第六十五話

天羽孔明

 友人の体験談です。
 その友人は、大阪府内にある十三階建てのマンションの最上階に住んでいます。ある夏の夜の事。近くのコンビニに夜食を買いに行こうと、部屋を出て、エレベーターホールへと行ったんだそうです。そのマンションには2機のエレベーターが設置されているのですが、その時はたまたま2機とも1階で待機している状態だったんです。で、下のボタンを押して、エレベーターが上がってくるのを待ったんだそうです。…と、暫くすると、右のエレベーターが上がってきました。ところがそのエレベーターは、最上階であるはずの 階を通りすぎて、さらに上へと上がって行ったんだそうです。そのマンションには屋上なんかはなく、 階より上には上がれないはずなのに、です。しかもそのエレベーターには、人が一杯乗っていたんだそうです。
 なんだ  と思い、エレベーターの階数表示ランプを見たら、何故かまだ2台とも1階に止まったままになっていたそうです。
 その夜友人は、コンビニに行くのを止めたそうです。



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