航空宇宙軍史の社会生態学

川崎[漁師]博之

『見てのとおり、俺は地球人だ……』

 なんやこの“地球人”のセリフは、彼がもっている差別意識、劣等感なのか優越感なのかようわかりませんが、が言わしめたもんのような気がしますな。それも生物学的な表現の違いではなく、思想的なものとちゃいますか。
 汎銀河世界が地球の自然環境を再創造し生物の系統発生を再生したものですから、
基本となる遺伝子情報は共通しているでしょうし、環境に適応していった生物進化の表現型はほとんど同じなのでしょう。
 それに外見からしてすぐわかるような違いがあるとしたら、こんなセリフを吐くでしょうか。こんなわざわざ言わんでもわかるようなセリフを。わざわざ言うたということは、逆に見てのとおり、見てくれは同じということだと思います。例えば「(みてわからんのかいな)…ワイは日本人や」と中国人や韓国人に見られると腹立たしげに反応するのは差別意識(差別したい、してもらいたい)やと思います。
 アフリカのある部族の人から見たら、日本人も中国人も韓国人も同じ黄色い人間であって見かけも大してかわらんわけで、わざわざ「日本人や」と言いたいのはそれは「ほら、目尻が下がっとるやろ、鼻が低いやろ、足が短いやろ……」と外見の些細な違いを強調したいわけではないし、意味のない事やと言うてる本人もわかってます。結局、個人的なそして生物学的な表現型以外のもの、文化、政治、経済の影響力とそれらから想像される抽象的な「日本人像」を、思い浮かばせよう、差別させようとして言うセリフやと思います。

 話を「CB−8」の方に戻しましょう。生物学的な表現された形質に差異がないとすると、「地球人」という存在証明はなんなんでしょうか。地球人の文化でしょうか。
『CB−8』の世界では、地球はすでに氷の世界になっているし、「地球に住んでいた地球人」はとっくの昔に追い出されてるわけで、「地球に生まれ育った人間としての地球人」は全く存在してませんよね。そうした状況で「地球人」として生きていかなければならない理由はあるんでしょうか。「地球人」という存在価値はあるんでしょうか。
 汎銀河大戦(?)後、汎銀河人側のとった戦後処理のひとつとして地球から地球人を追い出したんですよね。地球人社会、文化の中心としての地球を環境的に破壊したものの、地球人の抹消というのはとりあえず考えていなかったということでし
ょうか。航空宇宙軍関係者は戦犯として処刑等があったでしょうが。地球人全ての処刑が行われなかったとすると、追い出された地球人に待ち受けていたのは次の二通りの運命のうちどちらかだと思います。そのひとつとして

1)地球人隔離政策

 どこかの惑星に強制移住させ、例えば汎銀河人の司政官の管理下に置き、宇宙進出に関わる技術、思想を禁止し、監視を続ける。
 ただ、汎銀河人は地球人の持つ文明観、価値観、社会体制を嫌悪し恐れていたとすれば、地球人を隔離しておくことはそれらの文化、価値観に地球人が固執し続ける可能性が高いし、「地球」という惑星から追放した意味がなくなるかもしれません。
 では、その「地球人」の存在証明を消失させるために「遺伝子交換」という政策が考えられたのでしょうか。生物の種としての改造を遺伝子レベルから行うというのは技術開発と行政的に施行するために時間も金もかなり費やさなければならないでしょう。そんな金を使ってまで「地球人」を残さねばならない理由はあるでしょうか。人道的倫理観から大量処刑はしたくないから、性格さえ直せば生かしといたるわということでしょうか。あるいは原種としての人類の遺伝子を残しときたかったんでしょうか。
 地球人を残しておきたくもないが大量虐殺もしたくないというのであれば、何も遺伝子変換という手間をかけずとも、地球から追放する時に生殖可能な人口集団に不妊処理をすれば地球人はその遺伝子とともに自然消滅し、大量処刑の後味の悪さを感じることなく、また遺伝子変換技術よりもずっと安上がりに「地球人」を消去出来たと思うのですが……。
 それに「遺伝子変換」」というかなり「航宙軍的政策」のような気がしませんか。
汎銀河主義が反航宙軍主義ならば人類の種としての尊厳に触れる遺伝子への介入を行うのでしょうか。汎銀河世界が作業体K(意識だけではないですが)に干渉されているんでしょうから、そうした人格改造みたいなものは受け入れられないような気がします。
 では、もうひとつの可能性は

