天ちゃんの・徒然草子
旅・1

天羽[司法行政卿]孔明

 『狭い日本も、旅すりゃ広いよ。旅はその日の風まかせ。切符は一枚、どこまで行こうか。おいらの人生ひとつだけ…』

 と、いきなり懐かしいナターシャセブンの『旅』というワンカップ大関でお馴染みの歌で書き出してみました。このCMを憶えている人は、年齢がわかるよっなんて…。
 なぜこんな歌で書き出したかというと、旅をテーマにした歌のなかでは、ぼくの一番好きな歌だからです。はい。それだけです。ほかに深い理由はありません。あしからず…。
 旅行と言うよりも、旅という言葉の響きのほうが、大好きです。
 旅行と旅は別ものであるという人がよくいますが、ぼくもまた、屁理屈かもしんないけど、旅行と旅って、根本的に違うと考えている一人であります。
 どう違うかという事を詳しく書こうと思ったらけっこう長くなりそうなので、今回は差控えますが、まぁ簡単に言うと「旅行は計画性があって、旅は自由性がある」ものではないかと思います。そういえば以前、永六輔さんが「曲った事の無い街角を曲った時から、旅ははじまるのです」って言ったとき。うんうん、まったくその通りであるわなぁーって感じたもんであります。
 以前別の所にも書いたのですが、ぼくは、どうも小さい子供の頃から放浪癖があったらしくて、一人でうろうろと遠方まで歩いて行き、両親に心配をかけていました。

 ぼくにとって最初の旅は、やはりなんといっても住んでいる家の近所の探検だったと思います。えっ? そんなことなら誰だってするって? うんうん、そりゃあそうでしょう。でもね、ぼくの場合は一味ちがいます。なんてったって、人んちの庭みたいな所を歩いたり、家と家の隙間や、工場の塀の上を歩いたりしてました。
 さてその後ぼくの探検と称する旅の範疇は、町内から市内、やがてはもっと遠い地域へと広げていきました。
 そうそう、中学生になった頃には、深夜の町をうろつくようになっていました(けっして不良だったわけじゃないんだよ)。すべての物が寝静まっている深夜(二時から三時頃)の町は、普段見慣れている町と、まったく違う顔を見せてくれてました(って、ちょっとかっこよすぎるかもしんないけどね…)。えっ? 親におこられなかったかって? いゃー、そうですね、はっきり言って、親にばれていたらかなり怒られていた事でしょう。でも、幸いと言うかなんと言うか、親がぐっすりと眠っている時をえらんで夜の町に出ていましたから…。
 おかげでその頃のぼくは、町内で知らない場所はなくなっていました。これなんかも、りっぱな旅ではないでしょうか。

 さて高校時代は、ぼくにとってもっとも沢山旅に出ていた時期であります。
 そもそもぼくにとって高校なんてものは、落第しない程度にうまく学校に行って、できるだけ遊ぶっていうのをモットーにしていましたから、よく平日に学校を休んで、日帰りの旅をしていました(かさねて言いますが、ほんとうに不良じゃなかったんだよ)。もちろん学校をズル休みするのはいけない事だとは思うのですが、ぼくは大学に進学する気がなかったので、できるだけ後悔をしないように高校時代を過ごそうと考えていたわけです。そのかわり、勉強すべき所は、一生懸命勉強してましたよ。うんうん。
 この頃は、ほんとうにあちこちへと行きました。でも、ぼくの行く場所は、やっぱり人とはちょっと違います。っていうか、あまり人の行かないような所にばかり行っていたように思います。とりわけ、人気のないような神社仏閣などは大好きです。そういえば、結婚する前のぼくと相方の麻衣子さんとのデート場所も、京都の神社仏閣巡りでした。それも、東西南北縦横無尽に歩きまくっていたっけ…。いゃぁー懐かしいなぁ…。
 そうなんです。電車やバスや車に乗るのも好きなんですが、しらない道を歩きまわる事が、とても好きなんですよ、ぼく。
 そして、その後現在のぼくはといいますと、まったく知らない町に行ったって、まず、よほどの事が無い限り道に迷うなどというような事はなくなったし、又、一度通った道は、何年たっても憶えていられるようになりました。おかげで相方の麻衣子さんなんかはぼくの事を、“歩く地図”ってよんでます。いやはや、なんとも…。

 おっと、調子にのってだらだらと書いていたら、もう予定の分量になってしまいました。続きはまた今度ということで、ではまた…。
 ちなみに次回は、『映画』をテーマにかいていますので、どうぞよろしく。

 「LP版、桂米朝・旅の落語全集」より、“地獄八景亡者戯”と“東の旅”を聞きながら…。

1993.3.11 AM,2:50

追伸
 実は以前ぼくは、この甲州画報に、「手塚治虫氏の漫画の中に差別的表現があるとの事で、出荷停止になっているものがある」というようなことを書いたことがあるのですが、みなさんは憶えておられるでしょうか?
 この事について、ようやく講談社側と、「黒人差別糾弾運動団体」側との間で、本の最後に黒人の差別的表現についてのコメントを書くと言う事で話合いがついたらしく、かの漫画全集が再び出版される事になりました。
 もうすでにシリーズの新刊が何冊か本屋に出回っているので御存知の方もおられるとは思いますが、とりあえずぼくもおさわがせしたので、ここに事の顛末を書いておく事にしました。そのせつは、海外在住の川崎氏をはじめ、何人もの方からコメントをいただき、ありがとうございました。



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