CONTACT Japan 1 異星人設定資料

設定まとめ

τケチ星系とは

 τケチ星系は、地球からみると鯨座の中にあるので Cetus(略号 Cet) の名がつけられ「鯨座τ」とも呼ばれています。主星τケチと5つの惑星と最外縁のアステロイドベルトから構成されています。そのうち3つは地球型、後2つが木星型です。
 

τケチ星系
第1惑星 重力 0.5G  
第2惑星 重力 3.0G 衛星 1個(つかさ)
第3惑星 重力 2.5G 衛星 2個
第4惑星 ベルト有り 小型の衛星多数
第5惑星 密度の薄いベルト有り 大型衛星 1個(トオキトコロ)
小型の衛星多数

 主星であるτケチは、太陽より大きいけれど温度は低い恒星です。τケチ星人たちの母星である「イルトコロ」がこれ以上遠かったら、私達はずっとこの宇宙で唯一の知的生命体であったことでしょう。

イルトコロ星とは

 さて、第2惑星のイルトコロの詳しい説明をしましょう。
 イルトコロは、直径は地球の2.3倍あり、惑星密度は7と鉄の密度並みに高く質量は地球の15.5倍です。自転周期は500時間(約20日)で、つまり彼らの1日は地球の20日ということになります。公転周期は0.68年(約248日)。平均気温は現在は15℃で地球とほぼ同じ気温です。気象コントロールを行う以前は10℃前後だったそうですがコントロールに失敗し、やっとここまでに戻ったのです。地球よりやや寒い感じですが生命の発生にはやはりこの程度の温度は必要だったということでしょうか。ただし、重力は強く3Gあり、彼らの体形に大きな影響を与えているようです。大気は地球と似てはいますが、地球のものよりも濃く、メタンや二酸化炭素も多くなっています。これは火山活動が活発なためで、温室効果の元になっています。しかし、水蒸気圧は相対的には低くなっています。大気の単位面積あたりの質量も地球並みですが、高度が上がるに従い急激に密度が低下し、電離層は地球よりも低いところにあります。オゾン層も地球並みの濃度であり、近いτケチからの紫外線を防いでいます。地軸の傾きは11.75°と小さく年格差はゆるやかで、季節の変化は地球ほどではありません。海陸比は5:5、大きな大陸が幾つかという形ではなく、中くらいの大きさの大陸が惑星全体に広がっており、群島が多数存在しています(Fig3)。陸地は「タッテイルトコロ」と呼ばれています。山脈は地球と同程度の高さで、大地は酸化鉄を多く含み赤い色をしています。地殻はコアが大きいためマントルが薄く、プレートは細かくなっていますが、大きさは地球のプレートくらいです。潮汐力は地球のように月からのものではなく、τケチからのもので、地球の2.2倍ですが、ほぼ地球の月の影響並みです。イルトコロの衛生「つかさ」の公転周期は36時間です。視直径は月の半分です。イルトコロでは1日に13回も月の出入があるのです。

惑星イルロコト

イルトコロの暦は

 惑星イルトコロの1日は、先程も言ったように地球の20日にあたります。月は日よりもずっと短く1.5地球日これは、公転周期が36時間であることを考えれば当然です。1年は0.68地球年、日数でいうと248日です。

1ィ日  =  20地球日  ≒  13ィ月
1ィ月  =  1.5地球日  ≒  0.075ィ日
1ィ年  =  0.68地球年  ≒  12ィ日
1ィ世紀  =  68地球年  ≒  100ィ年

 このようになります。これは覚えておくとこれからのお話がわかりやすいでしょう。

イルトコロ星の生態系

 動植物も多種多様です。これはイルトコロの地表の画像です。イルトコランと同じ様に風を利用する生物がたくさんいます。渡りをしているものもあります。基本的なものは次のとおりです。