2)地球人融合同化政策

 地球人が問題なのは彼らの持つ文明観、価値観、社会体制であるとすれば、汎銀河人の価値観に従わせることによって地球人の独自性を失わせようとするかもしれません。追放された地球人はいくつかの集団に分離され、汎銀河人の各々の領域内の惑星に放散移住させられるんじゃないでしょうか。最初はそれぞれの地に於いて地球人の再教育が徹底して行われるかもしれません。各々移住先の文化を受け入れることを強要されるでしょう。そのうち政策的にも雑婚というか、地球人と現地銀河人(なんや変な言い方ですが、まあバラティア人とかなんとかかんとか人です…)の婚姻が推し進められるかもしれません。
 この場合も「遺伝子変換」政策というのは無駄な気がします。社会的な活動や価値観の確立など単に遺伝情報のみによって決定されるはずもなく、後天的な社会環境や教育などによって左右されるでしょうから、「遺伝子変換」を導入したところでその効果は明確に予想出来ないと思います。そんなものに金は出さんでしょうな、行政官は。

 以上の2つの可能性のうち同化政策の方が現実的(ちゅうのも、なんや変な言い方ですが)でしょう。隔離政策には地球人用の惑星を確保せねばならず、ひょっとして汎銀河人がそれまで住んでいた星を明け渡さなければならないかもしれません。引っ越し費用もばかにならんでしょうなぁ。それに加え、地球人監視用の新たな政治行政機構をその星に作らないといかんでしょうから、またこれにも金がかかります。いずれは地球人から税金をとりたてるでしょうが、当初はどっかの政府が運営費を出さんとやっていけんでしょうなぁ。その点同化政策は特別これといった準備(設備、行政機構の改編など)もあんまりないし、金もそんなにかからへんやろと思います。
 ただそうなると「オレは地球人や」と言わしめる価値観なりが数千世代にわたって受け継がれていくでしょうか。同化政策をとりながらもやはりそこには社会的な差別化が行われたでしょうか。
 数千世代にわたってまで受け継がれるというのは宗教のようにがちがちの思想体系を組み立て価値観を固定しないとならないでしょう。そんな思想を作り上げやすい状況−母星からの追放・放浪という悲劇、受難の歴史、選民思想への転化−にあって、またそれを助長するような差別化−社会的階級づけ、その身分制の固定化−を果たして汎銀河人は行ったでしょうか。
 政治行政的には表向き行われなかったでしょう。しかしながら日常生活の中で戦争の記憶をお互い忘れることも出来ず、そうした確執は水面下に潜って行われ、それだけ根強く深いところで次世代へと受け継がれていったかもしれません。お互い“伝説”を語り続けていったかもしれません。
 それでもちょっと5万年(田中「暗号兵」さんの年表、甲州えいせい6P37)
ちゅうのは永すぎるような気がします。この間になんか起こらんと「地球人思想」が強化されず、するすると尻すぼみの感情になってしまいそうな気がするんですが……。
 第2、第3次汎銀河大戦ちゅうのはあったでしょうか。誰が反乱したかと言うと、
ひとつの可能性として第1次汎銀河大戦(便宜上「索敵」での戦争をこう呼びます)
前から移民していた“地球からの地球人”。第1次大戦後汎銀河人は各々の星域に閉じこもってしまったので、地球人の移民船の情報(特に戦争中どこかの宙域を宙航し続けていたもの)をつかみきれておらず、そうした“地球文明”を伝えた人類がどこかに根をおろしそのうち航宙軍と同様の行動をとりはじめ、汎銀河連合が再び結成され“地球人の悪夢”が繰り返される……ちゅうことがあったのかもしれません。
