天ちゃんの・色々食べてみま戦課
彼岸に悲願の彼岸を食う

天羽[司法行政卿]孔明

 3月になりました。春はもうそこまで来ていますね。
 古来昔より、暑さ寒さも彼岸まで、とはよく言った話ですが、みなさんはこの彼岸を食べたことがありますか? なんて……。えっ?! 彼岸なんて食べられるの?と思っておられるでしょうね。はい、食べられます。もっとも、彼岸とは言ってもお彼岸の彼岸ではなく、彼岸草という植物で、仙人草の一種なんです。(それにしてもこのコーナー、なにかと言うと植物が出てくると思われているんだろうなぁ……)
 せっかくだから、ここですこし仙人草の事を書いておきましょう。

 そもそも仙人草とは、今で言うマジックアイテムの様な植物でして、有名な所では獏さんの『キマイラ・シリーズ』に出てくるソーマや、黄金を生むと言われるマンドラゴラなんかがそうです。さらに書くならば、西遊記にでてくる人参果や桃源峡の桃。もっと身近なところでは、トウモロコシや瓢箪だってりっぱな仙人草なんですよ。とりわけこの瓢箪などは、簡単な加工《二つの膨らみのうち、下にある大きな膨らみの内側の横面に、瓢箪を壊さずに筆と墨をつかって梵字を一文字書くだけと言う、いたって簡単な方法》をほどこすだけで、大きな舟になったり、天地さえも吸込むようになったりします。そんなわけで、中国八仙人の一人、李鉄拐など、中国に住んでいた伝説の仙人たちの多くがこの瓢箪を小脇に抱えているのです。
 ちょっと余談が長くなってしまいましたが、つまり彼岸草も、そんな植物であると言いたかったわけなんです。
 さてこの彼岸草、ちょいと変わった植物でして、なななんと、一年に二回も花を咲かせるのです。でそれが、ちょうど春・秋のお彼岸時期と重なっているわけです。
 伝説的に伝えられているのは、この彼岸草の花びらをおひたしにしてこの時期に食べると、暑さ寒さの感覚がなくなり、気温の高い所では涼しく、また、気温の低い所ではポカポカと体がほてってくると言われております。
 もっともこの彼岸草、最後に見つかったのが16世紀初等で、それ以後この地球上から姿を消したとされています。いや、されていたと言うべきでしょうか。なぜなら、今から約五年程前の夏、ぼくは奥飛騨の山中にてこの彼岸草の群生地を発見した事があるためです。しかし、残念な事に、発見したのが夏だったため、その時はまだ花は咲いておらず、食べてみる事は出来なかったのです。さらに、その年の秋のお彼岸はなかなかいそがしくてその場所には行けなかったのでした。結局、その場所に再び行けたのは翌年の春のお彼岸でした。しかし、時は時に冷酷なもので、彼岸草の群生地のあった場所はすでに開発の手によって荒らされ、一本の彼岸草もその場所では発見することが出来ませんでした。これでこの彼岸草は、まさしく幻となってしまったわけです。
 いやまったく、残念なことであります。


 付録 天ちゃんの、浪速うまいもん巡り

 今回は、町のとんかつ屋さんです。
 とんかつ屋と言えば、やはりすぐに思い浮ぶのは『KYK』でしょうか? それとも、人によっては『とんはる』かもしれませんね。でも、そんな有名なお店をここで紹介してもしかてがないので、もっとちいさなとんかつ屋さんのことを書いておきましょう。
たとえば、東大阪の瓢箪山の所にある『瓢亭』ここの名前は一回目の蕎麦屋と同じですが、読み方が違います。こちらは『ひさごてい』と読み、蕎麦屋の方は『ひょうてい』と読みます。つまり、まったくつながりのないお店なんですよ。
 さてもう一軒は、奈良県生駒郡にある『かつ重』です。
 そして最後の一軒は、ぼくがもっともすすめる大阪府豊中市にある『トンカツ博士・ニュートン』です。この店の自慢は、「おろしとんかつ」「ミソとんかつ」そして、とっても大きな「わらじとんかつ」などがあります。ちなみにぼくがこの店で一番好きなのは、「カエルの唐揚げ」だったりします。
 場所は、名神豊中インター、もしくは阪神高速豊中南インターを下りて、ほんのすこし北に向って走ります。そして、大阪内環状と交差した所を左に曲って小さな橋を越えたらすぐです。まずはおためしあれ……。



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