こうしゅうでんわ

谷甲州

 11月に入ってしまったが、『ダンピール海峡航空戦 下』は停滞したまま。この分では刊行が12月にずれ込むのは必至だが、12月の場合は発売日が上旬にしか設定されていないので実質的には11月末ぎりぎりの刊行と大差ない状況になっております。ということは、刊行月をずらしても締め切りはあまり後ろにずれないと。なんとも情けない状況だが、とにかく頑張るしかないか。こんな状態では『ナンダ・コート』に専念できるのは、いつのなるのか見当もつきません。その後に予定されている『覇者の戦塵』のつづきとか、毎日新聞社刊の「アジア・ノワール」のシリーズになると、さっぱりわからん。誰かかわりに書いてくれ、というわけにもいかんか。

 もしかすると「アジア・ノワール」のことは、まだこうしゅうでんわに書いてなかったかな。記憶は曖昧だが、どのみち大昔のことなんだから、知らん顔して書いてしまいます。日露戦争直前のチベットで、日本人工作員があれやこれやする話。実は当時ダライ・ラマ親衛隊の軍事顧問におさまってしまった日本人が実在するのだが、別にモデルというわけではありません。資料を集めているうちに、そんな人物がいたと気づいただけ。まことに事実は小説よりも奇なり(ははは)。

 この話を最初に毎日新聞社の編集者(というか記者)から持ちかけられたのが『凍樹の森』が刊行された直後だから……もう七年も前のことになるのか。催促する方も辛抱づよいが、しつこく予定を先のばしにしている著者も根性があるなあ、などと感心しとる場合か。書き終わって本になるまでには、10年単位の時間が必要なのだな。ストーリーとしては……ええと企画書みたいなのを書いた記憶もあるのだが、どんな筋書きだったか忘れてしまったぞ。ええのか、そんなんで。

 忘れないうちに、他の仕事のことなども書いておこう。10月14日づけの北海道新聞に、書評を書いています。新聞の実物は図書館でしか読めないと思うが、書評などは新聞社のサイトで読めるはず。URLは……検索してくれ(すまんすまん)。そういえば、これもチベット関連の本だったなあ。あ、毎日新聞の仕事は仮タイトルが『法王(ダライ・ラマ)の密使』です(たぶん)。あれ、もしかしてこのタイトルは『神々の座を越えて』の章タイトルで使ってなかったかな。ま、いいか。と思って調べたら、本当は『法王の親衛隊』だった。ほんまにもお、ええ加減なことばっかりやっとるな。




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