 また別の可能性として、元汎銀河連合だったどこかの星域人が“地球人化(航宙軍化)”して出たがりの虫をおさえきれんようになってしまい、そのうち第一次大戦と同様な衝突が始まってしまう。
 この場合母星が地球ではないので“地球人”という行政的コード名(?)はないはずですが、基本的な遺伝子型が銀河人類内で共通しているので、なんというかこの“外に出たがりの虫”が強くなる行動形態をとることを“先祖返り”とか“地球人化”として認識されていたかもしれない。で、そうやって勝手に飛び回ってる奴らを「地球人」と呼んでたんかもしれません。
 このへんのところは、汎銀河人への遺伝子変換を拒む地球人が散在するらしい(従軍魔法使いさんの“甲州原論”。こうしゅうえいせい6、P58)ので「遺伝子変換を拒む」というところを「同化政策に従わない」地球文化を継承する人類ということで、第一次大戦後探索からもれた地球人植民地、植民船の存在を示しているのかもしれません。
 もしそうやって残された「地球文明」があったとしたら、どんなものなんでしょうか。果たして恒星間宇宙にまたがった地球文明圏というものが存在したと思いますか。その地球人社会が膨張し続け航宙軍が拡大し続けた時に「地球文明帝国」は建設されたのでしょうか。
 地球から発進される情報文化は植民地星に伝わるものの、おそらくそれらは航宙軍の干渉の下に行われたことでしょうし、地球との時間差はどうしても避けられないものだったと思います。情報的にうらしま太郎さん化してしまった外にいる地球人は、超光速通信が解放されたとしても、もうその時代での“本家地球人”との文化的差異、時代性の格差の大きさに打ちのめされ、“本家地球”と交流することは出来なくなっているかもしれません。
 いずれにせよ汎銀河人は“本家地球”を壊してしまったわけですが、植民地星にとってはさほど痛手ではなかったかもしれません。彼らはすでに分家としての地球文化を継承していったでしょうし、そのうちそれぞれが元祖地球文化、本家直伝地球文化と名乗るようになったかも。
 超光速通信が宇宙の存在に関わる危険性故に封じられた世界において、汎銀河にしろ汎地球にしろ統一均質化された同時代文化圏は建設出来なかったと思います。
 恒星間宇宙において同時代性を共有するのが出来ない故に、地球人は航宙軍という体制でもって進出していったのだと思います。軍隊という組織体制、価値観の保守性、その存在意義の不変性から、同時代性ということに存在されず、長期間にわたって安定して存続していける、あるいはしなければならないものによってでないと宇宙空間を渡っていけなかったように思います。技術革新がどのようなものであ
っても、一般社会の価値観が時代と共に変容しようとも、軍隊のそれは変わらずに在り続けるでしょうし、数十年或は百年単位の時間的差異にも何の影響も受けないかもしれません。同じことは宗教のミッションにも言えることでしょうが……。

 話しがあっちゃこっちゃにとんでしまいましたが、この辺で強引にオチにもっていきますと……。

 「オレは地球人だ」の背景として

  1. 生物学的表現型に地球人と汎銀河人の差異はないものと思われる。
  2. 同化政策が行われ、その中には「遺伝子変換」の強制は行われていない。
  3. 同化政策からもれた地球人植民地星の存在の可能性
  4. 地球系人類の社会的差別化の可能性
  5. 第2、第3次等の動乱の可能性(宗教戦争も有り得る)

