第十九話

天羽孔明

 先程の心霊写真の話を書いている時、ぼくの後ろで、むちゃくちゃ大きな声で、「今何話目や!」って言葉が聞こえました。えっ? と思って振り返ったのですが、誰も居ません。で、隣の部屋のまりちゃんの所に行き、「なんか大きい声が聞こえたんやけど…」、って言ったのですが、「そんな声は聞こえなかったよ」、と言うのです。
 こんなぼくも病院に行った方がいいでしょうか?

阪本雅哉

 ご子息は机の下に隠れていませんでしたか。  奥様が嘘をついている、もしくは本かなにかに夢中になって無意識に叫んだか、どんな大きな声も聞こえなかったなんて可能性も考慮した方が良いかもしれません。

天羽孔明

 身、身も蓋もない…。
 ただ、そぅ、息子が机の下に居なかった事だけは、確かです。

林譲治

 天羽さんの家の執筆環境を考えてみるに、真上の部屋からの声では無いでしょうか。だから病院よりも上の階のお宅に確認してみてはいかがでしょう?

天羽孔明

 ところがカーリーさん。我が家の上の部屋は、もぅ1年以上空き家なんですけど…。

林譲治

 なら答えは簡単です。声がするのに真上の部屋には一年以上人が住んでいない。つまり天羽さんの家の真上の部屋にこそ怪異の原因があるわけですから、天羽さんが病院に行く必要はないはずです。

天羽孔明

 なぁ〜んだ、だったら安心してもいいんですね。



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