イルトコロランとは

 さて、 そろそろ、私達地球人にその存在を知らせてくれた宇宙の同胞「τケチ星系第2惑星イルトコロ星知的生物」(これからは「イルトコラン」と呼びます。)を紹介しましょう。
 まずイルトコランの画像データをご覧ください。彼らの体高は1m(体長は2mくらい)、体重は平均50kgです。外見上ではまるで蛙のようですが、背中に2本、お腹に2本と4本の腕を持っています。主な作業は背中の腕でやっています。脚は高い気圧に反して行動をするため、脚の裏が大きく蛙脚型で、2本あります。この絵でみるとイルトコランはまるで4足歩行をしているように見えますが、彼らは2足歩行を基本としています。背中の2本は投光手(とうこうしゅ)といい、脚の上部についています。第1肘と第2肘があり、手首には発光部があるため、この名がつけられています。手指は6本、親指が両サイドにあり、その間に4本の指があります。そう私達の手の小指の外側にもう一つ親指がある感じでしょうか。こちらは器用な手で私達の手と同じ様な作業をしているようです。指の関節は親指は2つで私達と同じですが、その他の指は3つと一つ多くなっています。
 手首にある投光部は、彼らのボディランゲージにも重要な役割を果たしています。ここを光らせたり、見せて言葉にあわせて動かすことが、その言葉を強調したりするのに役立っています。
 お腹の腕は「捕手」といい、身体の前についていて太く短く、肘は1つ、手指は4本で、前方に3本後ろに1本と地球の鳥の脚の様になっています。指の関節は4本とも1つで、投光手よりも無器用で補助的な役割の腕です。
 感覚器官は、私達人類と同じ様に、目が2つ、鼻1つ、口が1つ、耳が2つあります。
 目は我々と同様に最も重要な感覚器で、身体の前方部分の左右に出っ張っているのでほぼ360度見えるようになっています。ほこり除けにしゅん膜(鳥類や爬虫類についている様なもの)がついています。τケチが太陽よりも赤いせいか我々より可視範囲が赤の方{近赤外線(1μn)〜青の手前(0.49μn)}に寄っています。私達には同じにみえる赤い色も彼らには区別がつくのです。
 鼻は目と目の間の上方に一つ穴があります。呼吸と発声を担当しています。鼻口弁(鼻のふた)があり、これの開閉に寄って彼らの機嫌がわかるそうです。発声される声は我々とほぼ同じような音域で私達の言葉をまねることも出来ます。私達が彼らの言葉を話すこともできるのです。
 耳は目の後ろに鼓膜のみで、耳殻はなく、長めの毛が被さっており、ここで気圧も感じています。可聴音域はほぼ我々と同じで、鼻から出せる音も同じです。
 口は鼻の下についており、捕食の機能しかありません。彼らは雑食性で何でもよく食べます。
 排泄器官は脚の間にあり、その下に生殖器官があります。オスの生殖器が伸びてメスの器官に入り受精します。
 このようにイルトコランは、私達人類と極めてよく似た器官をもっているのですが、これからはちょっと違うところを説明しましょう。まず彼らは飛ぶことが出来ます。彼らは普段は畳んで羽甲(はこう)の下の羽袋(はたい)の中にしまっていますが、背中の投光手の肩の間に羽を持っています。羽は中空構造で中に体内で出来るメタンガスや鼻から吸いこんだ空気を入れて膨らませ、投光手でデルタ型の羽を支え、イルトコロの朝風や夕風を受けて飛び立ちます。飛び方はデルタ翼グライダー式でバランスを取るために脚は伸ばします。
 体表には細かい毛が密集してはえていますが、羽甲は堅い皮になっています。毛の色は赤〜茶が主で、個体によって差はありますが、模様はありません。体毛のないところは投光手の手首より先・発光体・捕手の掌・脚の裏・羽・まぶた・唇・鼻口のまわり(鼻口弁には毛がある)・生殖器、排泄器のまわりなど。地肌は小麦色で、羽甲は子供は白、大人になると茶、歳をとるほど黒くなって行きます。
 イルトコランには表情筋がありません。私達のように顔で感情をあらわすことはできないのです。ではどうやって感情をあらわすかというと主に口や目、鼻口弁の動きに寄っています。補助機構として声やボディランゲッジが重要になっています。投光手を激しくあるいはゆるやかに上下させることなどで、感情の強弱をあらわすのです。
 これでイルトコランの身体の構造は大体わかりました。次は彼らの生活や一生についてお話しましょう。
 まず、性の数はオス、メスの2つ、我々と同じです。産まれ方(生殖形態)は胎生ですが、1回に2体産まれます。妊娠期間は、140地球日(7ィ日)。発情期242地球日(1ィ年)に1回生殖可能でオス、メス各1体ずつ産みます。乳児の大きさは1体1.5kg、2体で3kgです。授乳期は40〜60地球日(2〜3ィ日)で、それ以降は大人と同じ物を食べるようになります。幼児期は哺乳類でないので成体の咀嚼物を食べます。成体は大人なら誰でもよいのですが、普通は父母(どちらでも可)が与えます。彼らの唾液に免疫があり、これが地球の哺乳類の初乳の役目を果たしています。寿命は、現在は137地球年(2500ィ日)ですが、昔は82地球年 (1500ィ日)です。基本的にはそれ程変化していないので、昔のライフサイクルを見て見ましょう。分かり易いように地球日に換算してあります。