と、とりあえず思いついたことを書いておきます。

ジャムナ

『なんで地球人は外に出ていかんとあかんかったのか』

 男は勝手過ぎる。家族や子供が出来てもふらふらとまた外に出ていきたがる。いつまでも落ち着かんとあっちゃこっちゃに出ていってからに……。個人的に説教される言葉である。だから個人的に思いついた「航空宇宙軍は未熟なガキである」と。
 もうちょっと、こじつけを考えてみます。
 生物の行動範囲というのは種、性別、年齢、体の大きさ、季節、環境などいろんな要素がからんでくるでしょうが、各々に適切な範囲の大きさというものがあります。そのある程度の時空間的境界内で世界を認識して生活していっていると思うのですが、人間ちゅうのはそんな生物としての本能が認識し得る世界観を大きくはみだしてしもてるような感じです。脳が発達した、そうした進化を歩んだ結果なんでしょうが、「いろもの物理学者」さんの『超光速&時間旅行入門』(こうしゅうえいせい6、P64−69)のように宇宙を認識出来る人もおられるんでしょう。
 頭で認識し得る世界観と現実の生活空間としての世界観は大きくかけ離れていると思うのですが、まあ超光速旅行をしたところで日常の生活空間は航宙艦内ですし、どこかに移住すればその移住先の地が生活の場になるでしょうから、体感出来る世界認識は変わらないということでしょうか。
 それにしても、やはり外(宇宙)に出るというのはしんどいんやないでしょうか。生物進化上、水中から陸上に上がったというのはそれなりに大変やったでしょうが、水圏から気圏へというのはそれなりに連続した世界。互いに開放され交流出来る世界やないかと。その閉鎖された生物圏から外に出るのはかなり強引に門戸をこじ開けていくことになるんとちがうでしょうか。
 自然淘汰上の優位を脳の発達ということで獲得した人間は、環境への適応力を技術によって高め生物圏からの脱出が可能になったんでしょうが、そうまでして外へ適応拡散していかなあかんかったというのは本能なんですかねぇ。
 外惑星まで出ていったのは本能だったとしましょう。で、この宙域からまた外に出るには、生物の種としてはしばらく停滞というか安定期に移行して次の段階への準備が必要じゃなかったでしょうか。外惑星に出ていた人の方が宇宙への適応力が高まっていたでしょうし、外への方向性を持っていたでしょう。外惑星の子供達の宇宙への憧れをバシリスク乗員だった“ぼく”が語っているように。本来なら外惑星連合が地球を見限って外に拡散していったという話になってもおかしくなかったんじゃないでしょうか。
 そうはならなかったのは2度の外惑星動乱があって航宙軍が勝ってしまったことと空間流が偶然にも?見つかってしまったということでしょうか。動乱にしたところで外惑星の人はその適応力で優位にたっていたんですから、自然淘汰にまかせておけば生き残って次世代を作り出せたのは外惑星の人だったでしょう。
 彼らの方に、だからわざわざ戦争を起こさせる必要はなかったわけです。やはりこれらの動乱は航宙軍が起こしたといえるでしょう。自然淘汰の流れを強制的に変えるために。
 しかし、それならそれで航宙軍が何をあせって自然の流れ?に介入しなければならなかったんですかね。人類の種としてはしばらく待てば外に出ていけたでしょうに。生物としての適応進化速度に応じて自然に。地球とのきずなが切れない人もでてくるでしょうが、外惑星という段階を経て出て行けたと思うのです。
 軍という保守的な体制がとり残される焦りを感じたんでしょうか。現場での個人としては宇宙に適応しつつある人間であり、外惑星の人々と同様な立場にありながら、所属する社会体制として保守的な軍にあれば航宙軍内にも様々な軋轢が生じたはずです。
 作業体Kが出会った情報体には外惑星と航宙軍の現場で死んだ人々が集まっていたはずです。淘汰の最前線では外惑星側も航宙軍側も同様の立場の人が多くいたということでしょう。結局新たな進化の段階へと生物的には移行しつつありながら、自分達が作り上げた社会機構の保守性に絡め取られてしまった。そこに動乱という人工的な淘汰過程が導入されてしまったのではないでしょうか。
 やっぱり何故なのか説明しきれません。結局航宙軍は人類の種として次世代につなぐための成熟期間をもたないまま飛び出してしまった「未熟なガキ」だった。で、喧嘩したのは自分の分身やったんですが、これでひとつの通過儀礼をくぐり抜けたわけで、一皮むけたというか幼年期が終わったというか、第一反抗期が終わったということでしょう。うーん、まだまだ“第2次反抗期”とか“成人式”とかが待っている気がするなぁ。やっぱり第2、第3の大戦は避けられんでしょうかねぇ。

