やはやは、どーも、どーも。もうすでに御存知の方もいらっしゃると思うのですが、なにを隠そう、ついにこのぼくも、先日、光栄より出版された『三国志の不思議な話』という本で、“プロ作家”になってしまいました。
そんな訳で、本来ならば、今月は『歯』の話を書く予定だったのですが、急遽この原稿に差替えさせてもらいました。
えっと、先程から、プロじゃプロじゃと何度も書いていますが、ぼく一人で一冊の本を出した訳ではなく、六人で一冊を書いたわけですから、まだまだプロと呼ぶのもおこがましく、「フ」にもなっていない状態であります。
ちなみにぼくが書いたのは、『三国志の不思議な話』の中の四話目で、《霧の隠れ里〜張飛翼徳、神獣と格闘す〜》というものです。
ぜひぜひ読んでやって下さい。
この本には、ぼくを光栄に紹介してくれた橋本元秀さんの作品や、林譲治さんの作品も収録されています。
まぁ、なんです。感想なんかも聞かせてもらえれば、とても嬉しいです。さらにその感想を出版社に送ってもらえれば、ごっつい嬉しいです。あなたの一枚のファンレターが、ぼくの2作目につながるのです。よろしくおねがいします。
えっと、せっかく特番を組んだので、ぼくがこの本に書くようになった経緯なんかを書いておきましょうかねェ。
きっかけは、今年の5月の半ば頃の事でした。
とある場所、とある所で、その場にいた橋本元秀さんから、「仕事をしてみないか?」と声をかけられました。なんだかわからなかったけど、とりあえず、「します。仕事ならなんでもします!」と、答えました。
仕事の内容は、『今度光栄から、三国志の怪談話を集めたアンソロジー集をだす予定が有るので、うまくすればその中の執筆陣の一人になれるよ』ってものでした。
ついては、原稿用紙4枚ぐらいにまとめたプロットを書いて送ってほしいと言うのです。
三国志そのものは好きで何種類か読んでいたのですが、最後に読んだのは、もう十年以上も前になります。まさか自分がそれを書く事になるとは思ってもいなかったので、手元に資料も無く、図書館などで借りて読みなおしたんですが、付焼き刃ではろくなものが書けるはずもありません。そこで、苦肉の策として、三国志の登場人物としては張飛翼徳と、あと、ちょい役として左慈元放さんに活躍してもらう事にしました。あとは、今でもよく読んでいる「山海経」の中の妖怪を使い、舞台も三国志の本編からからすこし離れた所に設定しました。
結果的に、ぼくの話は、別に三国志物じゃなくってもいいものになってしまいました。やれやれ……。
それでも元秀さんのおかげで、なんとかぼくも執筆陣の一人に加えてもらう事ができました。
出来上がった作品は、読んだ人ならすぐにばれてしまうほど、夢枕獏さんの影響が濃くでてしまって、なさけなく思っています。(反省……)
でもでも、それでも、なんとか自分の書いた作品が、自分の家の近くの本屋さんに並んでいるのを発見した時は、とても嬉しかったです。思わず自分で一冊買ってしまいました。(愚か者です)いやほんと。
でも、先日大阪のミナミで、光栄の出版物を多数取扱っているわんだーらんど≠ニいう本屋へも捜しに行ったのですが、そこには無かったのです。こりは悲しか
ったです……。がっくりとうなだれて、とぼとぼと近くの上新電気(J&P・テクノランド)に行ったら、なんとそこには、平積みにされているではないですか! しかも、大学生風の兄ちゃんが、手にとって読んでいるのです。ちらっと覗き込んだら、三話目を読んでいる。
「兄ちゃん、兄ちゃん。次の作品はわしの書いた話や。はよ読んでくれ。んでも
って、買ってくれたらサインでもなんでもしたるで!」と、言いそうになりました。はい。もちろん言いませんでした。だって、そんな事言ったら、ただの怪しい奴になってしまうし(普段から怪しいやんか。いまさら何いうてんの:麻衣子談)、買うつもりの人でも逃げてしまうと思ったからです。
結果的に、すぐにその場を離れたぼくには、その本が売れたのかどうかはわかりません。兄ちゃん買ってくれたんでしょうか……。
その兄ちゃんのそばを離れたぼくは、偶然にもそこで、マサマサに逢いました。こんな所で逢うのも何かの縁と思い、買ってくれろと薦めたんですが、結局その日は買ってくれませんでした。おい、マサマサ。あの後、買ってくれたかい? まだだったら、必ず買ってよね。約束だよ!
あぁ、そうそう。三国志の話を書くのに、ぼくの“天羽孔明”というペンネームは少々恥かしかったのですが、今さらペンネームを変えるのもなんだし、ええいままよと、そのままにしました。でもやっぱり、ちょっと恥かしいです。
と、取り敢えず今回はここまで。今回がここまでって事は、今年はこれで終りって事です。ぼくにとって今年は、最後の最後でとても良い年になりました。来年も本が出せるかどうかは神のみぞ知るって所ですが、ぜひぜひまた書いてみたいと思
っております。そのための努力もするつもりですので、このコーナー同様、ぼくを応援してくださいね。
最後になりましたが、本当に橋本元秀さんには、感謝の言葉でいっぱいです。ありがとうございました。
次回のテーマは今回書く予定だった『歯』です。
んじゃ、また来年。皆さん、よい年を迎えて下さい。
ハチャトリアンの「剣の舞」を聞きながら・・・。
1994.12.03, AM,10:27,