小説新潮の6月号からの抜粋
正賞及び副賞百万円(正賞はバロメーター)
「白き嶺の男」(「白き嶺の男」「沢の音」「頂稜」)
選考委員 阿刀田高、伊藤桂一、岩橋邦枝、長部日出雄、尾崎秀樹
第十五回新田次郎文学賞は、四月十七日上記のように決定いたしました。この賞は故新田次郎氏の遺志により設定されたもので、氏の印税を基金とし、左記の規定によって年一回授賞されます。
(尚、本賞では、候補作の発表は致しません)
新田次郎文学賞(ニッタジロウブンガクショウ)〔’93年12月〕
故新田次郎の遺産の一部を基金として,財団法人新田次郎記念会が昭和56年に創設され,文学賞の設立を強く願っていた故人の遺志をついで,翌57年に「新田次郎文学賞」の第1回授賞が行われた。
(財)新田次郎記念会
阿刀田高、伊藤桂一、岩橋邦枝、長部日出雄、尾崎秀樹
非公募。アンケートその他によって候補作をあげ,選考委員が選ぶ
〔対象〕前年1年間に初めて刊行された作品で,小説,伝記,エッセイ,長短篇等の形式の如何を問わない。
歴史,現代にわたり,ノンフィクション文学,または自然界(山岳,海洋,動植物等)に材を取ったもの
授賞決定は4月頃,発表は「小説新潮」7月号誌上 (今回は6月号に掲載された)
記念品(正賞)及び100万円
〒102 東京都千代田区紀尾井町3−23文芸春秋ビル 日本文芸家協会気付 (財)新田次郎記念会
(Tel.03−3265−9675)
第1回(昭57年) | 沢木耕太郎 | 一瞬の夏 | 新潮社 |
第2回(昭58年) | 若城希伊子 | 小さな島の明治維新―ドミンゴ松次郎の旅 | 新潮社 |
第3回(昭59年) | 辺見じゅん | 男たちの大和 上・下 | 角川書店 |
第4回(昭60年) | 佐藤雅美 | 大君の通貨―幕末「円ドル戦争」 | 講談社 |
角田房子 | 責任―ラバウルの将軍 今村均 | 新潮社 | |
第5回(昭61年) | 岡松和夫 | 異郷の歌 | 文芸春秋 |
第6回(昭62年) | 長部日出雄 | 見知らぬ戦場 | 文芸春秋 |
第7回(昭63年) | 海老沢泰久 | F1地上の夢 | 朝日新聞社 |
中野孝次 | ハラスのいた日々 | 文芸春秋 | |
第8回(平1年) | 入江曜子 | 我が名はエリザベス | 筑摩書房 |
第9回(平2年) | 鎌田慧 | 反骨―鈴木東民の生涯 | 講談社 |
佐江衆一 | 北の海明け | 新潮社 | |
早坂暁 | 華日記―昭和いけ花戦国史 | 新潮社 | |
第10回(平3年) | 宮城谷昌光 | 天空の舟 | 海越出版社 |
第11回(平4年) | 大島昌宏 | 九頭竜川 | 新人物往来社 |
高橋揆一郎 | 友子 | 河出書房新社 | |
第12回(平5年) | もりたなるお | 山を貫く | 文芸春秋 |
池宮彰一郎 | 四十七人の刺客 | 新潮社 | |
半藤一利 | 漱石先生ぞな,もし | 文芸春秋 | |
第13回(平6年) | 岩橋邦枝 | 評伝 長谷川時雨 | 筑摩書房刊 |
第14回(平7年) | 西木正明 | 夢幻の山旅 | 中央公論社 |
第15回(平8年) | 谷甲州 | 「白き嶺の男」(白き嶺の男、沢の音、頂稜) | 集英社 |
新田次郎氏といえば山岳小説というイメージを持っていましたが、べつに山岳小説でなくても問題ないようです。(というより「白き嶺の男」以外には受賞作に山岳小説がほとんどない)
わりと許容範囲の広い賞のようです。正賞の「バロメータ」とは、気圧計のことです。
賞金の100万円というのは、、芥川賞や直木賞と同額のようです。これくらいが、相場なんでしょうか。