『汎銀河世界の生物学』

 汎銀河世界は地球の歴史(物理学的生物学的なもの全てを含めて)を元に再創造された世界ですよね。ただ神さんの創世紀みたいにぱっと出来たんとちごて、えらい地道に再生したんですが、全くの模写でもなかったわけです。生物を構成するアミノ酸の配列とかDNA塩基の組み合わせとかいった情報を伝え、そこに作業体Kたちの意志というか干渉があったわけです。その介入はいずれ宇宙に外に出ていくという方向づけであり、もともと方向性のない突然変異にひとつの方向性を与え、自然淘汰の選択性に干渉していったと思うのです。優性突然遺伝子の固定確率を高め、一個体内に生じた突然変異を種内に固定し進化に介入していったでしょう。それらは地球上で生じたものより進化速度が速く、早い世代交代の中で固定されてい
ったかもしれません。
 んっ、すると汎銀河世界は地球の歴史より浅くなっているのかな? 2〜3億年ぐらいは若いかな? 何の根拠もない数字ですけど。
 で、まあ地球上では進化樹の主流になれなかったというか袋小路に入り込み消えていった種も多くあったでしょうが、汎銀河世界では自然淘汰や突然変異への介入があったためそうしたものは減少したかもしれません。その反面、その介入、進化の方向づけのための余剰効果として、地球上では表現されなかった生物が産みだされ進化していった可能性があります。
 惑星バラティアに於ける蒼龍がそれだと思います。外(宇宙)に限りなく近づいた生物の一典型だと思います。
 ところでこの蒼龍、初めはカツオノエボシみたいやなぁと勝手に想像してたんですが、吸入口やまゆを発射する射出口の機能とか考えると、こりゃあタコに近いんやないかと考え直しました。蒼龍は頭足目八腕類蒼龍亜目蒼龍科の一科一種やないかなと思うわけです。ただこの蒼龍の腕というか足というか根というか何本あるのかわからないので、果たして八腕類に入れていいものやらどうか……。
 「索敵」にでてきた蒼龍は雌だったと思いますが、あのまゆを射出する器官は排泄物を射出し卵を射出するようになっていたんでしたっけ? あれが雌だとしたら雄はどんな形をしているんでしょうか。草上仁氏の宇宙クラゲの雌はモンゴイカ型で雄がレンズ状クラゲ型だったと思いますが、蒼龍の雄も雌とはかなり異なった形態をしているかもしれません。
 おそらく産卵期には雄が空中に放精し、それを雌が吸引し、受精卵を放出するのでしょう。すると雄は雌と直接交接する必要もなく、雌の浮遊高度まで上昇することもないでしょうから、雌のような空気袋を持つ必要がないかもしれません。とすると雌の“根”の先っぽあたりに生殖機能だけを備えた存在として寄生しているかもしれません。なんやアンコウのオスとメスみたいやな。産卵形態から考えると蒼龍はアンコウの仲間なんかなぁ……。
 ただ蒼龍には天敵がいないようですし、すると卵をかなりのエネルギーを使って大陸弾道軌道に乗せてまでして放卵しなければならない理由は何なのでしょうか。ここには何らかの生態学的必然性が隠されているに違いありません。
 『こうしゅうえいせい』には異常兵器カタログという名作があります。このへんで異星生物カタログにも取り組んでみてはいかがでしょうか。
 ひとつの目安として、外(宇宙)に出ようとして進化してきた生物が存在していると考えられるのですが、いかがでしょう。
 例えば空飛ぶペンギン。トビウオみたいに身の危険を感じると水面上に飛び出し水面を跳躍する魚がおりますが、このペンギン、何者かに襲われると(例えば空飛ぶシャチ)大気圏の上層を跳躍して逃げきるとか……。身体つきからしてイントレピッドU号のようなワザが使えそうな気がするんですが……。あるいは筋肉バネ袋付きモモンガとか。火山の爆風などの上昇気流に吹き上げられた親モモンガの袋に子モモンガが入っていて、ある程度の高度に達してから子モモンガは親モモンガの袋内にある筋肉バネの反発力を利用しそこから飛び出すとか……。これじゃ大気圏をつき抜けられんか……。
 まあ人外協のみなさんの才能が集まれば蒼龍を越える異常生物兵器?いや異星生物カタログが出来ると思うのですが、いかがです。

ジャムナ




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