皆さん、喜んで下さい。今回は、スペシャル特別豪華バージョンにて、4月・5月・一挙掲載です。(そんなもん、うれしゅうないですって? まあまあそうおっしゃらずに、つきあってくださいませな……)
で、まず4月です。4月といえばあなた、新入学と桜の季節であります。
桜……。みなさんもよく御存じの通り、これはなかなかに儚い花でして、(余談ですが『ハカない人生は、ハカない』なんていうコピーを考えたのは、たしか中島らもさんだった)パッと派手に咲いたかと思うと一晩で全て散ってしまったりします。又、誰が言ったか桜の木は、死体の上にこそ、より爛漫の花を咲かすんだそうです。
そんな桜木伝説を、全国のあちこちで見つけることができます。
ここほれワンワンのポチで有名な《花さか爺さん》のお話しも、そんな桜木伝説から生れたといいます。この話の原作が、かなりおどろおどろしいものであったことを知っている人は、いまではもうずいぶんと少なくなっているようです。まぁだいたいなんですな、《ぶんぶくちゃがま》にせよ、《かちかち山》にせよ、日本昔ばなしの原作の多くは、ちょっと子供に聞かせるには、あまりにもえぐい作品がそうとうあるみたいですから……(おっと、だいぶ横道にそれてしまった……)。
とにかくまぁ桜の木というのは、ことほどさように一種独特の雰囲気をかもしだしている―いや、雰囲気なんてものではなく、ずばり桜の木の下には、魔が横行しているとさえ言ってしまっても、言過ぎではないのでしょう。あの、桜の花の妖艶さは、あんがいそんな所から来ているのかもしれませんね。
ためしに、花散る桜の木の下で、桜を見上げるようにして寝っ転がってみて下さい。体の上に降り落ちる小さなピンクの桜の花びらをしばらく見つめていたら、トリップする事間違いなしであります。それが何より証拠には、毎年この時期になると、花見と称して何人もの人が桜の木の下でパーティをするでしょう。しかも、夜桜見物の為に朝から場所を取りあって狂乱するさまは、とても正気だとは思えないではないですか。ねぇ……。
でまあ今回ぼくのほうは、平安京の昔から伝わる、もっとも素敵で夢幻の世界に身を置く事が出来る夜桜見物のしかたを紹介してみようと思うわけであります。
まず、十六夜月の輝く深夜(一時から二時頃)、なるだけ大きな桜の木を捜して下さい。さらにその木の桜が、満開でなければなりません。で、その桜の木にもたれながら酒を呑むのです。けっして、飲むのではなく、呑むのです。
このとき、酒の品種はなんだっていいのですが、ぼくのおすすめは『北の誉』『剣菱』『深山菊』と言う所でしょうか。
お酒を呑み始めて一時間もすると、桜の木の声が聞えて来るんです。本当ですよ。
この文を皆さんが読む頃には、西の桜はもう終っていて、そろそろ東北から北海道の桜が満開になっている事と思います。その方面の方は、ぜひ、おためしあれ……。
必ず十六夜月の深夜、一時から二時に、満開の桜の下でしかこの現象はおこりませんので、その点、おわすれなきよう……。
さて、五月です。五月といえば、やっぱり子供の日・端午の節句です。
端午って、どういう意味か御存知ですか? まあ、たいがい辞書でもひけば書いてあるんですが、ちょいとここに書いておきましょう。
端午の端は、初めという意味で、午は五の意味です。つまり、五月初めの五日っていう意味なんですねぇ。なんともあっさりした意味だと思いませんか。
この日、軒先に菖蒲やよもぎを吊って邪気を払ったことから、あやめの節句、なんて言う所もあるみたいです。
この日の食べる物といえば、やっぱり粽と柏餅ですかねぇ。どちらもぼくは、あまり好きではないのですが……。
ならばこの日ぼくが何を食べるのかというと、やっぱりなんといっても、鯉のぼりの踊り食いが一番ですなぁ。もちろん、どこででも食べれるものではありません。
ぼくが食べたのは、岡山県は久米郡新座町の料理旅館『音羽屋』です。
鯉のぼりったって、もちろんあの、風になびく鯉のぼりではありません。まぁ、そんなものだと思っている人はいないでしょうが……。では、どんなものか? これがまた、とんでもないもんです。まず、名人級の料理職人が手頃な鯉を活け造りにするのですが、この時、骨と身を、ほとんど皮一枚分だけのこしてさばくのがみそだそうです。そうすることによって、ほんのしばらくの間は、ちゃんと生きているんです。生きているのだから、当然水につければなんとしっかり泳ぐんですわ。いやまったくビックリもんです。
さてこの鯉を、流しそうめんで使う水路の大きくしたようなものの上を、上流に向けて泳がし、それを各自おのおのが箸でつついて食べるという、実に奇抜で野性味あふれた料理なんですねぇ……。
いやはっきり言ってこの料理を食べた後は、たいがいの料理も、おとなしく感じてしまいます。はい。
さぁ、今年もいっちょう鯉のぼりの踊り食いでも食べにいきましょうかねぇ――。
今回は二ケ月分ですから、お店の紹介も二件です。
まず一件目は、チョコレートハウス『エクチュア』です。チョコレートと言っても、食べるほうのチョコレートばかりではなく、チョコレートドリンクの方がメインです。ホット・アイスを取混ぜて、二十数種類のメニューがあります。もちろん、ごく普通のチョコレート(というのも変ですが……)もあります。この店のチョコレートを、溝口(日本沈没)隊員がよく購入している事をしっているのは、ぼくだけではありません。
さて場所ですが、心斎橋筋大丸デパートの前、茶房・宇治園のビルの三階です。
続いて二件目は、ココアの専門店『赤い鳥』です。ここのおすすめメニューは、なんといってもラムココアとココアスプレッドトーストです。もちろんほかにも色々とメニューがありまして、ミントココアやココアシェイクなどなど……。
場所ですが、二件あります。ぼくがよく行くのは心斎橋筋不二家の所を御堂筋の方へ曲ってすぐのビルの二階です。ちなみにもう一件の方は、土佐掘りにあります。