こうしゅうでんわ

谷甲州

 最近また短い原稿をいくつか書いたので、最初にその報告から。両方とも今月なかばには発売されるはずだが、ひとつが小説すばるの「デビューへ、カウントダウン」。アマチュアだった時期の話を、いろんな人がリレー式に書いております。もうひとつはトーハンが出している「新刊ニュース」のエッセイで、こっちは最近かいた山岳小説のことなど。この雑誌は版形が小さいので、もしかするとみつけにくいかもしれない。本好きなら知っている人は知っている、というような雑誌なんだが。どちらも短い文章なので、まーその買えとはいいませんが……つまりその興味のある方は(以下は自粛)。そうだ、短い文章といえば『覇者の戦塵−1937』の後書きも書いたのだった。前に書くのを忘れてたが、画報がでるころには書店にならんでるでしょう。

 あと前にかいた『神々の座を越えて』は中断したままであります。どういうわけか、犯罪小説(とは違うような気もするが)の書き下ろしがひとつ入りこんでしまったのだよ。あんまり大きな声ではいえんのだが。要領よくやれば今月の下旬には終わってるはずなんで、それほど『神々の−』のスケジュールには影響しないと思うのだが。例によって結果がどうなるか、神のみぞ知るのであります。とはいえ犯罪小説(ハードボイルド、とも違うよなあ)の方も、これ以上はのばせないという締め切りまで一週間なのにあと250枚ほどのこっている(なんか前にも似たようなことを書いてたな)のに、まだタイトルも決めてないのだった。でもまあ、なんとかなるでしょう。SFや冒険小説それに歴史小説なんかとちがって、現在の日本を舞台にした小説というのは舞台設定が簡単だから。ごく普通の喫茶店やオフィス街なんてのを、なんの説明もなしに出せるというのは楽でいいわ。SFや歴史ものになると、そんなものは存在しないのだった。その時代の状況を検討した上で、舞台を構築する必要があるのです。結構そんな作業を楽しんでる部分もあるんですが。




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