こうしゅうでんわ

谷甲州

こうしゅういいわけ

 10日前ということで、こうしゅうでんわの日限なのですが。
 もう死にそう。SFマガジンの短篇と、中央公論の書下しと、『雪嶺を越えて』の締切三段じめで死体とゾンビのあいだをいったりきたりしてます。マガジンはたった今、なんとか落したじゃない、沈めましたが、月曜までに中公の残り150枚をかかんといかん。あと2時間ほどでまた原稿をとりにくるのに一枚も書いてへん。神だふりしたろかなどと思っています。ということで。こうしゅうでんわはちょっと先送りさせてください。月曜までに中公をつぶしたら(たぶん無理だろうけど)、なんか書きます。
 とりあえず今日は、これで失礼。

 お。お疲れ様です・・・
 とにかく無理なさらないでください。
 ところでアクエリアス計画を進めていて気がついたのですが、甲州先生が怯えておられたセンサ系の問題というのは、ひょっとして「レーザーれーだ」のことでしょうか?ヴァルキリーの照準システムは実は大気汚染計測にも使われていたという?先日某社のもと光通信開発主任にいろいろ話しをききまして・・・
  やっぱり自分は黒魔術系かな?と思う 従軍魔法使い

いまごろこうしゅうでんわ

 疲れております。
 仕事をおえてからこうしゅうでんわと思ったのですが、まだおわってません。
 無理な仕事を無理を承知で引き受けると、ろくなことにならんとつくづく思っております。一つの仕事を無理矢理片づけても別の仕事で無理が生じるわけで、無理が自己増殖していくのをぼんやりながめるというおそろしい状況になってます。今度から、無理なものは無理といって最初から断わろう。そうせんと、結局は自分で自分の首をしめることになりそうだから。
 ところでセンサ系のことですが、ちょっと意味がちがいます。つまり航空宇宙軍史におけるセンサ系は、航宙艦のエンジンまわりや加速性能ほど統一した数値を決めてなかったので、作品ごとにセンシング能力が違っているかもしれない、というような意味です。もちろん航宙艦のエンジンについてなら厳密な考証をしていたという意味でなく、単に戦闘艦なら最大で1G程度の加速度だとか、商船なら0.5Gくらいが上限だったとか、大ざっぱな枠組を決めていたというのどのことです。(これは設計上の限界という意味ではありません。艦船の構造強度がその枠組で設計されていたという意味)。
 それがセンサ系になると、たとえば個艦の索敵能力は具体的にどの程度なのか、艦隊の索敵能力や観測基地の能力は、という統一した数値を決めていたわけではないので(これも設計上の限界という意味ばかりではありません。索敵される敵のセンシング能力によって、戦闘艦の設計や戦術がかわってくるという意味)すでに書かれている作品をくらべてみると、矛盾した部分がでてくるかもしれん、という程度です。
 もっとも作者が心配している矛盾点を、読者に指摘されたことはこれまでほとんどありませんでした。たいていは、意表をついた矛盾を指摘されるものです。もっともその気になってさがせば、現実の歴史書の中にも矛盾点はありますがね。最近、手紙で「矛盾点みーつけた」と書いてきた人もいましたが、これは完全に読者の読み違いでした。(その割りにはエラソーな書き方だったなぁ)。
 ところで、レーザーレーダーの宙戦における実用性というのはどんなものでしょうか。普通に考えるとレーザーレーダーは

  1. 普通のレーダーより波長が短いから解像度がずっと高い。
  2. 光束をしぼれるから、超遠距離センシングが可能。

といったメリットがありそうですが、それだけに単位時間ごとのセンシング範囲はかなり劣るような気がします。無理に装備すると、通常のレーダーより実用有効距離(設計上の有効距離とはちがう)は小さくなった、てなことにもなりかねません。一ヶ月くらいかけて全天走査するんならともかく、状況が流動する煽情ではあまり実用的な技術とは思えません。このあたり、測量における「誤差のつりあい」といった問題を連想します。土地の測量をするのにメートル原器をもちだしても意味がないわけで、限られた電源出力やスペース、それに情報処理能力しか提供されない艦船搭載センサには不向きな気がします。こんなのを使いこなせるのは、やはりヴァルキリーのような戦術判断のできるAIくらいでしょうか。つまり索敵範囲の低さを、瞬時の状況判断でおぎなうわけです。もっともこれだって、消極的な使い方ではありますが。輸送専断や警備艇を相手にするならともかく、艦隊戦闘においてレーザーは主戦兵器にはならなかったと思えるから。少なくとも第一次外惑星動乱当時には、という意味で。
 とはいえ、有効性は別問題にしても、第一次外惑星動乱当時の戦闘艦にはレーザーれーだが標準搭載されていた可能性もあります。きわめて消極的にではありますが。つまり艦載れー座は三とおりの使い方があって。

  1. 攻撃兵器として。
  2. 通信手段として。
  3. センシング機器として。

の用途です。だからレーザを搭載した艦艇で、光学センシング能力と情報処理能力に余裕があれば、レーザーレーダーとしての機能ももっていたかもしれません。実際に使い道があったかどうかは別にして。
 なんにしても、今後の航空宇宙軍史はセンシング能力を考慮した書き方(つまり前回に書いた索敵戦のような)になりそうです。
 さてと、中央公論のボツ原稿の手直しでもするか。印刷所も待っていることだし。

P.S. 予定より大遅れなので、余裕がなかったら来月まわしにでもしてください。

 たいへんお忙しいところ、ほんとうにありがとうございます。
 今月は編集も大変遅れていて(仕事関係とわたしが関わっているもう一つのサークルである「白の乗り手」関係と両方で後回しにできない用事が入ってしまったので)、実はいま現在、割付けもほとんど決ってないというていたらくなのです。しかも画報を期日に発行するよりも、「こうしゅうえいせい2」の編集の中間総括をしてその最終テコ入れに記事をも載せる、というのが優先されなくてはならないので、へたをすれば一週間発行が延びてしまうかもしれません。
 どうか御容赦ください。
 ところでレーザーレーダーについてですが・・・ふっふっふっ。
 どうか「こうしゅうえいせい2」をお楽しみに・・・
  気分はもうラザルス。という意味不明の状況にある 従軍魔法使い

こうしゅうついか

 おしらせです。
 以前のこうしゅうでんわで書いた中央公論の書き下しは、22日の明け方に完成しました。
 以上、連絡のみ。




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