皆知ってるだろうけど、小咄をひとつ。
五、六人寄り合い、百物語をはじめ、だんだんと話し、九十九本すみ、いま一本になりて、
「どうだ、権兵衛どの。貴様の番だ。どうも埒のあかぬ(はかどらぬ)。もう、おしつけ(間もなく)夜が明ける。早く言わっせえ」
とせがまれ、権兵衛、せつなく表へ小便に出たければ、そとに、化け物が大あくび。
(安永六年正月序『さとすずめ』・現代語訳:興津要氏)
この形の物としては、この文献が初出ではないかと、私は思うのですが…。
ははぁ、ぼくの資料は、今すぐ出てこない所にしまってあるのですが、たぶんこーすけさんの書いている通りだと思います。
あと、ぼくは、これにさらに捻りを加えた話を知ってますよ。
男五、六人が蝋燭を並べて百物語を始める。で、通例通りに一話終わるごとに蝋燭を一本づつ消していくわけです。
話はどんどん進み、遂に最後の蝋燭の火を吹消すなり、そこへ化け物が現れるわけです。と、その場にいた男共は、化け物を指差して大笑い。
「なんのさわりがあるか?」と化け物が問うと、男の一人が、
「今消した蝋燭は、百十本目だよ」