ハスミ大佐の家族に関する考察

竹林[Nina]孝浩

 センチネルマンことハスミ退役大佐、宇宙開発初期の頃の伝説の人物である。あれほど多くの武勇伝、うわさそして伝説をもつ人物であるにもかかわらず。彼の私生活は多くが謎につつまれている。
国籍はアメリカで、日系4世であること以外、出生地、生年月日等は一切謎に包まれている。そもそも、ハスミ大佐のフルネームすら明らかではないのである。家族構成に至っては妻がいたらしいことと孫が少なくとも一人、ひ孫が少なくとも三人いること以外はまったく不明である。
そこで、本資料ではセンチネルマンことハスミ退役大佐の家族構成について数少ない資料をもとに考察してみようと思う。なお以下では主に便宜上の理由によりハスミ退役大佐ではなくハスミ大佐と記述することとする。

 ハスミ大佐には妻がいたらしい。この点は間違いのないはずである。少なくとも孫やひ孫の存在が確認されている以上、少なくともハスミ大佐には子供が存在したはずである。そして、子供が存在している以上その子供を産んだ人物が必ず存在するはずである。したがって、ハスミ大佐が単性生殖が行えるほどの化け物でないかぎりハスミ大佐に奥さんがいたことはかなりの確立で真実であろう。また上記の推論より、ハスミ大佐の奥さんは女性であることはまず、間違いのない所であろう。

 ここまでで、ハスミ大佐には妻がおりその性別は女性であることがわかった。しかし、ハスミ大佐の妻についての資料はあまりにも少ない。これ以外の情報となると、赤飯のお弁当のみである。というわけで、以下この弁当を手がかりとしてハスミ大佐の奥さんの人物像について考察を行うことにする。

 では最初の手がかりとして軌道傭兵第2巻冒頭の弁当から検討してみよう。ここで明らかになっているメニューは以下の通りである。

以上から明らかな様に典型的な和食弁当である。ところで、ハスミ大佐の食事は大抵の場合和食である。これはハスミ大佐が日系四世ということだけではなく、確実にハスミ大佐が和食を好きなのであろう。
 ハスミ大佐が結婚前から和食を好きだった場合、ハスミ大佐の性格からして、和食を上手に作れる人物を嫁にする可能性は大きいと考えられる。なぜならば、あのいきあたりばったりそうに見えて用意周到なハスミ大佐がその後一生食べることになる食事に重点を置かないわけがないからである。
またハスミ大佐が和食を好きになったのが結婚後だった場合には当然考えられる可能性は奥さんが和食が上手であり、毎日食べているうちに和食が好きになったということである。
 以上の2点から考えるとどうやらハスミ大佐の奥さんは和食が得意であるらしいということがいえる。またタコ型ウィンナーなどというかなり日本の深い文化に根ざしたメニューまで作ることからどうもハスミ大佐の奥さんは日系人または日本人ではないかと考えられる。
 また、手元にある日本鶏卵振興会の一九八二年の統計資料によると、卵焼きというのはA型の血液型の好む料理方法なので(約 %の人がこの料理方法を選んでいる)、このことからハスミ大佐の奥さんの血液型はA型とわかる。(ちなみにO型の人はゆで卵を,B型の人は目玉焼きを、 型の人はオムレツを好むという統計調査が出ている。ただし 型の場合1位のオムレツと2位のめだま焼きは僅差である)。
 さらに赤飯についてであるが、ハスミ大佐は以下の様に述べている。

「これはタイランドからとりよせたモチ米だ。いろいろやってみたが、これがいちばん無重力にはむいているようだ。炊き方にもよるが」

 つまり、この赤飯は今までのいくつかの実験の結果、選ばれたものであるということである。では、誰がこの実験を行ったのであろうか?当然ハスミ大佐の弁当という私的な問題であるからNASA等はからんでいないと思われる。そうなると実験を行う人間はハスミ大佐または奥さんということになる。

 おそらくこの弁当を作るまでにはそれほど、フライト回数が数多くこなされたとは考えられず、また一度のフライトで一食程度しか持ち込めない環境ということから考えると、これらモチ米に関する実験はかなり少ない回数の実験結果から得られたものと考えられる。この様に少ない回数で十分な効果をあげられるというのはかなり実験に関して手慣れているという証拠である。ハスミ大佐も今までいくつかの実験を手伝ったこともあるかもしれないが、基本的にはパイロットであり、実験の計画等は行ったことがあるとは考えられない。となると残りは奥さんである。

 つまりハスミ大佐の奥さんは一人でこの宇宙食用に適した米とその調理方法の調査研究を行ったわけである。この数少ない実験から最大の研究結果を引き出すには綿密な実験計画の設計が必要となる 。ハスミ大佐の奥さんはまさにこれを行ったわけである。ということはかなり専門的な訓練を積んでいる人物であると考えられる。となると、やはりハスミ大佐の奥さんもNASAの関係者であった可能性は大きいのではないであろうか。NASA関係者であればハスミ大佐と知り合う機会も十分に考えられるわけである。
以上より、ハスミ大佐の奥さんは以下のような人物であると同定できる。すなわち、日系人でNASAに勤務している血液型A型の女性である。後はどこからかNASAの職員名簿さえ入手できさえすれば、ハスミ大佐の奥さんの顔が拝めるわけである。

参考文献: 『たまごのおいしい話』日本鶏卵振興会編、1983年、ワニブックス会




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