こうしゅうでんわ

谷甲州

 なんとか『エリコ』の加筆修正が終わって、次の仕事であたふたとしておるところです。今回もなんやかんやで、ずいぶん書き足したなあ。筋書き自体は、あまり変わってないのだが。能書きがやたらにふえたのだが、濡れ場の数はふえておりません。申し訳ないことです(何がだ)。ただし、本になる時期はまだ確定はしてないです。暖かくなるころには、なんとかなると思うのだが。

 ところで修正しながら考えたこと。近未来の日本を舞台にするのって、結構ややこしいのだな。連載の最中にでてきた話題としてはクローン羊や遺伝子治療なんかがあるが、それよりも厄介だったのが行政改革か省庁再編の話だったりする。このままいくと、厚生省という魅力的な名前が(笑)消え失せてしまいそうなのだ。もっとも消えるのは名前だけで、本質がそれほど変化するとは思えないが。でもなあ。悪役にするんなら「厚生官僚」の方が憎々しくていいよなあ(親戚に当事者がいたらゴメン)。知らん顔して厚生省の名前をつかっても、本になるころには別の組織になってるかもしれないし(なってない可能性が残ってるので厄介なのだ)、かといって再編後になるはずの名前をつかっても、その通りになるとはかぎらない。結局は連載時のまま曖昧な表現にしたんだが、なんか厚生省に遠慮してるみたいで面白くないな。外務省や法務省の名前は残りそうだというが、これにしても確定ではない。なんかのはずみに日本共産党が与党になって、最初から行革やりなおしという可能性も皆無とはいえんもの。

 ところで前から不思議に思っていること。画報表紙の「甲紀○○年」という表記なんだが、なんで今年が甲紀二〇年になるのだろう。これだとデビューの年は甲紀ゼロ年にならんか? それともデビューの年は甲紀元年で、その翌年が甲紀一年ということなのかな。インドの建物は一階がグランドフロアで、その上にファーストフロアがくるのだが(実はイギリス式)似たようなものと考えるべきなのだろうか。なんか最近は二〇〇〇年をもって二一世紀のはじまりとするような雰囲気が濃厚になってきたが、それとはちがう問題のような気がする。


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