このコーナーを、ずっと読んでくれている皆さんはもう御存知だと思うのですが、ぼく、こうみえても作家志望なんです。しかも、出来る事ならSF作家と呼ばれ、SF作家クラブみたいなもんに登録してもらいたいものだと考えていたりします。
ところが、SF作家になりたいとのたまっておきながら、いわゆるハードSFってやつが書けない奴なんです。学校は理数系だったくせに・・・。
では、どういうSFが書きたいのかと言うと、漫画家の藤子・F・不二雄氏が描いておられるような、“すこし不思議”って奴が書きたいんです。まぁ、なりたいなりたいと言っているだけではなれる訳もなく、しっかりと書かなければだめなんですが、ね・・・。 そこで最近は、朝日パソコンネットという所で、作家の堀晃さんが主催している《ソリトン》っていう同人誌に参加してがんばっています。みなさん応援してくださいね。
そうそう、もうすぐ創刊号が出るんですが、ひょっとしたらそこに、我等が谷甲州氏の文章(挨拶文程度だろうけど)も掲載されるんじゃないかと思います。あいにくとぼくの作品はその創刊号には掲載されないのですが、よかったら、買ってや
ってくださいませ。・・・っと、思わず宣伝してしまいました。だって以前堀さんから、あちこちで宣伝してほしいって言われたんだもん・・・。
えぇー、さて、SF作家になりたいと今書きましたが、それと同じぐらい強く、エッセイストにもなりたいと思っていたりします。
そうそう、ここに書いている、こんなやつでデビューがしたいんですよ。無謀だなんて言わないでね、自分でも自覚しているんだから・・・。
おまけに、エッセイからのデビューって、すごく難しいんですよね、うん。
一般の小説と違って、あまり賞とかの募集も無いし、まれにあったとしても、「女性のみ」なんていう制約が付いていたりします。また、そうでなければ、あまり興味のないテーマが決っていたりします。しかも、そこで賞を取ったからって、それが本になる事はほとんど皆無だし、そのままその賞を創った出版社などでエッセイを書かせて貰えるわけでもないようです。
そんなわけで、全てというわけではないのですが、今、エッセイストとして活躍している作家の殆どが、もともと何かで有名になっていて、で、その結果エッセイを書くようになって、んでもって、それが売れてきて・・・。っていうパターンがほとんどなんですよ。たしかに、何かで一流になった人の書く物って、そこに至るまでの状況を私小説風に書くだけても面白く、興味があるのも事実です。しかしね。
ぇー、それって、ずるいじゃねぇーかぁーって思うわけなんですよ。
うーん、くやしいなぁー。どうしてエッセイからだけでは作家デビューができないんだろう・・・。
自分なりに売れているエッセイを読んで色々と勉強してみたんですが、そこで、一つ解った事があります。売れるエッセイには、ある種のパターンがある事を・・・。
それは、『巷に溢れる小さな怒り』を書く事なんです。
たとえば、銀行のキャッシュディスペンサーの前や、駅の券売機の前に並んでいる間のいらつき状況だとか、食堂に入った時の店員の態度の悪さ。それに、学生時代にこんな嫌な教師が担任になっただとか・・・。まぁ、読者が一度は経験して、嫌な思いをして共感を憶えるような事柄を書いたものが、どうやら売れているようなんですよね。極論かもしんないけどさ・・・。あえて作家の名前は書きませんが、作品のタイトルもずばり、【小さな怒り】なんてものもあるんですよ、うん。
それがいいのか悪いのかは解りませんが、実際、そういうエッセイって、とても多いのです。ぼくはそれらのエッセイを、『怒りのエッセイ』って呼んでいます。
エッセイを読むのが好きだっていう何人かの人に聞いてみたのですが、やはり、そう言った『怒りのエッセイ』に共感を憶え、面白い本だと言っているのです。
でもねぇー、ぼくとしては、あまり『怒りのエッセイ』って好きではないのです。そりゃあぼくだって、だらだらとつまらない事が書いてあるよりも、自分も体験している、小さな怒りの方が共感を憶えて、思わずしらず、「うんうん。そうそうそう!」なんて本に向って叫んでいたりするのですが、それでもやっぱり、ぼく自身はそういったエッセイは出来るだけ書かないようにしようと心掛ているつもりです。
えっ?! 今書いているこれがその『怒りのエッセイ』じゃないのかって? さうさう、さうなんですよ、うん。だから、この文章を最後にして、これ以降は出来るだけ書かないようにしようってわけです。まぁ、ネタに困ったら、ついつい使ってしまうかもしれませんが、その時は笑って許して下さいね。
というわけで、今回はここまで。次回のテーマは『歯』です。
んじゃ、また来月・・・・・・・・・・。
憂歌団の『知ってるかい?!』を聞きながら・・・。
1994.10.24, AM,01:27,