天ちゃんの・色々食べてみま戦課
吸血河童!!

天羽[司法行政卿]孔明

 やぁ、みなさん。ごきげんいかがですか? などと、前回と同じ書き出しで始めてみました……。天羽です。

 えーーっ、今回は、ちゃんと七月分というわけではないのですが、田植がすんだ後の水田に大量発生する吸血河童のお話しです。
 吸血河童。その名の印象から、ヒルの事だろうと思っている方は大変多いだろうと思いますが、そうではありません。
 そもそも吸血河童は、血を吸いません。なのになぜ吸血河童と名づけられたかについては、いまとなっては、謎のまた謎なのです。だいたい、僕の小さい頃からその生物の事を吸血河童と呼んでいたし、又、近所の子供達もみんなそう呼んでいたのです。
 今になって考えれば、頭部に皿のようなものをのせた、河童の幼虫のようなその姿は、如何にも血を吸いそうだったのだからしかたがないでしょう。僕自身、こいつはまちがいなく河童の幼虫にちがいないと思っていましたから……。そんなわけで、吸血河童は、吸血河童以外のなにものでもない事がわかっていただけたでしょうか?
 わからない? 見たことがない? そうですか、では、もうすこし細かく説明してみましょう。
 まずその生物の名前なのですが、ある地方ではクサトリムシなどとも呼ばれていて、正式名称を『カブトエビ』といいます。分類学的には、背甲目カブトエビ科の小型甲殻類≠ニいうことになります。
 さぁ、これでもうそろそろその姿形の想像がついてきたでしょう。そうです。あの、カブトガニのそっくりさんなのです。もっと詳しく知りたい方は、お手持ちの百科事典かなにかで調べてみて下さい。必ず載ってますから。
 で、さて、もうすこしだけここに詳しく書いてみますと、こいつは、体長二〜三センチ位で、日本中部以西の水田に、六月の終り頃突然大発生し、約一ケ月ぐらいですべて消滅してしまうといいます。ところが、もともとが単為生殖で大量に卵を産み、しかもこの卵は乾燥した土の中で何年間も生き続けているため、一度その卵が水中に浸り、環境がととのえば、再び大量発生となるのです。
 どうです? 妙な生物でしょう。
 あっ、そうそう、ひとつだけ不思議な事があります。それは、どの百科事典で調べても、西日本に広く分布していると書いてあるのですが、ぼくはまだ、ぼく以外にこのカブトエビを知っている。とか、見たことがある。という人に会ったことがないのです。そこで、この文を読んでおられるみなさんに相談なんですが、《ぼくは見た!!》とか、《わたしはしっている!!》という人がいれば、ぼくに御一報いただけませんか?! おねがいいたします。

 で、さて今回は、この吸血河童を食べてみましょう。と言っても、べつだん特別な食べかたがあるわけではありません。
 まずは、ごく普通に唐揚げがよいでしょう。また、たまねぎやゴボウ、さらにニンジンなどと一緒にかき揚げにしてもなかなかおいしいです。でもって通の酒飲みには、なんといっても佃煮が一番です。
 変わったところでは、乾燥さして粉にし、煎じて飲めば、延命の秘薬となります。
 まずはおためしあれ……。


 付録 天ちゃんの、浪速うまいもん巡り

 今回は、ステーキハウス「フォルクス」です。
 このフォルクスですが、いまではもうファミリーレストランとしてあちらこちらで支店を出していますよね。ですが、ぼくがこれから書くのは、そんなファミリーレストランではなく、もうすこしましな所です。
 場所は、難波堺筋日本橋、黒門市場の入口の斜め前にある、家具屋のビルの8階です。夜になると、各テーブルの上にキャンドルサービスが入り、ピアノの生演奏がはいります。
 もちろんリクエストもうけてくれるので、夜景を見ながら彼女と二人、“ミスティ”の演奏されるなか、ワインを飲みながらのディナー。
 どうです。ちょっとオシャレだと思いませんか?



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