「終わりなき索敵」は確かに傑作です。しかし、分厚いので敬遠していたり、探しても見つからなかったりして、まだ読んでおられない方も多いのではないでしょうか。そこで、そういった方々がこの「必読の」物語を読んだふりをするために(少々(かなり?)粗っぽく)まとめてみました。
不気味な天体・射手座重力波源(SG)の探索に向かうロックウッド大佐の一行は、予期しない事故により、クルーの一人、作業体Kと離れ離れになってしまう。
それにもめげず、苦労してどうにかSGまでたどり着くと、
「なんとかせんとこのままやったら汎銀河世界との戦争に負けてまうで。汎銀河世界がどこにあるか今のうちに教えといたるし、超光速技術の手引きを持って来たったからあんじょうやるんやで。ほら、受け取るんや、通信を開放せんかいな」というおどし半分のメッセージと情報を受ける。この時、一行は未来の航空宇宙軍の敗戦を見せつけられる。
さて、一方、人類にいじめられた過去を持つ作業体Kは、SGへの接触を拒否されてしまい、悲しい思いをする。肉体を持たない存在となった彼は、宇宙を放浪し、ダンテやバシリスク・クルーや他の大勢の話を聞いた後、ジョー・シマザキの人格と融合し、兄のヴィシュヌと共に銀河の中心へと旅をする。やがて彼は、過去に戻って自分の思い出を伝説として持つ汎銀河世界を作る。
「今にみとれよ、航空宇宙軍。この借りは返すからな…」
太陽系に帰り着いたロックウッド大佐は左遷され、老後をのどかに過ごそうと考えていたが、「こいつはまだ使える」と思われてしまい、再び第一線に舞い戻ってくる。この時サイボーグ化手術を受け、死ぬまで現役であることを保証されてしまう。
人類はSGの情報を元に超光速技術を確立しようとするが、次から次へと遭難してしまい、なかなか進まない。それと同時に、必死で汎銀河世界の索敵を行うが、こちらの方もタイトルのとおりさっぱり見つからない。しかし、それでもようやく見つかったようなので、小宮山中将・ロックウッド准将らの一行は、50光年かなたのバラティアまではるばる出かけてゆく。小宮山中将はプローブの撃墜をネタにバラティアの諸政府に言いがかりをつけ、原爆を落としてから、
「いゃあ、すまんかったのぉ。そやけど悪気があったんとちゃうんや。せっかくやからわしらの進んだ科学技術を教えたるわ」と、じわじわと統制を始めるのだった。
…とは言うものの。驕る平家も久しからず。技術の粋を集めた艦船といえども軌道を単調に回っている時は弱かった…。
小宮山中将の旗艦グルーム・ブリッジは、伝説を受け継ぐ戦士・ダムダリによる生身の軌道爆撃で撃破されてしまう。近くの恒星系まで出かけていて、急いで(とはいえ10年かかったのだが…)帰ってきたロックウッド少将も遺体を回収している最中に、同様に爆撃を食らってしまう…。
しかし。サイボーグ化されたロックウッド少将はそれでも死ななかった!
ついに決戦の時が来た。ロックウッド中将は、SGに500年前に見せられた未来視より二隻も多い、八隻のガンガ級の主力艦をひきいて汎銀河連合との戦いに臨んだ。
「よっしゃ。これやったら勝てるでぇ…」
しかし、後から来たジャムツォ中将ひきいる第二艦隊に手柄を横取りされたかと思った瞬間、やっぱり未来視のとおりに撃破されてしまう。そして、すべてを知る。
「作業体K、おまえやったんか。なつかしいなぁ…昔ユリシーズに乗ってSG見に行った時以来やなあ」
さて、ムルキラはといえば、黙って一部始終を見ていたのだった。
これを読んで「終わりなき索敵」を読んだふりができるかどうかは、相手によります。読んでなくて興味を持たれた方は、間違いを防ぐためにも、実際に「終わりなき索敵」を購入して読んでみられることをお勧めします。