KOSYU,FILE : INS/001 - II
SEINEN JINGAI KYOURYUKUTAI INDONESHIA OFFICE
JAKARUTA, INDONESIA
Ref.No:INS/001-JAK/91/006
発信日: 1991年11月27日 発信地: いんどねしあ駐在事務所 発信者: じゃかるた駐在員[地球征服先遣隊長兼任]
川崎[漁師]博之標記報告書は、岩瀬[従軍魔法使い]編集長の御助言によって(甲州画報42号)、前回報告した甲州ファイル1991年度年次報告書−増訂版として提出致します。
1. 私的外惑星動乱考
2.漁師は宇宙でも喰っていけるか
3.近況報告・雑感
1992年2月以降この駐在事務所の予定は相変らず未定のままです。オークランドかもしれませんし、インドネシアでの滞在が一年延期になる可能性もあります。
人外協海外駐在事務所の灯を消してはならないという使命の下に、表向き業務の任期延長計画が密かに練られているのです。(本気にして人に言ったりしないで下さいね。いろいろ政府ODA予算についてもいわれていますから…)甲州画報42号の「こうしゅうでんわ」で、甲州先生(どうも親方とか監督とか組長とか呼びかけたくなる)は、人情刑事に笑うたなぁどいうことで、うけた私としては悦ばしいことなんですが、でもね、その場に居合せたわたしといたしましては、ほんとーに、怖かったんですよー。
“テメー余計なこと喋りやがって”って感じの視線に、ひょっとして手下の若い衆だかに連絡が入れられ、警察署の玄関出たとたんにブッスり−てなことになるかもしれないど。考えてみれば取調中のひとが簡単に外と連絡取れるわけないんですよね。私が勝手に、ああハードボイルドの世界やなぁと(どこがや!?)自意識過剰になってただけなんですが…。
警察の玄関を出た時、それでもコートの襟を立ててしまった私でした。ところで、小説すばる10月号に載っていた甲州監督の「白き嶺の男」を読みました。しかし編集部で作成したんでしょうが、目次のキャプションに“雪山に、今、ひとりの超人が目覚めた。谷甲州が描出する真の男の魅力を”と書かれてましたよね。
あげ足とりをしたいわけじゃありませんが、ここはDr.前野いろもの学者さん風つっこみで、「おーい超人て誰のことだー」。
本格山岳小説70枚と銘打たれていますから、山岳SF小説と勘違いされているわけではないようで、とすると山での生活というものを知っているあの方を超人=人間を超越する偉大な人と解釈されたんでしょうか。すると熟練した第一次産業従事者、漁師とか猟師とか樵とかの人達ちゅうのはみんな超人になってしまうんでないかい。
自然の中での生活をよく知らないままに、自然保護というてるだけじゃしゃあないんとちゃうか、という感じはあると思うのですが、「現代の人々は自然と共に生きることを忘れてしまったのではないか。自然の中で己の経験、感覚でもって生活していける人達はもはや超人と言っても過言ではなかろう」って言いたかった…わけないと思うんですが…。
もしそうなら俺は叫ぶぞ「わいは超人の息子や!矢でも鉄砲でも持って来い!」(ごめんなさい、ごめんなさい…)同小説すばる10月号・中グラビア「ホビーランド」の“谷甲州・とにかく歩くのが好き”の写真で、甲州親方はカメラマンの注文に「かなわんなぁ。こんなとこに引っ張り出されてポーズつけさせられんの。あーあ、わし徹夜明けで眠たいねん。はよ撮ってや」とふててるように見えるのは、果して私だけなんでしょうか。
怪人かえる男−世界征服の尖兵− |