昨年6月のある日、阪本[初代]氏から、一通のメールが転送されてきた。当方が以前書いた「いつでもどこでも執筆環境を」を人外協のウェブサイトで見た方から、問い合わせが来たと言うのだ。
貴HPは、私が乾電池使用で、より長時間テキスト入力が快適に出来るモバイル機種がないかと探していた時に、見つけたものです。大変参考になったのですが、今現在でお勧めのものがありましたら、ご紹介いただけないでしょうか?本HPは、1999年4月の時点のものとありましたので‥。大変お手数おかけしますが、お返事いただければ幸いです。
こちらの反応はというと、
というものだったのだが、如何せん月日が経てば人は変わるもので、当方とて例外ではない。返信は以下の様になった。
すみません、
- あの記事書いた半年ほど後にSHARPのTeliosほとんどサブノートパソコン級のWinCE機)を買ってずっとメインマシンだった。
- おまけにPDAも胸ポケットに常駐できる薄型Palm V系にしちゃった。
- 最近ぜんぜん外出テキスト書きから遠ざかっているので、返事する資格はもう僕には無いような気がします。
ちなみに、
- 使った事のある単三電源のWinCEマシン(カシオペアA-50/A-60と白黒モバギ)はどれも電池が全然持たなかった。鞄にしばらく放り込んでおいていざ使おうとすると既に電池切れ。使えね〜。
- 今時は情報源にwebを多用するので、モノクロ画面では実用に耐えない。
- それとInternetにつなぐ、長いファイル名を扱う、のが当たり前になったので、DOSマシンはもう駄目です。(純粋物書き用とweb/mail用に別機種を同時携帯するなら話は違うが…)
- 逆にTeliosは思った以上にバッテリが持って、不満に思ったことはほとんどありません。予備バッテリも持っていたが本当の非常時しか使ったことは無かった。2年の間にバッテリ寿命も来なかった(中古だったのに)。画面は高解像度でWinCEに珍しいTFTでむっちゃ綺麗。ギリギリタッチタイプ可のタイトで薄い筐体。AirH"挿しとけば、まあ万能。僕が買ったときは中古でも8万円弱したけど、今時は2万円台。単三電源ではないけど、今お勧めといえば、これになるか。(ただポインティングデバイスに強い癖が、キーボードドライバに微かにバグがあるのは要我慢)
というような訳で、当方もう単三乾電池主義者ではありません。
- そんなに気に入ってたTeliosなのに、昨年末に盗難に遭って無くしてしまったので、今狙ってるのはシグマリオンV。(でもキーボード配列がネックかも)
- リナザウ C700は玩具として買って、一応web閲覧専用で使ってますけど、バッテリ持たない、ブラウザ遅い。それと、画面ドットピッチがこれ以上細かくても無駄という下限を、こいつのお陰で初めて見ました。視力の限界に迫ってます。(その代わりその VGA画面のお陰で、このサイズにもかかわらずwebが実用になってますが)
- あと色物としては、ポケットポストペット(正体はWinCE機)にPocket WZを突っ込むとか、ブラウザボード(正体はキーボード付の旧ザウルス)とか。まあ実用にはつらいっすね。
“PSION 5mx Pro日本語版”
↑これなんかは単三2本で動いて、いまだに物書きには良さげなんですが、上記の理由(モノクロ画面、ネットが???)で、もう自分では買わないと思います。当然、自分で使い込んでいる訳ではないので、お勧め機種にはできません。
こんなとこでしょうか。外してなければ良いんですが。
さて、これから更に一年経った現在の当方の状況は…
そのリナザウもまた鞄ごと盗まれて(ああ、深酒は止めようと何度誓ったことか)C860を買い直した。このサイズでYahoo!のページとかが普通のレイアウトで表示できるのは、一般の人に見せてもそれなりに驚いてもらえて楽しい。
シグVはなかなか値段が下がらなかったので、Teliosも上記の2万円台の中古を買い直したが、これはリナザウがあるおかげであまり活躍の場が無い(リナザウだったらポケットに入って手ぶらで外出できる。これ重要)。
ついでに書いておくと、リナザウ買う前に、Palm+Teliosの後釜にできるかも、とPocketPCのGENIO e550GXとか買ってみたが、
というわけで一瞬で腐った。
ちなみに、使っているpalmはIBMのWorkPad c3だが、今は2機種、3台目(以前2MBのPalmV相当品から8MBのPalmVx相当品に乗り換え、更にそいつのタッチパネルがおかしくなったので「こんな事もあろうかと」\9800で買っておいた同一機種の中古と入れ替えた。故障品のタッチパネルを修理に出すかどうかは思案中)
で、いくら何でも3年前の機種を今後も使い続けるのも何だし、という事で、SONYがやっと出してくれた手帳用途の薄型CLIE、PEG-TJ25を買った。(ハイレゾカラーだし)
ところが買ってはみたものの、ペン入力がGraffiti 2しか載ってなくて、永年使い慣れたGraffiti
