CONTACT Japan の活動の二大柱といえば、FCS(ファースト・コンタクト・シミュレーション)とWorld
Build(異星人、異世界構築)です。
しかし、CONTACT Japan 3、4ではFCSだけを行ない、参加者はWorld Buildを行ないませんでした。(異星人、異世界の設定は CONTACT
Japan 3はポール・アンダースン氏に、 CONTACT Japan 4はロバート・J・ソウヤー氏に依頼しました。)
CONTACT Japan 5では、分科会形式の企画のひとつで「異世界構築」を行ないました。
この企画で設定した異星人(異世界)は翌日のFCSの、異星人側として使用します。そのため、設定する異星人は地球人文明とコンタクト可能な文明を持つ必要があります。
当初は異世界構築は設定項目にしたがってすすめれば、FCSで必要となる設定項目
は網羅できるのではないかと考えていた。
しかし、いきなり「どんな生物にしましょう」ではなかなかイメージがわかないこともあり大まかな環境を先に決めることにした。
コンタクトの最後には地球人と直接接触できるほうが面白いだろうということで、地球の標準から少し外れた極限状態程度、たとえば極地が続いているような環境にしようということになった。
たとえば
「重力はどれくらい」、
「軽いほうが良いね」、「でも、あまり軽いと大気圏が維持できない」
「じゃあ、1/2程度に」
とか
「大気組成は、」
「生物は、酸素で代謝する生物に」
「あまり細かく決めても、使えないよね」
「じゃあ地球とほとんど一緒にしよう」
といった感じで適当に決めていく。
最初は自転時間は860時間だったが生物を検討するときに86時間に修正されてしまうなど、ある程度は無難な線に落ち着いていくのは生命や文明を考えなければならないためしかたがない点である。
しかし、たとえば気温が40℃、大気圧が3気圧などと、直接接触の段階で地球人にとって微妙に嫌な方向に決まっていったのは、偶然ではないはずだと思う。
ここで恒星系を決めることに。実のところ恒星系はどこでも構わない。本当はそんなことないのだろうが、太陽系の文明とコンタクトするためには選択の幅が狭い。ここで
CONTACT Japan 1で用意した太陽に近い近隣の恒星のリストの中から安易な方法(サイコロ)で選択することにした結果“τケチ”となった。
惑星の位置や公転周期も、地球に近い環境になるような値をこのデータから流用する。他の惑星の配置は、今回詳細な検討をする時間もないだろうと、太陽系と一緒にならないように適当に決める。
月のような衛星は無いことになった。これでは宇宙開発の初期段階での目標設定が難しいかもしれないが、実のところどれだけ影響があるのかはわからない。いやそれ以前に月が有るから生命が生まれた、巨大惑星が2個だから、、小惑星帯が有ったから、、、など素人にはどれが正しくてどれが正しくないのか、判定できない情報は多数あるのだが、良く分からない要素は切り捨てるしかない。
最初は自転速度が極端に遅いので、太陽の移動とともに移動しつづける生物と文明という方向で検討を進める。しかし、途中で極地を除くと移動速度が非常に大きくなりすぎるということに気付き残念ながら捨てられてしまった。
もうひとつ、重力が小さく気圧が高いと空を飛びやすくなるだろうと飛ぶ機能を持つ生命体を考えるが、文明が発達しにくいのではないかということで却下された。(このときに考慮した生物は、時間がなくて考察できなかったアネモ以外の生物のバリエーションとした)
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そこで飛行動物を捕食する生物にしようと、口は上向きでその周囲に触手のある上図のような生物を考える。
いったん図として描かれると、少なくとも外見に関してはイメージが固まるのが早い。
「目の位置が上に偏っているため足許が見えないのではないか」との意見も触手が足許を含む広い範囲に届くことで補っているという解釈でクリアされ、触手のはえかた、数や長さ、足の数、形など外見的特徴がおおまかに決まる。大きさや寿命、繁殖のしかた、性の数、言語など生物的な特徴については、試行錯誤と脇道にそれながらも決っていく。
種族の名前は見た目がイソギンチャクに似ていることで、イソギンチャクの英語名(sea anemone)から“アネモ”と決った。(アネモは音声言語を持たないので、彼らの自称が“アネモ”と地球人の言葉に変換されたのかは不明ということに)
最後に文明と歴史について。
この惑星には大陸は存在せず、数多い島に独立した国家が多数生まれる。当然近くの島の間には交流があり交易から戦闘まで海を越えていかなければならない。
島を渡るのに最初は海上交通を利用していたが、気球が発明されてからは一気に距離と速度が増大し移動範囲が惑星規模に広がった“大気球時代”を迎えた。
島々に政府が乱立していれば合従連衡を繰り返し勢力争いは激化するだろうが、社会を構成する勢力が多いことと長距離の移動が容易なことから、いったん失脚しても逃亡さえすれば敗者復活というか捲土重来が可能だろう。とすれば個人主義で陰謀が好まれ、いったん勝利してもいつ巻き返されるかもしれないかなり陰険な社会を築いているということになった。
ところで、体が対称形で前も後ろもないことから「裏も表も無い性格」という(おそらく)冗談の意見から、嘘をつかないと決まってしまった。陰謀好きで嘘をつかない、無理があるかもしれないが面白かろう。
企画の後半になってから、企画中の部屋の片隅でFCSの異星人側担当スタッフによってコンタクトの最初にアネモから太陽系に向けて送られるメッセージが作成されていた。異世界・異星人構築の参加者も必ずしもFCSに参加するわけではないので、このメッセージの内容に関してはこの企画ではいっさいタッチしないことになっている。
本当の最後に、メッセージを送ったときのアネモの技術や宇宙開発レベルについて簡単に決定して終了。
夕食後の企画はオプションとして、これまでの企画に参加していない人も参加可能となった。比較的自由にこれまで決ったアネモに関して話し合う時間になっている。
まずはアネモの装飾について、どうみてもパイナップルのような固い皮膚をしているようだから衣服は着用しない。自分を飾るにはボディペインティングするだろう。
ゲームやスポーツは、スポーツのルールは非常に複雑だろう。島を渡っていたんだから水泳は外せないよな。そして、なぜだか気球から飛び降りるスカイダイビングに関してはかなり熱心に話
し合った。
その後、視覚に関して話し合った。とりあえず三原色(青、緑、赤と表記するが人間と同じ帯域ではない)となった。最初はセンサに感じる範囲を広げようとしていたが少々範囲が変わってもさほど
差はないだろうということで、赤外領域を見ることができる器官があることになった。どうやら赤外領域も2種類の周波数に反応しないと高低が判断できないということらしいが、詳細については棚上げ。とりあえず別の器官があるが脳内で視覚と一緒に処理されていることに決った。
しかしここで困ったことが、CONTACT Japan
5の直前に出たばかりの「イリーガル・エイリアン」のトソク族である。「赤外域が見えるなら嘘がつけない」とか「夜道で後ろから闇討ができない(アネモは後ろからいきなりは元々不可能)」なんて話が出るのだが、どうもソウヤーの真似をしたように思われるかも。それ以前に「イリーガル・エイリアン」に絡む話はネタバレするようで気になってしまう。発表ではやはり「イリーガル・エイリアン」の影響についての質問があった。
最後は、アネモの議会、TV、子育て、など分裂して濃い話をしながら、時間とともに終了。
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