こうしゅうでんわ

谷甲州

 今日は13日で、またぞろ遅れ放題のこうしゅうでんわです。なんか毎月おんなじことをやってますが、今月も雑誌の原稿が大遅れに遅れて昨日の夜になんとかおえたところです。SFMはアドベンチャーとちがって締切がはやい上に、今月は祝日が多いのでまたぞろぎりぎりの入稿になりました。プリンタは先月からこわれたままなので、またまたメール入稿をやってしまいました。今回はスマートにISH冷凍して送ろうとしたら、長すぎて遅れんかった。結局、三分割してテキストのままメールで送ってしまった。ある程度の長さのある小説を、そのままおくれるようなネットかソフトでもあればいいのだが。

 そういえば、今月末発売のマガジンに『遥かなり神々の座』のインタビュー記事をのせてくれることになったのですが(えすえふでもない小説を記事にしていいものだろうか。私はかまわんけど)、締切をめいっぱい破ったものだから、会って話す時間がなくなってしまった。結局、今朝はやくRTでインタビューをやって、そのログを入稿するという外道なことになりました。便利な道具ができてくると、だんだん人間がルーズになるという見本であります。

 それで今月は何を書いたかというと、以前に書いた『最後の戦闘航海』の続編ということになります。このことについて編集長と話していたときの会話。私「掃海艇というのは結構コストが高くいそうですよ。自衛隊の掃海艇なんか、いまどきめずらしい全木造船だから」。編集長「やっぱり航空宇宙軍史にでてくる掃海艇も、木造船なのかしらね」。私「木造だとノズルまわりが焼け焦げてこまるんじゃないですかねー」。編集長「やっぱりブライヤかなんかつかうんじゃないの? じっくりつかいこんだら、焦げ目に木目が浮き上がってすごく粋かもしんない」。私「でも木星系でブライヤがとれるのかなあ」。我々の会話というのはこんなものです。
 原稿を書いているうちに、先月の甲州画報で林さんが書いていた記事(外惑星の都市伝説)が気になりだした。文中に

 >都市でのテロ活動もなかったため……

という部分があったけど、これが困った。今月号にかいた短編のなかに、SPAによるテロがでてくるのだ。しかしよく考えたら、こっちの方が元祖なのだから別に悩むこともないか。堂々とテロのことなど書いてみました。うむ。これは結構面白いではないか。今度はアクエリアスを廃艦にして、第三世代の航空宇宙軍主力艦艇でもつくってみるか。重力場制御や超光速通信技術をいやというほどつかって。
 話のついでです。こうしゅうえいせい煮にあった海兵隊哀歌の、陸〜の男の艦隊勤務月、月、火、水、木、金、金 というのは 月、火、木、木、土、日、天 ではないでしょうか。海兵隊の勤務地からすると。それだけ。

 ということで、ハーグのワールドコンにいってきました。びっくりしたことはいろいろとあるが、人外協のTシャツ(ホーマン軌道まっしぐら)を着て歩いているドイツ人ファンには肝をつぶした。実は二年ほど前のワールドコンで、大迫さんにもらったらしいんだが、本国ドイツのコンベンションでもあのTシャツを着て歩いとるのだろうなあ、あの兄ちゃんは。ペリーローダンおたくがドイツ語でなんやかんやと話してる横であのTシャツというのは、本当に宇宙の冗談じゃ。つるかめつるかめ。

 ところでハーグについた日に、岩瀬氏作成・大迫氏英訳の Koushu Tani and his World のリーフレットを受け取りました。これは英文で谷甲州の紹介文を書いたもので、そのまま名詞がわりにばらまけるようになっています。ありがとうございました。しかしあれを自分でくばって歩くのは、だいぶと気がひけた。本文中に「谷甲州は、この惑星最強のSF作家である」などと書いてあったから(翻訳の文責は私です)。それでもパーティかなんかで酔っぱらっていると、なんの臆面もなくばらまけるから不思議なものです。渡した人のうち記憶に残っているプロは、ウオルター・ジョン・ウイリアムス ハル・クレメント デビット・ブリン あとは……よくおぼえてない。ファンダム関係ではドイツ・チェコスロバキア・スエーデン・イギリス・アメリカ……あと、オーストラリアやユーゴスラビはどうやったかなあ。名前もきかずに渡した相手もいるから、彼らは「谷甲州は少なくとも日本最強のSF作家である」と信じているでしょう。ほかにこんなことやった日本人はおらんから。

 ということろです。おしまい。




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