1から移行できず、(あと細かい話だが最近まで良いケースが無かった事もあって)これも現在休眠中。
だだGraffiti
1が何とかして(裏技はあるらしいが当方実践不可能)使えるようになれば、復活の可能性は充分ある。というか物自体はかなり気に入っているのでぜひ使えるようになって欲しい。
また、現在の環境で致命的なのは、外出先で通常のメール送受信ができないこと。以前はPC上のWZ MailとTeliosの Pocket WZ
Mailの間でコンパクトフラッシュに入れたメールフォルダを共有してメールを一元管理していて、これが極めて快適だったのが、持ち歩きネットマシンがリナザウに変わってしまったため、上記共有が出来る持ち歩きメーラーが無くなってしまったのだ。
とりあえず今は外出先でのメール読み書きはあきらめて、職場と自宅のPCの間でメールフォルダを共有するだけで我慢している状況。これはいずれ何とかしたい(WZ
Mailとファイル互換のある、リナザウで動くメーラーを探す、とか)。
ところで、最近文章を書かなくなってしまった当方がPDAを何に使っているかというと、当然メインは住所録と予定表なのだが、特に後者が重要である。ここで予定表とは言うものの、用途としては行動履歴メモとして使う頻度のほうが圧倒的に高い。
仕事が一区切りつくたびに作業記録をメモる(週報の元ネタに使う)時とか、出張の交通費をメモる(旅費精算に使う)時とかに、予定表の現在日時の欄を即開いて書き付ける事が出来るのは、紙の手帳には無い便利さである。
その他のメモ(思いついた買い物リストとか、聞き取った電話番号とか)も、とりあえず予定表の現在日時の欄に書き留めてしまう。コツは、半日後に見たときに内容を思い出せる程度の走り書きで良いから、とにかく何でも書き付ける事。
その後PC上でデスクトップソフトと同期させてから、必要に応じてPC側で記述を補い(やはりまとまった入力はPCで行うのが合理的)、また住所録等へ転記(コピペ)し、再同期。
この書き付けて貯まった膨大なテキストがそのままデータベースになる。紙の手帳と違って、分厚く膨れ上がって時々処分しないといけないなんて事も無い。
予定表に記録されているので既に日時でソートされている。また記述のごく一部さえ記憶に引っ掛かっていれば、検索機能でどんなに昔の事であっても拾い上げられる(仕事上これに何度か助けられた)。
本来の予定表用途関連では、逆にweb等からの情報を簡単にPDAに貼り付けて持ち歩けるのも大きなメリットである。時刻表やイベント情報、店舗・施設の情報等、過去いちいち紙に手で転記したり印刷して手帳に挟んだりしていた事を思うと、同じPC内で情報を他のアプリからデスクトップソフトにコピペしてボタン一つでPDAと同期させるだけ。極楽である(まあちょっと加工の必要があることも多いが)。
裏技その1: | 住所録のデータにも登録した日付を入れておくと何かと有用。情報の鮮度が一目で判る。 |
裏技その2: | palm系は住所録の階層管理が弱いので、“会社名”欄をサブカテゴリ欄として使ってしまい、表示の並べ替えを“会社,姓”に設定しておくと、サブカテゴリソートが無理やりではあるが実現できる。(本来の会社名は氏名や住所の欄に含めてしまう) |
その他: | 英和辞典・漢字字典、それから電卓、としても結構使っている。 |
実はここで当方にとって大きな空白領域がある。電子書籍である。
谷甲州作品も数多く電子書籍化されている事もあり、PDAに電子読書環境を構築するのは非常に有意義であると思われる。雑誌はともかく小説等の文章書籍ならば、嵩張る紙の本という形態ではなく電子テキストを何冊分もPDAに貯めて持ち歩く方が遥かに合理的である事は明らかである。
それを実施していないのは、ひとえに当方が「有料コンテンツ」というものに対して未だ馴染んでいない為である(webで長文閲覧は平気で行うし、かつてNiftyのフォーラムのログを200LXにいっぱい貯めて毎日読んでいた事もあるので、そうとしか思えない)。
あ、読みたい本で電子出版されているものがあまり無い、というのもあるか。
このジャンルはぜひ興味のある方に実践して頂き、御報告願いたい。
もう一つ、携帯電話の電話帳(+できたら通話履歴)と同期を取るという課題もあった。実際に必要性をかなり強く感じてはいるのだが、なかなか実現に向けて行動を起こせない。とりあえず携帯の表示を見ながらPDAに入力し直すという芸の無い運用でお茶を濁している。以前使っていたNOKIAの携帯(NM207)は赤外線を使ってpalmと直接同期出来た(palmにソフトがあった)らしいのだが、それも試さないまま携帯をパナに変えてしまった。
何とか情報収集くらいは心掛けておかないと、と反省。
以上「いつでもどこでも執筆環境を」後日談改め「いつでもどこでも情報管理」、相変わらずの試行錯誤途上の軌跡であるが、如何だったであろうか。ご参考になる事が幾許かでも有ったとしたら幸いである。