ずいぶん寒い日が多くなって来ましたが、いかがおすごしでしょうか。
さて前回は、SF大会でぼくのショート・ショートを添削してもらった話しを書いたわけですが、今回もまた、添削をしてもらった話しです。と言っても、前回の話しの続きではありません。実はちょうどSF大会と同じ頃、マガジンハウス社の『ダカーポ』という雑誌で、『あなたのエッセイを添削します』というコーナーがあったのです。
応募の規定は、原稿用紙一枚以内で、テーマは「駅」と言う事でした。でもまぁエッセイならおてのものなので、こちらの方にもぼくの作品を提出しておいたというわけです。
以下はぼくの書いたエッセイです。ちょいと読んでみてください。
『無人駅』
無人駅のホームに最初に降り立ったのは、ぼくがまだ中学生の時だった。
そこはとても小さな駅で、ホームの長さが五メートルほどしかなく、三両編成の列車が止っても、ドアが開くのは一両だけだった。
はずかしい話しなのだが、実はぼく、それまで無人駅なんてものが本当に有るとは知らなかったのだ。
もちろん話しには聞いていたが、現実にはもう存在しないものだと思っていたのだ。
自分が都会育ちだと言いたい訳ではない。たまたま無人駅のある路線に縁が無か
っただけの事なのだ。
と言うのも、その駅は、我が家からそれほど離れていない所にあったからである。
先日ひさしぶりにその駅の近くを車で通りかかったので、なにげなくホームに立寄ったのだが、相変らず小さな駅で、なんとなく、初めてその駅に降り立った中学生の頃にタイムスリップしたような気がしたものである。
で、この作品に対して『ダカーポ』の編集部から、以下のようなコメントをいただきました。
文章もしっかりしていますし、よくまとまっています。
ただ、サラサラと読めすぎて、逆に印象がうすいようです。
つまり、話の核が薄いのです。もっとも惜しいと思うのは、ちょうど話のまん中、六行目から八行目までのところです。
ここに、その時、何をしたのか、それでどんな気持になったのか、多少駅からはなれてもいいから具体的に語ってあると、後の懐かしい気持ちがもっと強く読み手に伝わったでしょう。
読み手の気持ちを意識する。これは文章上達の第一歩です。
頑張ってください。
いやはやなんとも、ごもっともなコメントでありますなぁ……。
それにしても、前回書いたショート・ショートもそうだったんだけど、原稿用紙一枚以内っていうのは、とっても難しいものですね。今回の物だって、コメントで書かれてあるように駅の周辺の事までこの作品に加えようと思ったら、今のぼくの実力では少々難しいようです。
さて、プロの作品はどうなんでしょうか? やはり、原稿用紙一枚以内でも、きっちりツボを押えて書く事ができるのでしょうか? いや、もちろん、疑うわけではないのですが、すべての作家が書けるわけではないように思うのです。ねぇ、皆さんはどのように思われますか? たしか、星新一さんの作品の中には、原稿用紙一枚程度の作品というのがいくつかあったように記憶はしているのですが……。
いずれにしても、この一枚以内でショート・ショートを書くというのをマスターすれば、長編を書く時に、大変有利な気がするのです。そこでしばらくぼくも、この原稿用紙一枚以内のショート・ショートをいくつか書いてみる事にしました。
そこで、みなさんには迷惑でしょうが、この場を借りてこれらの作品を発表してみようかと思っております(って、どのみちこのコーナーは、ぼくの好き勝手をしているコーナーなので、かまいませんよね……)。で、次回のテーマは特例の『ショート・ショート−3』という事になります。たのしみに待っててね。
『レゲエジャパン・スプラッシュ・93』を聞きながら・・・。
1993.11.08, AM,01:30,