く確かめもせずに手にとってしまったんですよ。この装丁ならば、おそらく作者が橋本純さんじゃなくっても買っていたと思います。も、もちろん、装丁がいいだけならばこのコーナーで紹介するような事にはならなかったとは思いますがね。
 えっと、内容をごく簡単に紹介させてもらいます。
 この小説は、江戸から明治へと移り変る動乱の時代を、一人の天才絵師(河鍋暁斎。この名前をしっている人は、よほどの日本画通か、妖怪通ではないでしょうか)と、その絵師をとりまく愛すべき妖怪たちの目を通して描かれた作品であると言っていいのではないでしょうか・・・。
 そうそう、この小説を読み終るなり、相方に向って「面白い、面白い!」って言ってましたら、「なるほど、天ちゃんはそんなに悔しいのね」って言われてしまいました。うーん、まぁそうなんですよね、悔しいんですよね・・・。この小説!
 これ以上とやかく言いません。ぜひ皆さんも読んで下さい。
 ねぇー、ねぇー、純さん。純さんはこの本のあとがきで、ぜひ続編が書きたいって書いてはりましたでしょ、いいですねぇー、書いて下さい。そして読ませて下さい。
 ぼくはねぇ、この小説の最後で、妖怪たちが***で***に***するでしょ、ぜひその後の話が書いてみたくなりましたですよ・・・、うーん・・・。
 ぼくもがんばんなくっちゃ・・・。

 吉田拓郎のCD「伽草子」を聞きながら・・・。

1995.12.07, AM,00:59.



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