至高の使い捨て兵器「メネシスシステム」

林[艦政本部開発部長]譲治

●はじめに
 さて甲州画報No.8におきまして究極のレーザー兵器「雷丸」が発表されたわけですが、実は私も同じ時期に同じような物を考えてました。違う点は私のが、電力供給の方法が木星の磁場を利用するくらいのものです。どうするのかと言いますと、木星の衛星イオの表面に巨大な磁場をつくり木星のガスを吸い取る。こうすると木星をイオの間に電荷を帯びたガスベルトが出来まして、これが木星の磁場を横切るとき電力が生じるわけです。
 で、今回は汎銀河人が現れる時代の兵器のお話。
●メネシスシステムとは

貧弱な相互作用、たくましい相互作用

 メネシスシステムとは汎銀河人との戦闘に備え、航空宇宙軍が密かに開発していた戦略的使い捨て兵器である。
 その目的は恒星を破壊することにより、その太陽系の総てを破壊しつくことにある。
●メネシスシステム開発の背景
 外惑星動乱終結後の航空宇宙軍の仮想敵が、地球外文明であることは一般には知られていない。しかし、実際には航空宇宙軍はそのための着実な準備を整えていた。巨大な電波望遠鏡、ラムシップ加速用のレーザー光線砲、数多くの恒星間無人探査機などなど。
 もちろん、そうと知らなければ、それらの施設の正体は解らない。  それらの施設の中に水星軌道に建設された反物質プラントがあった。
次の世代の宇宙船のエネルギーとしての反物質。それを採算にのる程度まで大量生産する技術の確立が目的だった。そのために基礎的な物理研究施設が付属していた。メネシスシステムはそこで産まれた。
●メネシスシステムの原理
 よく知られているようにこの宇宙は4つの力から成り立ったいる。
 この電気、電子、重力、磁力の4つの力を注入することで一瞬にして敵を撃破する・・・のはジャッカーコバックで本システムとは無関係。ちなみにジャッカーコバックとはジャッカー電撃隊の必殺技である。何人の人が知ってるかは知らんけど。
 さて、メネシスシステムに戻ると、このメネシスシステムは局所的に場を形成するだけの機械である。問題はこの場の性質である。メネシスシステムが形成する場は、我々の宇宙とは異なり、原子核に働く、強い力と弱い力を数百倍も強めるのである。
 つまり、この機械が形成する場は、我々の宇宙と基本的なパラメーターが異なるのである。そこで一体何が起きるのか?一言でいうと核融合反応がおきやすくなるのである。
 ここまで言うならもうお解りだろう。 メネシスシステムを恒星に作用させるとその恒星は急激に核融合が進み、重力と内圧のバランスを崩し、爆発四散するのである。
●メネシスシステムの使い方
 武器の性質上、このシステムは完全に無人化して使用される。なぜなら有人の場合、脱出は不可能だからである。しかし、相手の本拠地にこの機械を単身乗り込ませた場合、成功はおぼつかない。
 従って、メネシスシステムを効果的に使用するためには、使い捨てを前提とした、無人の宇宙船艦隊が必要である。この無人艦隊は単純にメネシスシステムを護衛するためにのみ存在するのだ。
 ずいぶんと無駄なようだが、これで恒星一つを葬る事が出来るのだ。
●その他
 メネシスシステムは完成したらしいのだが、実際に使用された記録はない。
 これは、この機械が惑星を占領するといった目的には使用できないためである。しかも、この機械は何と!恒星しか破壊できないのである。結局、この機械を本来の目的で使用するような場面は永久に現れることがなかったのだった。




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