第二十九話

清水宏祐

 実は、七話目を書いている最中、隣のマンションで突然火災報知器のベルが鳴りだし、物見高い私としてもホテホテと見に行ったんですが…。
 うちの家と隣のマンションは現在使われていない駐車場を間に挟んでおりまして、緊急に延焼の恐れもないものですから、のんびりしていたのですけれども。隣のマンションからも何人かの住人が表に出てきて不安そうに顔を見合わせている。んですけど、どうやら火の気が無いようなんです。
 どうやら、聞いてみると誰かのイタズラで火災報知器が鳴らされた模様。なんでも2階の非常ベルを鳴らした者がいるらしいのですが…。
 このマンションの2階というのは、もう長いこと誰も住んでいない筈なんですね。で、改めて見てみると2階は廊下も含めて電灯も消えていて、人の気配も無いんです。結局しばらくしてベルも鳴りやみ、みんな帰っていったんですけどね。犯人は、解らずじまいだそうです。



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