ということで、もう一年になりましたか。この一年のあいだに、甲州画報が12冊でているわけですか。私のほうは、一年で出せた本が七冊ということになります。ずいぶん多いような気がしますが、よく考えてみたらそのうち一冊は再刊で、以前から雑誌に書いていたのをまとめたのが(一部書き下ろしをふくめて)三冊。そうなると純粋な書き下ろしは、ヴァレリアの二冊とタナトス戦闘団の三冊だけになってしまうわけか。これではいかん。もっとかんばらにゃ。
自分でも気になっているのですが、近ごろヴァレリアとタナトス戦闘団の筋書き−−というより話しの雰囲気が、だんだん似通ってきているような気がする。偶然に重なったとはいえ、他人がみたらマンネリだと思いかねん。だからというわけでもないのですが、此の先の一年は意識的にあたらしいことをやることになりそうです。具体的には、太平洋戦争を視点をかえてとらえなおす新シリーズの開始、非SF(冒険小説・ハードボイルド)長篇の書き下ろし(複数)、航空宇宙軍史の外惑星動乱以後の展開(外宇宙艦隊による恒星間宇宙の探査)というところ。
景気のいいことをいったけど、この一年でどこまでできるかちょいと心もとない気もします。(特に航空宇宙軍史の予定は、一年でぎりぎりというところでしょう)。
実はヴァレリアの4は、まだ140枚しかかけていないんで、とりあえずこいつを完結させないことには、ほかの仕事ができない。それでこの一ヶ月の目標は、「ヴァレリアファイルを何がなんでも4で完結させること」。まちがっても5や6にもつれ込んだりしないこと、です。これをおわらせんことには、ほかの仕事ができんから。しかし現在の予感からすると、「ヴァレリア4」は一冊ではおわらないような気もする。その場合には、ヴァレリア4の上巻、中巻、下巻とつづけて、それでもおわらんかったらシリーズ4の下巻の1、2、3とやりますのでそのときにはよろしく。
書きもせんうちから「あとがき」しているんだから、こまったもんだ。それで、今月の甲州画報です。表紙のイラストなんですが、個人的な感想としてはアンドレーエフの幸福そうな顔や、不幸なダンテは一応おいといて、緒方優だけをアップでみたかった。できたら、シーツがもう少しずり落ちた状態で、彼女のするどい目つきと口元は、イメージどおりです(もっとも作者のイメージは、この際あまり関係ないんでしょうが)。
イラストといえば、「か」さんと空の大要塞(なんちゅー役職名じゃ)が別人とは、私も気がつかんかった。あわてて昔の甲州画報をとりだしてみると、たしかにタッチがちょっとちがっていた。まさか、「あれは全部洒落でした、あの自己紹介も、実は空の大要塞が書いたものです」なんてことはないでしょうな。そういうのはちょっと趣味が悪いです。5Pの女性イラストですが、1.胴長、2.あんまり美人でない、3.胸がぺたんこ、という条件は、みんなうちの奥さんに当てはまるものではあります。
そのせいかどうか、なんとなく生々しく、色っぽい叙しえです(別にうちの奥さんが色っぽいというわけではありません。ついでにいうと、顔つきはまったく似ていません。あたりまえか)。ただし「ごめんください、宅急便です」のおっさんとならべたら、たいていの女性は色っぽくなりそうな気がするが。なんにしても、いくらファンとはいえ「女はかけない谷甲州」のところまで似ることはないと思うんだが。それでも私は最近、努力の甲斐あってまがりなりにも女性が書けるようになりました。空の大要塞も精進しましょう。