こうしゅうでんわ

谷甲州

 はじめに。
 先日は二〇周年記念パーティの開催ありがとうございました。スタッフの方々や出席された方ばかりではなく、都合が悪くてこられなかった方にも感謝の気持ちをつたえたいと思います。皆様の期待にそえるよう、これからも頑張っていきます。この勢いで、百周年まで突っ走るのだ!

 という景気のいい(迷惑な、か)話はおいといて。エアコンがぶっこわれた話のつづき。買ってから一〇年ちかくたっているし前から調子も悪かったから、ぼちぼち買い換え時期かなと思いつつ窓型なんで取り外して電気屋に持ちこんだのだが……。電気屋の人は自信ありげに「預からせてください。ただし一〇日くらいかかるかもしれません」という返事。いちばん暑い時期に一〇日もエアコン抜きではしんどいよなあ、と思ったが修理できるというのに新品を買うのも馬鹿な話ではある。とりあえず預けることにしました。ところがそのころから暑さがひどくなって、とても仕事どころではなくなってきた。毎日「あと何日で修理が終わる」とため息をつきながら仕事をしてたのだが、約束の日をすぎても連絡がない。しびれをきらして電話したら「メーカーに送りました。盆休みに入りましたので、連絡がとれません」らしい。
 このあたりで、嫌な予感がしてきた。で、仕事が停滞しているものだから盆も休まず仕事場にこもってたのだが、暑すぎて仕事はさっぱりすすまず。しかもメーカーの盆休みが長くて、いつまでたっても修理が終わらない。催促したら「交換部品がメーカーにもないそうです。修理できません」だと。結局、半月あまり時間を無駄にしてしまった。ちなみにメーカーまでの輸送費用は、しっかりととられました。電気屋は「いまなら新製品がお買い得ですよ」などといっていたが、だれが買うか。買うときは別の店で買うわい。ぼちぼち秋風も吹いてきたことでもあるし、新品を買うのは来年まわしにするしかない。新品の据えつけ工事をやろうとしたら、まず仕事場の掃除をしないといかんので。床に散乱した本を片づけるだけで、一カ月以上かかるはず。どこに何があるのか本人でさえわからんという迷宮状態になっております。別に珍しくもないか。

 で、あれからさらに半月すぎたが、いっこうに涼しくならんな。結局、八月はぜんぜん仕事が進みませんでした(ながい言い訳だ)。三年がかりの仕事(昭和初期のヒマラヤ遠征の話)はまたもや中断で、いまは『覇者の戦塵』にとりかかっております。今回のお題は開戦一年めの第二次ミッドウェイ海戦なのだが、さてどうなることか。なんか今年は本がずいぶん出たような気がするが、書き下ろしは一冊も出てなかったりする。辻褄をあわせるために、なんとか頑張ろう。といっても、来週からネパールとチベットに取材にいくのだ。こらもう本気で落ちるかもしれん。知らんぞ、もう。


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