すでに画報は発送ずみだと思いますが、角川書店の書き下ろしを完成させたのでとりあえず報告しておきます。いやーそれにしても、よう落ちんかったこっちゃ。
これについて話はいろいろとありますが、まずはご報告まで。
どうも遅くなりました。こうしゅうでんわです。実は昨日まで『野生時代』の原稿を書いていたので、またぞろぎりぎりの送信になってしまいました。野生時代の仕事をやるのははじめてですが、最初から遅れ放題の入稿という外道なことをやってしまいました。話はグルカ兵をあつかった非SFですが、連作にして最後には一冊の本にする予定です。おそらく秋くらいまで、二カ月に一度の割合で掲載されるでしょう。ちなみにタイトルは『サージャント・グルカ』ということになってます。
野生時代の仕事もそうですが、このごろ非SF−−それも山岳小説の仕事がずいぶんくるようになりました。去年に出した『遥かなり神々の座』のせいですが、編集者の中にも結構山屋がいるのにはおどろいています。野生時代の編集長などは、去年のチョー・オユー遠征に参加した現役のクライマーでした。
ほかの山岳小説は、たぶん6月ごろの『小説すばる』にどかっと掲載されるはずです(ここの編集さんも、山屋だった)。ここに書く話については、そのうちにまたこうしゅうでんわします。あと、どういうわけか山岳雑誌の『岳人』というところにまで、山岳小説の連載をたのまれてしまいました。実際の連載は4月なかば発売の本からですが、来月に発売の雑誌には内容の予告がのるはずです。
それはいいのですが、このごろはSFの仕事がさっぱりこなくなってしまいました。考えてみたら去年だした本のうち、SFといえるのは『ヴァレリア・ファイル5』一冊だけでした。軌道傭兵はSFじゃないと自分でいってしまったし、このままでは元SF作家と呼ばれてしまうかもしれん。これはやっぱり、まずいよなあ。
もちろんこちらも自衛策を考えていて、岳人に連載する小説は無理矢理SFにしてやろうとたくらんでいます。山岳小説とはいったが、山岳SFは駄目とはいわなかったものなあ。書いてしまえばこちらのかちだわい。
それにしても、たまには短編一作ごとに宇宙モデルを構築するというスタイルの宇宙SFを書きたいです。しかしSFアドベンチャーの編集長がかわってからは、それも難しくなってしまいました。だからいま宇宙SFを書こうとすれば、こっちから売りこみ先をさがして頼みこまないといけない状態です(しかしそれにしても、SF作家に本格SFを書かせないSF専門誌というのも、存在を自己否定しているような気がするなあ)。
忘れていた。先月に書いた話のつづきです。『覇者の戦塵−北満州油田占領』はなんとか間に合わせました。編集さんやら校正の人にめいっぱい迷惑をかけたおして、イラストレーターとデザイナーと印刷所に地獄をみせてしまいましたが、なんとかかんとか予定どおり本がでそうです。今度という今度は落ちるだろうと思っていたのですが、やはりぎりぎりになるとなんとかなるようです。
とはいえ、実質的にいつもの本より枚数が少ないかもしれません。実は原稿を書いているときから、編集さんに「改行をふやせ。いまのままでは紙面が真っ黒にな
ってしまう」といわれていたのですが、前半が終わった時点でがさがさ改行をいれたら枚数が一割ほどもふえてしまったのです。だから書くべき枚数が減って、それで結果的に間に合ったというわけです。
ところがどの程度改行してどんな文章になったのか、自分ではよくわかっておらんのです。最初のうちは自分で文章をなおすつもりだったのですが、本当に最後は時間切れ寸前になって、編集さんから「こっちで改行するからまかせろ」といわれてしまったので。だから出来あがってみんことには、どんな文章になっておるのか著者にもわからんのであります。一次プリントアウトで著者校正はやったものの、ゲラにはまったく眼をとおしていないという外道のかぎりをつくした本づくりをやってしまいました。もしかすると、前半は改行だらけ、後半は改行が少なくて紙面真っ黒、ということになっているかもしれません。
ということで、今月はおわり。それにしても、「本物のいろもの物理学者たち」には笑ったなあ。