うーん、もう八月か。いつの間にか夏の盛りになったのに、夏らしいことは何もやっていない甲州であった。あいかわらず仕事場にこもりきりで、暑い暑いといいつつのろくさと仕事をこなしております。
ところで仕事場は西陽がまともにあたるので午後はカーテンを閉め切っているのだが、つい先日その窓の外を人かげが通過してたまげてしまった。説明せんとわからんのだが、仕事場に借りてるマンションは二階なのだな。その窓にかけたカーテンに、人間のシルエットがすすっと通りすぎたのはなかなかにシュールな光景ではあった。といっても別にオカルトでもなんでもなくて、要するに建物の外壁工事をやってた人がクレーンに乗ったまま窓の外を通過した、というだけなのであった。それはいいのだが、二階の窓のすぐ外に人の顔があるのはどうも落ちつかん。暑くて脱いでしまったズボンを、あわててはくことになった。何をやっておるのやら。
ところで八月末のLA−CONにあわせてヨセミテにいこうかな、と思い立ったのは数年前のこと。そのときは優雅に家族でアメリカ旅行と考えていたのだが、日にちが差し迫ってくるとしんどいのなんの。出発まであと三週間に迫ったいまは、仕事に追われて死ぬ思いをしております。ずいぶん前からかかっていた『神々の座をこえて』が、のこりたったの四〇〇枚ほどなので、何がなんでも出発前に片づけないといけない。それはいいのだが、四〇〇枚といったら新書のノベルズが丸々一冊分だよな。その前の六〇〇枚が二年ほどもかかったというのに、本当にできるのかね。
ということで、もしも完成したら一〇月には書店にならぶでしょう。でも『神々の−−』が後ろにずれ込んでしまったので、おなじ時期に出るはずだった『終わりなき索敵』の文庫本も一一月になってしまった。よく考えたら、あれからもう三年もたってしまったのだな(単行本をお求めでない方は、この機会にぜひどうぞ、とこれは宣伝)。その間、あんまりSFらしいSFを書いていない。ということで、今年末のSFマガジンには、長編の連載がはじまるでしょう。たぶんこれは決定。月号でいうと、来年の二月号からになるのかな。久々の本格SFなので、いまから力いれまくりの甲州であります。まだ何も考えとらんけど。
そうだ。先月のこうしゅうでんわで書いた「あっちの」(または天下の)協力隊の機関誌「クロスロード」だが、「人外協」および「青年人外協力隊」の両方ともしっかりと印刷されていた。いよっ、太っ腹! さすがに本家は懐が深い。ということで、今月は終わり。