妊 娠  140日  
幼児期 誕生 〜 80日
  飛行能力なし
幼年期  80日 〜 14年9〜10ヶ月
  飛行可・生殖機能なし
青年期  14年9〜10ヶ月 〜 29年7ヶ月
  飛行可・生殖機能あり
高年期  29年7ヶ月 〜 43年10ヶ月
  飛行可・生殖機能劣化
老年期  43年10ヶ月 〜 82年2〜3ヶ月
  飛行能力劣化

 彼らの生活の基本は、「渡り」をすることでしたから、飛べるかどうかは重大な問題でした。妊娠期間又は乳児期の個体がいる時は群れ全体が渡りをせず、それ以外の時は定期的に渡りを行っていました。渡りは部族単位で行われており、1部族の個体数は約30で、「風のたまり場」と言われる無風地帯で身体を休めていました。そこはイルトコランのすべての部族に開放された場所であるため、他の部族と一緒になることも多かったので、結婚はこういうときに青年期の未婚の個体が出会うことによって成立し、部族内の近親相姦を防いでいたのです。結婚するとイルトコランは人類の男女と同じ様に一緒に生活することになるのでどちらの群れに行くかは群れの個体数のバランスをとる方向にむかうことになります。
 部族の長は、高年期の個体で風の読めるものがなり、群れを率います。
 老年期にはいり、飛べなくなった個体は群れから離れて、風のたまり場に定住するようになります。老年期のものたちはそこで、畑をつくり、家畜などを飼い渡って来るものたちに寝食の提供をしていたのです。
 子供を産む回数は、渡りを行っていた頃は一生で5回くらい、現在は1〜2回となっています。定住するようになり、幼児期の死亡率が低くなったためでしょうか。文明の発展に伴って出産回数は減って来たようです。
 彼らの睡眠時間は、朝夕の嵐の間に1.5地球日(1ィ月)ずつ眠ります。(1ィ日に2ィ月睡眠=20日で3日寝る)風をよけて群れで眠り、昼夜間も交互にボーっと寝ている時期が不定期にあります。(1回2〜3地球時間:休憩にあたる)現在は群れでなくなり、建物の中でねむるようになっただけで、眠り方は変りません。

古代から近代の様子

 このような生態をみせるイルトコランの進化過程は次のとおりです。

単細胞生物    Y年
  10億年
多細胞生物    Y+10億年
   
魚類    〜 4億年
  脊椎と3対のひれを得る
深海魚    〜 3億5千万年
  発光器官を得る
肺魚    〜3億年
    手足となる部分及び肺が発達。
  酸素を充分に得るために呼吸器系と食道系が分かれる
両生類    〜2億5千万年
  肺と浮き袋がなんとなく分かれる
完全地表体    
    地上に出たら飛ばされたので、制御する方法を学んだ

 こうして、完全に地上での生活を獲得したイルトコランは、渡りをしてイルトコロ全域に広がって行きます。古代のイルトコランたちは渡りのために、風を神聖化し自然を敬うようになり、これが彼らの宗教として発達していきました。また彼らは風を読むことの出来る特殊能力のあるものをリーダーとし、渡りを行うようになりました。老年期に入ったイルトコランたちは、後進たちが無事に渡りを出来るように祈るため、神殿を風のたまり場に建設するようになります。神殿の周りに定着者用の住居や教育機関が出来、彼らの文化を発展させることになります。飛べなくなってからの彼らの長い年月もそれを補助したのでしょう。

