第40回日本SF大会 SF2001
FCS企画:「運命のそのとき」


 今回はゲストに作家の小林泰三さん、林譲治さん、本会代表の大迫公成さんの三人を迎えて、プレコンタクトの部分に絞った企画となりました。今年は少々会場が狭かった所に、予想以上の人数に参加いただいたので、熱気で眩暈がするほどでした。内容も詰め込み気味で駆け足だったので、参加者の皆さんには不満もあったかと思います。が、なかなか盛り上がって楽しい企画でした。
 企画の内容は、プレコンタクト、異星人からの通信の解読です。予めスタッフが用意した異星人からの通信を、企画に来た皆さんに見せて解釈を競ってもらい、果たしてスタッフが設定した意図や意味にたどり着けるか、と言うものでした。ポイントは、回転する発信源からのタイトな通信ビームが、太陽系内を横切ったという設定です。つまり、サーチライト状の通信ビームが、受信施設のあるところを通過中の内容だけが受信できます。要は通信内容が「不完全」だということです。さあ、これで「正解」にたどり着けるのか?

 会場では何段階かに分けて見せたメッセージをいくつかお見せしましょう。こんな感じです。是非解読にチャレンジしてみて下さい。

通信データ
通信データ
通信データ
通信データ

 何枚目の図で「もしかしたらコレは・・・」と思われました?
 ちょっと生物学をかじった人なら、後半の図を見れば「内容」には見当がつくかも知れません。そう、コレはDNAの暗号とタンパク質の構造図なのです。
 企画会場でも「もしかして・・・DNA?」と「正解」に気付いた方もたくさんいたようです。  ただ、内容に見当はついても、どういう意図でこの通信を、という「理由」は、かなり難しいのではないでしょうか? 実はスタッフ側の設定では、「神様に示してほめてもらうため宇宙のいろんな(神様がいそうな)方向に向けて生物学の研究成果を発信し続けている異星人」というかなり極端なものだったのです。
 にもかかわらず、「解読のヒントが何もついていないのは、もしかしたら宗教的な通信では?」とか「通信の形式から見て地球への通信ではなく、「放送」じゃないのか」と正解を突いた発言も多く、正直びっくりしてしまいました。さすがコンタクト慣れしてますね、SF大会参加者は。この分ならいつ異星からの通信が来ても大丈夫ですな、SF大会の前なら。
 本当はこの後、「このような通信を送ってくる異星人とは、どのような奴等だと想像できるか?」「彼らにどんな返事を返すべきか?」という議論まで持っていきたかったのですが、時間はアッという間に足りなくなるのでした(いつものことだけど)。

(伊藤俊治)



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