先月にかいた犯罪小説(らしきもの)は、五月末になんとか仕上げました。タイトルがすごいぞ。『平成悪党伝』(笑)。どうだ、すげーだろ。念のためにかいておきますと、別に編集者のセンスでつけたタイトルではありません。その逆で、編集者が難色をしめしたのを無理に「これでええんじゃ!」と押しこんだタイトルです。もうそろそろ見本ができるころだけど、なんだ、脱稿から二週間すぎてないぞ。妙なところでポカをしてなければいいが。いずれにしても、画報がでるころには本屋にならんでることでしょう。
報告をもうひとつ。小説すばるにホラーの短編をひとつかきました。今月発売の誌上にはのっているでしょう。実は『平成−−』の追い込みと締め切りがかさなって、死ぬかと思ったのだった。そのせいというわけではないが、ホラーという割にはあんまり怖くありません。教訓。ホラーは途中経過で怖がらせないといけないのだ。結果を怖くしてもホラーにはならない。教訓といえば「慣れないことをやるもんじゃない「というのもあるが、最近はホラーの仕事が割と多いのだよな。昔の中間小説誌に、SFがよくのったみたいなものだろうか。その気になればSF短編みたいな書き方もできるので、わりとまめにこの種の仕事は引きうけております。
あ、もうひとつ報告があった。前にかいた推理作家協会賞の件ですが、ものの見事に落っこちました(わはは)。とはいえ、もっともっとすごい傑作がこのあとに控えてますので(まだかいてないが)、次回作に乞うご期待というところです。でも、SFとちがって普通小説は賞の数が多くていいなあ。ひとつに落ちても、おなじ小説が別の賞を受賞することもめずらしくないらしい。なんか抽選が何度もある宝くじみたいなものだな。SFは他の賞の候補作になることがまずないから、楽しみも少ないのであった。
あれ、まだ報告することがあったぞ。版元から連絡があったのだが『天を越える旅人』を図書館協会が一括購入するという話があるらしい。書店で買えなかった方は、図書館でみつけられるかもしれません。それにしても、版元にはまだ在庫があるのかよ。初版が少ないのに、えらく時間をかけた売り方をしておるなあ。絶版にならんのだから、まあいいか。