こうしゅうでんわ

谷甲州

 あけましておめでとうございます。正月は終わったのに、なかなかエンジンがかからんので四苦八苦しておる甲州です。それでも雑誌の締め切りは月に二度かならずやってくると。否応なしに仕事はせんといかんのだが、この分だと連載が終わるのはどっちも一年以上先のことになりそうだ。たたむことも考えずに、派手な風呂敷を広げすぎたというか。うまいこと伏線を取りこまないと、話が空中分解してしまうな。もっともこれは、いつものことだが。終わってみると結構うまく話がまとまってるので、全然こりずに次のときもまた風呂敷を広げてしまうのだった。

 で、連載原稿(いまやってるのはSFマガジン)の前は何の仕事をしてたかというと、これが去年の六月から中断したままだった『ナンダ・コート』の話だったりする。『覇者の戦塵』に尻を蹴飛ばされて、仕方なく放りだしていたのだな。とはいうもんの、これほど長く間があいてしまうと筋書きを思い出すだけで一苦労なのであった。いろいろと先のストーリー展開を考えていたはずなのだが、いざ書きはじめてみるとどうも話がすすまない。やっとこさ調子が出てきたかな、と思ったら雑誌の締め切りがくると。いかんな。この調子でのたのたしていると、また『覇者の戦塵』が追いかけてくるぞ。一応『ダンピール海峡航空戦』は一段落したものの、東部ニューギニアの戦闘はこれからだし。なんか連載をふくめて、やりかけの仕事が多くて困ったものだ。ほんと、なんとかせんといかんよなあ。『パンドラ』の連載が終わったら航空宇宙軍史を再開しようかと考えてるんだが、この分ではいったいいつになるか。

 こういうときは、楽しいことを考えるに限る、というので気分転換にあっちこっちの旅行案内なんかをみております。最近は旅行会社もたいてい自前のページを持ってるので、そっちの方のチェックもやらにゃならんと(別にやらんでもいいが)。タイのプーケット島を基点にスミラン海をクルーズするダイバー専用船があるとか、おなじ南部タイでもコ・タオという島は透明度がよさそうだが電気がきてないらしいとか、このふたつを結べばちょっと変わったダイビング旅ができそうだとか、それならいっそのことマレーシアまで足をのばしてテンゴル島でダイビングをすれば珍しい魚がいろいろとみられそうだとか、この島の南にあるクアンタンの近くにはチェラティン・ビーチというバックパッカーむけの穴場スポットがあって、実はここは新井素子さんの「新婚旅行は命がけ」の舞台になったところなのだが、日本からのツアーで利用するクラブメッド(地中海クラブ、だったか)のホテルは高級すぎてあまり面白くなさそうだとか、そこから先はティオマン島を経由してシンガポールに出れば、あとはシルク・エアを利用して一気に北部スラウェシのメナドまで飛べるから、世界一の巨大ドロップオフで遊べるとか、そこからフィリピンのダバオまでは(以下略)。あれ、よく考えたらこのネタは前に書いたか。遊ぶことばっかり考えてんと、さっさと仕事を片づけるか。




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