−遥かなり神々の水瓶座−
金剛七型は間違っている

林[蛇のように冷酷で陰湿な艦政本開発部長]譲治

 こうしゅうえいせい煮がでたばかりなのにいきなりこんな物を書いていいのだろうかと言う疑問もわきますが編集の岩瀬[従軍魔法使い]氏からのOKもでましたのでさっそく『金剛七型は間違っている』

 さて、自分で言うのもなんですが、こうしゅうえいせい煮の金剛七型のペレット製造機はけっこう気にいってはいます。特にレールガンによるバルカン砲の回転軸とペレット剤の分離機構を共用させたところなど。
 が、それと理論的に妥当かはまったく別問題であります。金剛七型における問題点としてそもそもあの機構で核融合が起きるのかと言う疑問があります。
 その一つはペレットの加熱。ペレットの加熱はジュール熱により行われる訳ですが、それはつまりペレットの運動エネルギーを熱エネルギーに変換するプロセスに他なりません。しかしヘリウム3の核融合反応は実は条件的には三重水素による核融合などと比べると非常に厳しい。
 つまりかなりのエネルギーを投入しないと核融合してくれないわけですが、そのエネルギーはレールガンが与える運動エネルギーとして与えるより方法がない。慣性閉じ込め型核融合では氷によるペレットも可能だと物の本には出ておりますが、たかが氷のペレットがこれだけ強力なレールガンからの衝撃に耐えられるかははなはだ疑問です。
 まぁ、無事にペレットが射出されたとして加熱の仕方が問題になります。核融合ペレットって球形ですが、これが効率よく核融合反応を起こすためには爆縮によるペレットの圧縮は球面のどこでも一様な圧力でなければならない。この部分がじつは金剛七型では一番の疑問なのです。
 ただこれらは科学的に不可能と言う次元ではなく、技術的に難しいと言うレベルの話ですから、こうしゅうえいせい煮については、面白ければ良いかと思っていたわけです。
 で、今回『アクエリアスは間違ってる』が発動したのを機会にもう一度考えてみると一つ大きな疑問を感じました。これはSUMPACKのアクエリアス計画企画でも指摘された事ですが、アクエリアスの機関は本当に核パルスで良いのだろうか?
 これがサラマンダーなら簡単です。ペレットを使っている記述がありますから。また別の記述から外惑星連合の仮装巡洋艦や輸送船もペレットを使った核パルス推進であることが分かります。
 ここで核パルス推進の利点を考えると

などがあげられるでしょう。一方、考えられる欠点として戦闘艦の場合核パルスの衝撃が急速な運動をする場合危険が大きくなる可能性があることと、ペレット燃料搭載の空間の無駄、そして核融合燃料の効率的な使用に疑問がある点でしょう。
 航空宇宙軍の外宇宙艦隊はラムジェット宇宙船を使用するらしいのですがそうだとするならアクエリアスの機関も非パルス推進の可能性があります。
 太陽系内を移動するだけなら核パルスでもいいでしょうが、外宇宙となるとそうはいきません。外惑星動乱の時点で航空宇宙軍が外宇宙探査を計画していた事を考えるとアクエリアスの機関もその戦略の上で考えるべきかもしれません。
 じゃあアクエリアスの機関はどんなものだろう。磁気ミラーか何かだと思いますがまだ分かりません。ノード推進なんかも面白いのですがね。
 アステロイド開発の過程で12個のマイクロブラックホールを手に入れていたとか。ともかくアクエリアスはどうも核パルスではないようです。




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