こうしゅうでんわ

谷甲州

 年のはじめの恒例ということで、まずは「あけましておめでとうございます」。今年の北陸は雪も少なくて、例年にない穏やかな正月だなあ、と思っていたら年明け早々に訃報が入ってきた。星さんが去年の暮れに他界されていたらしい。うーん、具合が悪いらしいことは前からきいていたのだが、さすがにこの事実は重い。七一歳というから、もう少し長生きされてもよかったのになあ。悠々自適の楽隠居ができるほど、充分な仕事をされてきたんだから。

 ということで、さすがに今月は少しばかり文章が重くなっております。とはいえ、気を取り直して仕事の報告なんぞをしておくか。大遅れに遅れていた『覇者の戦塵1942 反攻ミッドウェイ上陸戦』のうち上巻が、めでたく今月下旬にでます。下巻は来月ということなのだが、たぶん今度は間にあうんじゃないかな。『エル・ファラド』のときから上下巻はいつも二カ月連続で出せたから。例によって、まだ何も書いとらんけど。実は今月分のエリコも、まだ手をつけていない。これをあげないことには覇者のつづきに取りかかれないのだが、土壇場になれば何とかなるでしょう。知らんけど。

 なんやかんやで、この一カ月のあいだに雑仕事を(雑にやっつけた仕事、という意味ではないぞ)いろいろとやっております。先月には書かなかったが、北海道新聞にジョン・クラカワーの『空へ』(文藝春秋社刊)の書評を書いておきました。去年の12月14日に掲載されてしまったから、他の地方の人が読むのは困難かもしれません。ただし他の記事といっしょに道新記事データベースに収録されるそうなんで、「道新オーロラネット」や「日経テレコン」経由で閲覧できるらしい。興味のある人は検索してみてください。書評したからいうのではないが、『空へ』は最近では出色の山岳ノンフィクションだぞ。
 ええと、あとは例によって北國新聞の夕刊コラム「舞台」に、みじかい記事を書きました。12月9日づけだけど、まだ実物は確認しておりません。他は……先月号のSFマガジンに、500号記念メッセージを書いたのだった。ただし肝心の『エリコ』が落ちるかどうかの瀬戸際だったので、なんだかわけのわからんメッセージになってしまった。そういえばSFマガジンには今月号にもメッセージというかコメントを書いたなあ。これは実物をみてもらった方がいいか。今月下旬発売のSFマガジンに、ちらっと掲載されてますのでお見のがしのないよう。

 最近ではSFマガジン以外の雑誌から「SFを書け」という依頼がくることもなくなってしまったが、珍しく昨年末にはSF短編の仕事がきた。祥伝社の「小説ノン」という雑誌で、「10年後の未来」を描いてくれとのこと。『エリコ』と『覇者――』であっぷあっぷの状態だったが、SFだというのでダボハゼみたいに飛びついてしまった。本当のことをいうと、10年後の未来なんていちばん書きにくいだけどね。100年後とか1000年後だったら、いくらでも嘘八百を書けるのだが。いずれにしても、50枚の短編で今月下旬発売の雑誌に掲載されるはず。よろしく。




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