あとがき

天羽孔明

 さて、以上九十九話をもって、この『迷隣虞百物語』は、古来より伝わるお作法通りにお開きとさせて頂きます。
 楽しんでいただけましたでしょうか? いや、仮にも『百物語』なのですから、「怖がっていただけましたでしょうか?」と聞くのが正しいのかもしれませんね。ふふふ、どうです? なんぞ冷笑……、いやいや、霊障はありましたか? あまりの恐ろしさに夜中にトイレへ一人で行けなくなったり、寝小便垂れるなんてな事になっている人なら、1人や2人ぐらいはいるかもしれませんね(って、そんな訳ないか……)。この『百物語』を夜中に一人で一気に読み、そんな恐ろしい霊障があなたの身に襲いかかったとしても、当方は一切関知しないつもりです。

 さて、ネット上にてこの『百物語』が無事終了した後、海外在住の足立泉さまより、以下のようなメールがぼくの元へと届きました。
 ぼくと足立泉さまとの往復書簡の掲載をもって、『迷隣虞百物語』の結びの言葉とさせていただきます。

おばけは怖いので…

足立泉

 おばけは怖いので、書かれた方々の思惑どうりに、ひや〜とかぞ〜とかしてました。んなもんなんで、百物語は読専させていただきました。
 ところで、こわがりなもんでそういう知識がなくってあれなんですが、ふと疑問に思っていることがあります。
 百物語というのは基本的に「幽霊や不思議な怖い話」をするものなんでしょうか? 怖くなくて、お笑い系にでも構成されるアイテムがそういった方面なら、物語にカウントされるんでしょうか?
 私はあんまり霊感がないんですが、知人に霊感なのが結構いまして、ベッドにのっかった手をむんずとつかんでふりまわしただの、布団の足元にきたのがうっとおしかったからけとばしたら次の日からこなくなっただのと、そ〜ゆ〜話しならば色々と聞いているのですが、とても人様に面白怖く言える話がないです。

天羽 孔明

 まぁずばり言ってしまうと、怖くなくっても大丈夫なんです。
 あまり知られていない事なんですけどね、百物語ってのは、ローソクを百本立てて、怖い話だけをするわけではないのです。とにかく面白い話ばかりを百話するのも百物語なんですよね。で、さて。この『迷隣虞百物語』にてぼくが読ませてもらいたいなぁっと思っていたのは「不思議で奇妙で怪しげな話」。そんな話を色々と読ませてもらえたら嬉しいなっと考えていました。んなわけですから、足立泉さまが聞かれたような話でも、一話にカウントできたんですよ。
 あと、『百物語』についてのちゃんとした考察や、くの怪談話に対するスタンスなんかは今回まだ書きませんが、いずれ機会があれば、どこかでそんな事も書きたいと思っています。ただ、ひとつだけ明らかにするならば、ぼくは、お化けと幽霊ってのは別物であると考えています。

足立泉

 はいそうですね。ワタクシも別ものだと思います。ただ、ワタクシは物凄い臆病者なので「ゆ」で始まるほうの単語は言わない(書かない)でいられるのだったら、言わないでいたいという小心者なんです。
 おばけはまだいいんです、ポンポコ狸やオイヌ様やてんぐやカッパってのが、あっちより怖くないです…あっちがこわいあまりに、私は医療関係やホテル業はまちがっても就業できないと思います。
 いや、見えたりするわけではないんですけど、さわらぬなんとかに……を、ちゅーじつにまもりたいタチなんです。
 だから子供の頃、夏休みに昼間テレビをみるのがいやだったのです。……なぜって、必ずワイドショーってそーゆー特集ばっかりになるじゃないですか〜。チャンネルまわしてやってないのは、NHKかテレビ東京の西部劇くらいで難儀してました。
 私がみれるホラー系映像はマイケルジャクソンさんの「スリラー」が関の山です。

天羽孔明

 じつはここだけの話なんですがね、ぼくはお化けも幽霊も全然怖くはないし、妖怪も大好きなんだけど、この系列で、たったふたつだけ怖い物があるのです。だから誰かと話しをしている時に話題がそっち方面に行きそうになると、さり気なく軌道修正をするし、それでも話題がそっちへ行っちゃった場合は、ぼくは会話から身を引いてしまうんですよ。だから、ここでもそれがなんなのかは明しません。あしからず……。

 以上、これが本当の最後です。
 『迷輪虞百物語』に参加していただいたみなさん、本当にありがとうございました。そして、これを最後まで読んで下さったあなたにも、感謝の言葉を捧げたいと思います。いずれまた機会がありましたら、このような遊びをしたいと思っています。
 では、また逢いましょう。



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