そういえば『覇者の戦塵』の新刊は、三月にでると前にかいたような気がする。
訂正します。鋭意努力していますが、いったいいつになるのやら、という状態です(申し訳ない。予告なんかやるもんじゃないなあ)。例によって考証関係で引っかかって、なかなか前にすすみません。とはいうもんの、なんとか先行きがみてきたので来月には刊行予定をお知らせできるでしょう、と思うんだが、なんか心もとないなあ。この手のシリーズは刊行ペースが命みたいなところがあるんで、こんなのんびりやってたら商売にならんのはわかっているのだが、うーむ。本当にシミュレーション系の他の作家のみなさんは、月刊とか隔月刊とかのペースをちゃんと守っておられるようなので、頭のさがる思いがします(あんまり説得力がないな、俺がこんなことをいっても)。とはいえ、せっかくだから約束してしまおう。今年からは最低でも年に二冊のペースは守るぞ! あれ、軌道傭兵(ではなくて、ネクスト・ジェネレーションの方)の編集さんにも、似たような約束をしたような気がする。まあ、なるようにしかならんか。
ところで書き下ろしの方はさっぱりすすまんのに、雑誌の仕事はぼちぼちとやってるので報告しておきます。といっても小説ではなくて、対談がひとつにみじかいエッセイがひとつです。対談は(たぶん)今月発売の「青春と読書」に掲載されるでしょう。夢枕獏氏と山の話をあれこれとしてきました。『白き嶺の男』発刊にあわせて、ということなんだが、対談の間ずっと酔っぱらってたような気がする。いいのかなあ、とも思うが、これでいいのだ、と開き直った方が楽だからそうしよう。こんなのは、先に酔っぱらった方が勝ちだから。エッセイの方は、これも今月発売の「小説中公」で、テーマは美味しい記憶、であります。毎月いろんな人がおなじテーマでリレー風に書いているんだが、グルメ指向よりは貧しかったときの美味なる記憶の方が主流になっているようです。はたして甲州がかいたのはグルメ指向の話か、それとも貧しかったときの記憶か、乞うご期待、とあおるほどのことでもな
いか。だいたい甲州がグルメであるはずはなかったのだ。最初からネタばれだな、これは。
うむ。仕事がすすまんものだから、今月もかくことがあんまりない。せっかくだから、ほかの人の仕事のことを書いておきます。文庫版の『遥かなり神々の座』の表紙は、ハードカバー版の山岳写真ではなくイラストになりました。描いてくれたのは生頼範義氏で、FAXされたコピーはなかなかの迫力でありました。解説は冒険作家クラブの井家上隆幸氏で(おお!)、追加の地図は日本ヒマラヤ協会事務局の尾形好雄氏に(カンチェンジュンガ遠征以来のつきあいだ)お願いしました。文庫版とはいえ、なかなか凝った本になりそうなのでうれしい−−しかし自分では何もやってないのが情けない。とはいえ、来月はなんとか自分の仕事の話をします。
で、今月はこれで終わり。