母の「虫の知らせ」については、以前にも書いた通りですが、これは僕の生まれる前の話です。
それは僕がまだ、母の体内にいた頃、母方の祖父が体調を崩し、母は田舎に帰っていました。
そして、そのまま臨月を迎えた母が、病院のベッドに横になっていると、祖父が病室のドアを開け、ふらっと入って来たそうです。
母は突然の訪問に驚きながらも、喜び声をかけたそうです。
「お父さん、良かった、元気になったんだ」
しかし、祖父はにっこりと微笑むと、そのまま消えてしまったそうです。
そうして母は、祖父の臨終を知ったそうです。