近代から現代

 彼らは地上を自由に行き来するので、土地の所有という概念がなく、部族間の争いもありません。強風に対抗するのに必死の彼らにはそんな余力はなかったのです。
 彼らは、風のたまり場で部族間の相互交流をしているので、言語は1つにまとまっていきました。部族内で流行の言葉などはあったようですが、意志の疎通に困るような言葉は自然と使われなくなっていったようです。
 こうして、発展して来た彼らは、近代と言われる頃から交通機関の発達(Fig5-4)によって定住し始め、宗教的意識から試練としての渡りが行われ、これをクリアした人が高度な役職につけるようになりました。定住を始めたことによりイルトコランたちの人口は増え始めます。病気による死亡が殆ど無くなるという医学の進歩も人口の増加に拍車を加え、彼らは住空間の拡大を目差し、気象コントロールや宇宙開発が人口対策の急務として発展していきます。しかし、彼らは気象コントロールに失敗します(エクソダス時代の到来)。これに工業化による温室効果もあいまって、イルトコロは気温の上昇(10℃→15℃)を招き、極の氷が溶けて地滑りや津波をおこし海面が上昇、大地は隆起して火山活動が活発化し環境が悪化してしまいます。
 これによりイルトコランたちは宇宙開発を促進させ、宇宙に脱出します。こうして宇宙でイルトコロが安定するのを待ちつづけたのです。
 この段階で、人口は地表に10億、宇宙に1億でした。
 現代のイルトコロは、昔の気象を取り戻し、現在の人口は30億になりました。これは地上だけでなく星系全域でのものです。彼らは一つの政府によって統治され、彼らの高い倫理感のもとにまとまっています。
 彼らの技術レベルの高さもすばらしいものがあります。我々のマイクロ波に対する反応の早さを考えてみればお判りでしょう。
宇宙ステーション 彼らは企業レベルで、核融合を利用し、星系外にも有人探査船を送り出しています。生活圏は星系内全域に広がっており、主惑星に各6個の人工ステーション(コロニー大)、第3惑星にコロニー、第5惑星の衛星「きば」に基地があり、アステロイドベルトに3つの観測用電波望遠鏡(送受信可)があります。第5惑星のラグランジュポイントにはステーションがあり、ここで我々の調査隊が歓待されたのです。このステーションの全長は約2キロ、外観は鉄アレイのような形ですが、片方の球形のところはプラントで、もう一方が居住区になっています。居住区は3階層になっており、一層が神殿と会議ホール、二層が4層の居住区画、三層がマシンルームとなっています。
 3Gあるイルトコロと宇宙との行き来も、超電導マスドライバー(加速機)とロケットを併用して、頻繁な行き来を可能にしています。
 その他、第1次産業はすべてオートメーション化され、食料は安定供給されていたり、動植物のクローニング技術が発達していたり、とイルトコランの知性の高さは計り知れません。

コンタクト

  調査隊とファーストコンタクトをしたのは、8名のコンタクトチームでした。
 その編成は

神官(中央、現場)   各1名
宇宙開発官僚 1名
技術者 1名
学者(心理、生物、社会) 各1名
広報官 1名

となっていたそうです。彼らはすぐに私達のイエス・ノーを理解し、コンタクトは友好裡に進行し、調査隊は私達にこれらのデータを送ってくれたのです。

 現在のところ、τケチ星系調査隊から送られたデータは以上です。まだまだ新しい情報、もっと詳しい情報がこれから調査隊が眠りに着くまで我々に送られて来ることでしょう。私達は、もっと詳しくイルトコロやイルトコランのことを知ることが出来ると思います。イルトコランは素晴らしい宇宙の隣人です。これから彼らと長く付き合えることは我々人類にとって幸運なことだといえるでしょう。いつの日か彼らと私達地球人がここ地球で会うことも夢ではないのです。


CONTACT Japan Top Page

設定資料