劣化ウランちゃん

第三勢力:ほらふきクラブ

 今回の「劣化ウランちゃん」というタイトルは、もちろん“劣化ウラン弾”という名前を元にしたネタだ。
 例会の場で、このネタというかタイトルを聞いたときに、「アトムの妹が、もし“劣化ウランちゃん”だったら、きっと劣化してないウランちゃんに比べて(核分裂物質が減っている分だけ)おとなしいに違いない。」、「それを手塚治虫に比べて劣った(というより本家とは違った)絵で描いたら、そしてそれをネタとして何か書いたら面白いかもと思った」。
 そして、「こうしゅうえいせい代打」用のネタ一覧のひとつとしてメーリングリストにも書いた。
 しかし実際に、こうしゅうえいせいか甲州画報向けに原稿を書こうとしてもタイトル以上に面白くするネタを何も思いつかない。そして、このタイトルだけなら誰でも思いつくネタにすぎない。
 しょうがない、「これはタイトルだけのネタだ」と考えていたら、タイトルをネタにしたそれゆけ、劣化ウランちゃんマンガが届いた。
 そこで再度挑戦するために、まずは“劣化ウラン弾”とその関係項目について調べてみる。

劣化ウラン弾
 劣化ウランを砲弾の貫通体として使用した砲弾のこと。
劣化ウランを使用する理由
 運動エネルギー兵器としての砲弾は貫通力を高めるために硬くて重い必要がある。 従来から使用されている炭化タングステンは高い上に加工も難しいのに比べ、劣化ウランは比重が大きいく安い(核燃料を取ったあとの廃材)上に、着弾時の摩擦でウランが発火し貫通能力が高まり殺傷効果も期待することができる。
 砲弾の他に戦車の装甲、放射能防御物、平衡錘などにも使用されている。
劣化ウラン
 天然ウランは複数の同位体で構成されている。主にU-238(99.2745%)とU-235(0.7200%)、U-234(0.0055%)が含まれている。このうちU-238は核分裂を起さないため、核燃料になるのは核分裂を起しやすいU-235だけである。天然ウランからU-235を3〜5%に濃縮して核燃料として取り出した残りの廃棄物が劣化ウラン。当然U-235の含有量が低い(通常0.2%程度)が、それでも天然ウランに比べて60%程度の放射性がある。
 英語では“depleted uranium”。手近の辞典で調べてみると“depelte”には「からにする」とか「枯渇させる」などの意味があり「鉱山などを掘りつくして廃鉱にする」などの場合に使用するらしい。
 おそらく“核燃料の原料にならない”ので天然ウランに比べて“劣化している”という意味なのだろうが、英語の方は意味がストレートなのに対して、日本語はあまり良い呼び名(というか訳?)ではないような気がする。かといって、じゃあ良い言葉はと言われても案はありませんけどね。
放射能
 放射能とは放射線を出す性質(能力)のこと。また放射性とは物質が放射能を持っていることで、放射能を持つ物質を放射性物質と呼ぶ。放射線とは核分裂などによって放出されるα線・β線・γ線など。X線やγ線は電磁波でα線(ヘリウムの原子核)・β線(電子)・中性子線・重粒子線などは粒子線と呼ぶ。
放射線による影響
 放射線が人体を通過するときそのエネルギーの一部が吸収され、細胞が破壊される。また細胞内の染色体が破壊されることで障害(脱毛や白血球の減少など)があらわれたり、癌や白血病などの発生確率が高まる。また、遺伝的な影響は懸念されているもののはっきりとした確証はない。
 少量の放射線は身体に良い影響があるという説もあるが、これも確証はない。

 こういった調査ではInternetは非常に便利だ。得られた結果をすべて信用することはできないが、ここまでの内容に関してはどのサイトを調べてもほぼ同じ内容なので間違いのない事実だろう。

 次に劣化ウラン弾の使用についてだが、兵器なんだからどれだけ威力があって効率的に人を殺せたにしても本来の目的をはたしたにすぎず、戦闘中に殺される側にとってみれば使用されたのが劣化ウラン弾だろうがそれいがいの弾丸だろうが死んでしまうことに違いはないだろう。もっともダムダム弾が条約で禁止されているってことは殺し方にも一定の制限を設けることがあるんだろうけど。
 しかし爆弾は問題ないってことは殺傷力の強さだけが問題ってわけでもないわけだからどれだけ意味があるのかはよくわからない。それに禁止されている兵器を使用せずに戦争に負けるのと、条約違反をしてでも勝つのとでは勝った方が有利なようなきがする。
 とにかく戦闘で一方が威力の強い兵器を使って有利な状況になる、そして一方的に死傷者が増える状況は戦争をしているならしかたがないと思う。
 これを防ぐには戦争状態にならないようになんとか頑張るしかないわけで、努力およばず戦争になってしまえば…。
 となると、問題になっているのは使用された劣化ウラン弾が環境に影響を与え戦闘地帯付近に暮す非戦闘員に悪影響を与える可能性についてということになる。
 しかしこの点に関しては Internet での調査はまるであてにならない。
 「劣化ウランによる被害が甚大である」と書かれたサイトもあれば「劣化ウランによる健康への影響はない」と書かれたサイトもあって、どちらも根拠薄弱で思いこみだけで書かれたものもあるし、実態やそれらしい数値などをあげている場合もある。そして、もっともらしいものもあれば簡単に間違いが指摘できるようなものもある。そして根拠に関して調べようとしても、たいてい同じような内容の場所を循環して参照してしまう。
 とは言え、劣化ウランには放射性もあるし、重金属としての毒性があることも間違いはない。当然体内に取り込まれれば悪影響があるだろうと思う。しかし微量の放射性物質や毒性を持った物質は元から自然環境中に多くあるし、戦争なんてしていれば劣化ウランにかぎらず他の毒性のあるものもばら撒かれるだろうし、生活状況も悪化する。
 劣化ウランに限らず、発生する問題が長期的だったり確率的だったりする上に複数の要因が関係すると予測される場合、原因や影響力(影響した割合など)が、はっきりと確定した例はないように思うのだが、どうだろう。
 たとえ多少の危険(の可能性)があったとしても生活に必要なでメリットのあるものの場合その危険性を認識しつつ使用するという選択肢は存在する。というかこのなんにしても常にメリットとデメリットの間を歩いているようなものだ。
 しかし劣化ウラン弾は生活に必要なわけでなし、自分が使用することはないだろうから使用を取り止めるという判断をしても良いんじゃないかとは思う。でも、もし自分が戦闘の当事者で有効な兵器だったら躊躇なく使用するだろうとも思う。

 結論はなにもないけど、紛争がなくならないかぎり解決はしないんでしょうね。つうわけで、ネタとしては不適当かも。




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