こうしゅうでんわ

谷甲州

 なんとか『ダンピール海峡航空戦 下』を書き終えて、ほっと一息ついている甲州です、と書きたいところだが、なんか仕事が立て込んでしまって実際は青息吐息の甲州であります。『覇者の戦塵』を引っぱりすぎたんで、今月分の『紫苑の絆』が洒落にならんほど遅れてしまったのが原因だった。とはいえ残り日数を計算すると、なんとか間にあいそうな雰囲気ではある。とにかくやるか、と仕事をはじめたら、いきなりパソコンが壊れた。あれこれやってみたのだが、どうにもならんので(その節はお世話になりました >> 現隊長)仕方なく古い機械を引っぱり出したのだが、これが最低限のセットアップがやってあるだけでエディタさえ入っていない。前にハードディスクがクラッシュしたとき、システムのインストールとOSのバージョンアップだけをやっておいたのだな。
 で、秀丸のインストールからはじめにゃならんと。IMEも慣れてない奴は使いづらいんで、あらためて一太郎とATOKを入れなおして、さて仕事じゃ、と思ったら、原稿を送るのにメーラーもいるではないか。そこらへんに転がってた雑誌のCDからアウトルックを放りこんで……あれ、アクセスポイントの電話番号は何番だったかな。あっちこっち捜してみたが、印刷物の形では残っていない。そういえば前にニフティマネージャーのインストールディスクを取り寄せたことがあったな、と思い直して調べてみたら、こっちの方は電話番号も内蔵されてました。よし、今度こそ仕事だ、と思ったのだが、デフォルトのエディタなんてのは使いものになりません。何年ものあいだ毎日使っているものだから、原形をとどめないほど設定がいじってある。しかも機械自体が古いもんだから、キイボードの配列も違っていると。デリートを押したつもりが画面を切りかえてたり、コピーするつもりが文章を消してしまったりで仕事にならん。結局、徹夜したのに書けた原稿は普段の数分の一というひどいことになりました。
 あかんなあ、これはマジで落ちるぞ、と思っていたら、二晩めからは信じられんほどペースがあがって、前の晩の遅れまで取りもどしてしまった。要はタッチタイピングにこだわらなければいいのだな。画面だけをみながらキイボードをたたこうとするから間違うんであって、たまに手元に眼をむけていればそれほどミスはやらないのであった。結局、締め切りには間にあいませんでしたが。今月は減ページか、みっともないな、と思っていたらゲラの段階で押し込めることがわかった。ということで、強引に突っこんでしまいました。めでたしめでたし。一件落着。でも楽はできない。これから今月分のSFマガジンとPONTOON(年末なので締め切りが他の月より早いのよ)の原稿にかかります。あーしんど。

 その他の仕事について少々。宝島社の「このミステリがすごい!」に、例によって言い訳を書いております。あとは「新刊ニュース」で、今年の印象に残った本とか。で、壊れたパソコンは、現隊長の尽力により元気に稼働しております。感謝。




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